和而不流(和して流れず)

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インド訪問を終えて

交流拡大には拠点となる地域の選定が急務

インドでは毎日のようにどこかで(宗教ごとに)地方色豊かな行事が催されるそうだ。太陽暦で行われる1月26日の共和国記念日、8月15日の独立記念日、10月2日のガンジー聖誕祭など国家的な祝祭日は毎年同じ日だが、ヒンズー暦やイスラム暦に従って開催される宗教行事は毎年異なる日となる(と言っても、それは太陽暦でカウントする私たちの見方でしか無いのだが)。例えば、月は死と再生の象徴、太陽は不変、不滅の象徴とするヒンズー教は太陰太陽暦によって未来の吉凶を占い、祭事によって季節の到来を告げる。とりわけ、9月末から10月初めには国中が10日間の正月休みとなる『ダシャラー』、11月の初めは5日間の休みとなる『ディワーリー』と呼ばれる旧正月の祭りを盛大に祝うが、祭りの期間は年ごとに異なる。山陰インド協会のインド経済視察団の訪問は『ディワーリー』の真っ最中だった。
インドは著しい多様性の国である。民族や言語の違いは言うにおよばず、牛馬が悠然と道路を歩く一方で夥しい車のラッシュがあり、トラクターで広大な田畑を耕耘する傍らで人力による稲刈りがされている。大都市には高層ビルとスラムが併存し、ヒンズー教、イスラム教、ジャイナ教、シーク教、ゾロアスター教、仏教、キリスト教なと実に多くの宗教が存在する。北は世界最高峰のヒマラヤ山脈から、南は高原・熱帯雨林・砂漠に隣接する椰子で囲まれたビーチまでの28州はとても同じ国とは思えない大きな違いがある
山陰インド協会の初めてのインド経済視察団は島根大学のインド科学大学との共同研究協定締結をはじめFITTI(インド商工会議所)との情報交換や水、環境、ITなどの分野で企業進出の可能性が強まるなどの成果をあげた。しかし、在インド日本大使館からの要請にあるようにインドと日本、とりわけ島根県との行政、民間を問わず交流の実績は乏しく、今後、経済交流を拡大させるためのグランド整備が不可欠で、早急に交流拠点となるべき地域の選定が必要である。
中、韓との関係が不安定な状況下で、日本が進境著しいASEAN地域とインド、中東地域に市場を求め、関係を深めることは当然かつ自然の流れである。交通網の整備と情報、通信技術の飛躍的な進化が距離や時間の壁を小さくさせており、日本海に面し、国土の発展軸から遠く離れているとされていた山陰地域も東京や大阪など国内大都市圏だけでなく、直接、海外地域に目を向ける時代を迎えたのかも知れない。

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