和而不流(和して流れず)
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信無くんば立たず
福島第1原発事故の被害者救援・補償は政府が全面的に責任を負うべきです
『論語』顔淵に「子貢問政」の項があります。
子曰、「足食、足兵、民信之矣」。
子貢曰、「必不得已而去、於斯三者何先」。
曰、「去兵」。
子貢曰、「必不得已而去、於斯二者何先」。
曰、「去食。自古皆有死。民無信不立」。
意訳すると、
子貢が政治の要点について尋ねたところ、先生(孔子)は、「食料を十分にし、軍備を十分にし、人民に信義を守らせるようにすることが政治の要点である。」と答えた。
「それでは、どうしてもやむを得ない事情によって、どれかを捨て去るとしたら、どれを先にすべきでしょうか。」と尋ねると、「軍備を捨て去ろう。」と答えた。
さらに、「どうしてもやむを得ない事情によって、食糧と信義のどちらかを捨て去るとしたら、残った二つのうちで、どれを先にすべきでしょうか。」と尋ねると、「食料を捨て去ろう。食料がなければ、人は死ぬことになるが、たとえ食料があったとしても、昔から死はすべての人間のまぬがれないところであり、もし人民に信義の心がなかったら、一日も人間として社会生活を送ってゆくことはできないのである。」と答えた。
翻って、政府の東日本大震災と福島原発事故の対応はどうでしょうか。トップの発言や報道発表の内容はクルクル変わり、「言った、言わない」の繰り返しです。また、未だに事故や被害の状況の全容がきちんと報告されていません。東京電力は、事故から2ヶ月半が経過してから、とうとう福島第1原発では1号炉から3号炉までが「メルトダウンを起こしていた」と発表しました。政府は、3月12日、原発事故に対する米国の状況予測を明確に否定し、「安全は確保されている」と発表して以来、被害状況を「矮小化→訂正→対応を変更・拡大」を繰り返しています。放射能汚染の範囲もジワジワと拡大し、農林水産物の出荷自粛や作付け制限、風評被害のみならず、学校教育や工業生産まで、その影響は容易ならさせる事態となっています。
政府は「原発事故の直接の当事者は東電」という立場をとっていますが、被害者の救援・補償は、事故の責任云々は別にして、1日も早く、「政府が全面的に支援し、責任を持つ」というアピールをすべきです。原子力発電のリスクをすべて民間会社が負うとすれば、福島原発の関係住民のみならず、原発が立地する地域の不安や懸念は深まるばかりだと思います。
│掲載日:2011年05月24日│
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