和而不流(和して流れず)
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気象通報に思う
正しい判断は正確な情報の収集がカギ
気象庁は、大雨や強風などによって災害が起こるおそれのあるときは「注意報」を、重大な災害が起こるおそれのあるときは「警報」を、さらに、重大な災害が起こるおそれが著しく大きいときは「特別警報」を発表して注意や警戒を呼びかける。これらの情報は関係行政機関、都道府県や市町村へ伝達され防災活動等に利用されるほか、市町村や報道機関を通じて地域住民に伝えられる。特別警報の基準は、特に異常な現象を捕捉する気象要素として、都道府県や市区町村の意見を聴取して定められ、警報や注意報の発表基準は、災害の発生と気象要素との関係を地域毎に調べ、都道府県などの防災機関と調整して決めるため地域によって多少異なるが、一般には、特別警報は緊急事態、警報は重大災害の警告、注意報は災害に対する注意喚起ととらえられている。
4月2日夜半からから15時間に亘る津波注意報と報道はまさに「オオカミ少年」の寓話を想起させた。平成23年3月の東日本大震災での大津波以降に繰り返されている津波に対する注意喚起報道は住民の意識を変質させるおそれが強い。翻って4月4日の朝、宍道湖では2隻のしじみ舟が突風により転覆し死傷者が出た。松江地方気象台は4月3日から強風波浪注意報を発令していたものの、小生は十六島湾の海岸縁に寓居しているが、4日の朝7時から8時30分頃にかけての風は台風並の暴風で、家屋は揺れ、体感風速は30m/s超とも思えた。気象台の強風注意報の運用基準は平均風速がおおむね10m/sを超える場合、警報は平均風速がおおむね20m/sを超える場合とあるが、強風に対する格段の注意喚起報道は無かったように思う。
災害から身を守るのは自分自身だが、予期せざる重大事態に臨んで最悪の結末を避ける方便が平時の備えと情報収集であり、正しい判断は正確な情報伝達があってこそである。大袈裟な報道は結果としてその時の災害を未然に防ぐ効果はあっても、次に来るより大きく、重篤な事態を軽んじ、判断を誤まる因となることを危惧する。事故の犠牲者の御霊に手を合わせるとともに再びかかる悲劇を繰り返さないためにも、気象予告のあり方、情報の収得、判断を考えたい。
│掲載日:2014年04月05日│
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