和而不流(和して流れず)

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尖閣の中国漁船審判事犯から5年

国会議員諸氏はパフォーマンスよりも周辺情勢に即応した法制を示せ

2010年9月7日、尖閣諸島周辺の日本の領海を侵犯した中国漁船に停船を命じた海上保安庁の艦艇に同漁船が体当たりして、船長が公務執行妨害で現行犯逮捕されにもかかわらず、「沖縄地検の判断」で処分保留のまま釈放し、帰国させました。この強硬姿勢を見せた中国の圧力に屈服した外交的敗北によって、尖閣に対する中国の姿勢が大きく変化し、公船の領海侵犯は業態化し、尖閣は中国が実効支配とばかりの傍若無人ぶりは目に余るものがあります。
現在、国会で審議されている安全保障関連法案は、現行法の枠内で尖閣を防衛することが不可能となりつつあるという現状認識の下で、日米安全保障条約の発動によって尖閣を防衛するという対外的なメッセージでもあり、急速に核武装化に向かっている北朝鮮への圧力となるものにほかなりません。
ここ数日、国会周辺での集会で「戦争反対」「戦争やめろ」のシュプレヒコールを繰り広げている国会議員諸氏にお聞きします。かつて、日本は米英仏欄にABCD包囲網と言われる経済制裁によって、石油、石炭の輸入をストップされ、太平洋戦争の戦端をきったという苦い歴史があります。私たちが、いま、平和で、経済的な豊かさを謳歌できるのは、世界の国々といつでも船舶や航空機によって自由に往来できる環境を維持、存続しているからであり、それは、揺れ動いている世界情勢に友好国と連携を取りながら、常に有事に対応する「備え」を取っているからではないでしょうか。
私たち、島根県民にとって隠岐諸島北方の「竹島」は、紛れもなく日本の領土とされながら、韓国に不法占拠され60年余が経過しました。昭和50年代前半まで自衛隊によって行われていた竹島哨戒が中断してから竹島には韓国軍が駐留し、もはや、周辺海域に近づくことさえ出来ない状況になりました。現状の安保法制では、極めて近い将来に、尖閣が竹島の様となることは必至で、そうならないためにも、いま、法的な備えを講じることは法治国家の勤めであり、何よりも国会議員の職務であることを自覚してほしいのです。
国会議員の皆さん、審議中の法案に多くの国民が反対しているから「NO」というのであれば、次期国政選挙でこの法案の廃止、改正を争点として掲げ、選挙民に是非を問い、多数を得てください。マスコミは国会の廊下で鉢巻をし、審議中にプラカードを掲げ、採決で大声を上げ、掴み合いをする国会の様子を「与野党の攻防」として繰り返し報道します。しかし、多くの国民は、国会の会期末に毎回繰り広げられるマスコミ報道を意識した議員のパフォーマンスにあきれ、嫌悪感さえ覚えるのです。
国権の最高機関にある議員各位は国民の代表であり、国会は、常に相手を尊重しあう紳士・淑女の議論の場であってほしいと思います。参政権が18才に引き下げられ、今後、学校で政治教育の時間も増加することを考えれば、国会、地方議会を問わず、「議会は、選挙で選ばれた住民の代表による『良識、理性に基づいた言論発現の場』と評価されるよう努めるべきです。理性を欠く派手なパフォーマンスは、必ず後に『政治離れ・政治不信』を招く因となることを危惧します。

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