和而不流(和して流れず)

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津和野町のCAS導入に期待する

成功には地元産品の6次産業化の進展が不可欠

津和野町がCASを導入し、アユやわさびなど高津川流域の特産品の鮮度保持と6次産業化を図る方針を決定したと9月13日付の山陰中央新報が伝えています。小生が株式会社アビーの代表取締役でCAS (CELLS ALIVE SYSTEM)技術の考案者である大和田哲男氏を千葉県の東葛テクノプラザに訪ね、アビー研究所でCAS技術をはじめて視察したのは、旧平田市議時代の2000年のことでした。牛乳やビールを凍結しても分離しない、マグロや牛肉を解凍するときのドリップがなく、色、香り、味わいも限りなく「生」に近い状態に戻るなどの実験を目のあたりにして、本当に驚きました。議会のみならず農業や水産の関係者の皆さんと何度も視察しましたが、現在、CASは生鮮食品のみならず、にぎりやおせち料理など調理済み食品から医療・応用物理まで、幅広い分野に用いられており、移植臓器の保存などにも活用されています。海士町がいわがき「はるか」のCAS凍結をはじめたのは2005年ですが、当時、島根県の担当者は導入に積極的な賛同を示さず、海士町の関係者は農林水産省の補助を取り付けるためにご苦労され、また、町が拠出する財源捻出のために特別職のみならず職員人件費までカットされたと聞いています。今日、全国的に注目され、高い評価を得ている海士町の定住や交流の取り組みですが、関係者から感じる「進取の気風」は、CASの導入が端緒のように思います。CASの導入、活用にはかなりのコストを要するため、事業を成功に導くにはそれなりの工夫も必要になりますが、津和野町の今後の取り組みに期待します。

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