和而不流(和して流れず)

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菅さん、あなたは史上最低のリーダーです

万事が場当たり的で、関係者を混乱させるだけ

国のエネルギー政策のなかで原子力発電にかかわる問題はダッチロール状況となり、島根原発の運転再開の見通しも全く見えなくなった。九州電力玄海原発をめぐって、6月29日、海江田万里経産相が佐賀県を訪問し、運転再開について「国が責任を持つ」と地元自治体に確約した。玄海町長は運転再開を容認し、古川佐賀県知事は海江田大臣の発言に理解を示しながらも「菅首相は再生エネルギーについて雄弁に語るが、再稼働についての言葉はない」と述べ、再稼働に対する首相の認識を質した。背景には、中部電力浜岡原発の停止要請に代表される菅首相の原発に関する言動への不信感があり、「経産相の政治判断に応じた後で、菅首相が“脱原発”を打ち出し、国から梯子を外されることが心配。」と述べていた。
知事との会談で海江田経産相は「総理と私の間で、意見・考えの違いはない」と強調したが、7月6日、菅首相は全国各地の原発再稼働についてストレステスト(耐性検査)を含め、新たな基準やルールの作成を指示し、突然、政府の方針を転換した。首相の発言は、閣内はおろか政権の迷走ぶりを露呈したばかりか、皮肉にも「万事が場当たり的で、関係者を混乱させるだけ」との評価が正しいことを如実に顕した。
日本国の最高執行権者としての菅首相の言動は常軌を逸している。ものごとの基本方針がクルクル変わり、責任は他人に転化する。周囲は疑心暗鬼となり、着手をためらう。結果、ものごとは一向に進展しない。安全とされてきた原発で深刻な事故が起こった以上、原因を徹底的に追求し、問題点を洗い出すことが必要だ。国の原子力行政への信頼は著しく低下し、メディアは洪水のごとく原発事故の関連ニュースを流すだろうし、「イエスかノー」式で原発稼働の賛否を問い、圧倒的な否定を報道するに違いない。
しかしである。大震災の救難、復興の遅延、原発事故の対応、政治の混乱の因のすべてとは言わないが、ほとんど首相の唐突な「物言い」に端を発したものである。このままでは、原発の須藤はことごとく停止し、代替となる火力発電のLNGや原油、石炭の輸入によって膨大な国富が失われることは必至だ。その額は1年で数兆円に上るに違いない。国難に臨んで「協力すべきだ」という声もだんだん小さくなっている。国益を顧みない無能な為政者のおかげで国民は富を失い、大震災の復興と原発事故の収束は遠のいて行くばかりだ。

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