和而不流(和して流れず)

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死者に鞭打つ「阿国座」の問題

予算の取り下げで計画は事実上「白紙撤回」された

出雲市の「阿国座」建設計画は、2月定例市議会での予算取り下げで、事実上、仕切直しとなっており、市議会は着工反対が大勢であることを考えれば、西尾市長の言う「選挙後に再提案・可決、着手」は不可能で、振り出しに戻ることが確実な情勢だ。
阿国座の建設計画が迷走した理由は、市長の説明が二転三転したからであり、平成20年11月議会で僅差とは言え、議会が多数をもって議決した予算の執行を、「市民の理解が十分得られていない」として、市長が一方的に延期するなど、混乱に拍車をかけている。
平成21年2月議会で、出雲市議会は、市長の議会軽視とも言える行為に対して毅然とした態度を貫いた。首長自らが緊急案件として提案した事案の一方的な執行変更を市議会は認めず、阿国座の問題については、事実上の決着がついたと考えるのが至当だと思う。議会や住民団体の一部には、中止となることが確実な事案を蒸し返し、あくまで「阿国座」の賛否を選挙の争点にする動きがあるが、こうした行為は、「死者に鞭打つもの」であり、感心できない。
60年に1度の出雲大社の遷宮は、神門通りの賑わい創出の絶好の機会で、歌舞伎や日本酒、相撲など出雲が発祥の地とされるすばらしい素材を活かす方策を一から冷静に考えることが大切ではないか。利便施設や集客施設の建設は、門前の活性化という目的を果たすための一つの手段ではあるが、出雲大社の魅力は時空を超えた悠久の営みが受け継がれてきた神々しさにあり、神門通りにはそれらが実感できる雰囲気、つまり、紛れもない「ホンモノの輝き」を活かす取り組みを期待したい。

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