和而不流(和して流れず)

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啓蟄

参議院議員は「議会で議論する」という本分を尽くせ

3月6日は二四節気の「啓蟄(けいちつ)」。『暦便覧』には「陽気地中にうごき、ちぢまる虫、穴をひらき出ればなり」と記されているように、冬籠もりしていた動植物が一斉に動き出し、梅桃の花が咲く時候となった。
朝鮮半島では関係が冷却化していた南北関係が平昌五輪を期に急展開を見せ、雪解けとばかりに対話が進展、外電は、韓国大統領府の特使として北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と会談した鄭義溶国家安保室長が訪米し、金委員長から託された親書を米国のトランプ米大統領に手渡した際に、北朝鮮の非核化とミサイル実験中止の意向を伝達したと報じている。
確かに、厳しい経済制裁によって経済活動が著しく停滞した北朝鮮が、国際社会のルールに従うとして核開発を中止すれば大歓迎だが、過去、一定期間の『微笑み外交』の末に約束を反故にするという所作が何度も繰り返されており、平昌オリンピック、パラリンピック終了後の4月に予定されている米韓軍事演習をやり過ごすためのポーズと見ることが一般的ではないだろうか。
しかしながら、今朝の新聞は一様に「トランプ大統領が5月までに金委員長と会談」とする見出しで埋まり、半島情勢が大きく変化するとの見方を伝えた。先ごろ、トランプ大統領が打ち出した鉄鋼、アルミの関税賦課方針や円や日経株価の不安定な動きも相俟って、日本の先行きにも不透明感が出てきたように感じる。
こうした日本の外交安全や経済に極めて大きな問題が起こっている最中、日本の国会は「審議すべき最重要課題は『森友問題』」とばかりの状況が続いている。衆議院の平成30年度予算の審議で、野党の主たる質疑項目は平成30年に執行される予算の内容ではなく、『森友』や『厚労省の数値ミス』に終始する「国会ごっこ」のように見え、100兆円近い巨額の政府予算の内容がまともに議論されたのか疑問に感じる。
いわんや、参議院の予算審議は30日しかないのであり、『森友問題』は特別委員会を設置して、徹底調査し、議論すべきだ。政治家にとって不正を糺すことは重要な責務ではあるが、時間が限られた中で、一つのことに固執し、全てを拒否する姿勢は、「議会で審議を尽くす」という議員の本分とは相容れないものであり、国民の支持は得られない。
与党も、確かに憲法改正は重要な政治課題ではあるが、増え続ける年金・医療・福祉の社会負担によって積みあがった国の債務は1000兆円を超えており、未だに有効な手立てが示されているとは言い難い。若年世代の人口が減る中で現状の社会システムの破綻は明らかで、後世にツケ廻しをする現状を1日も早く改善することが求められており、緩んだ財布の紐を締め直しする徹底的な財政健全化の議論をこそ期待する。

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