和而不流(和して流れず)

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菅さん、いつまで場当たり対応を続けるのですか

法律改正しなければ復旧進まず原発の安全性も向上しません

東日本大震災の発生から50日が経過した5月2日、ようやく震災対策の補正予算が成立しました。M9という過去最大級の地震と津波によって東北地方の太平洋岸一帯の被害は福島原発を含めて甚大なものであり、住民の救難、生活支援からライフラインの整備、交通、医療、福祉、教育など社会インフラや産業基盤など、すべてを一から再興しなければなりません。この2ヶ月、政府の震災対応を見ていると、皆さん一生懸命やられていますが、依然として、肝心要のことが置かれているように思います。
政権交代して1年8ヶ月余、民主党のマニフェストの内容はほとんど瓦解しました。首相の交代や尖閣事件、大震災など想定外の事態があったにせよ、民主党の政権運営は「方針は示されるが進まない」の繰り返しです。内閣や政権党の方針決定が法律案として国会に付議されないため、国会は機能停止、省庁は立ち往生という状況がずっと続いているのです。
大震災の発生後、菅首相は官房副長官や首相補佐、参与などを矢継ぎ早に任命、「緊急災害対策本部」「原子力災害対策本部」「被災者生活支援特別対策本部」「経済被害対策本部」を設置するなど、非常時に、指揮命令系統を一元化するどころか竜頭蛇尾のごとき様で、今もって、誰も、何が何処までどう進んでいるのかを掌握できていないように見えます。
ところで、5月6日、菅首相は静岡県の中部電力浜岡原発の運転停止を要請しました。深刻かつ危機的な状況にある福島原発の事故からすれば、M8を想定して設計されている稼働中の国内すべての原子力発電所について、国の責任で耐震強度を早急に見直しすべきです。首相が、法令基準を満たしている原発を「危険」と言うのであれば、火山の噴火や直下型地震など、津波以外の原発有事の危険性についても考慮・検証しなければ、原発が存置する地域周辺の住民の不安は増嵩するばかりです。
国の1次補正は被災地のがれきの処理や仮設住宅の建設など救難を主とするものであり、インフラや産業基盤の復旧など被災地の社会機能の回復に向けては、財政支援と同時に市町村長や都道府県知事に法や予算の弾力的運用を可能にする権限付与など、地域のまちづくりを推進するための臨時法令の早急な整備が必要です。新聞報道では、2次補正や震災復興法令が秋の臨時国会に先送りするなどとありますが、6月22日までの通常国会で、復興支援と原発の設計基準見直しを徹底議論し、1日も早く関係法令を改正してもらいたいものだと思います。

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