和而不流(和して流れず)

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法案の審査と不祥事(疑惑)の追及は「一体」ではなく「並列」

審議拒否は国会議員の職責を放棄するものだ

国会は、先週は柳瀬審議官の国会招致、今週は財務次官のセクハラ問題で野党6党の審議拒否が続き、決算委員会を欠席した女性議員が国会内で喪服をつけたパフォーマンスを繰り広げるなど空転が継続している。国会は法案や予算を審議する「国権の最高機関」で、個人のスキャンダルや資質を暴く場ではない筈だが、議論は1年以上、森友・加計問題や日報の隠蔽、文書改ざん、セクハラなど不祥事の追及に終始し、マスコミ報道がそれに追い打ちをかけている。野党第1党の立憲民主党の辻元清美国対委員長は「けじめなくして国会論議なし」と言うが、登院することなしに、院外で事態の経緯や背景の徹底究明や監督責任を問うことは、国会議員としての資格を放棄することであり、審議拒否という手段は国会議員の職務放棄で筋が通らないのではないか。
事実、立憲民主党などが欠席したままで衆議院本会議では成人年齢を18歳に引き下げする民法の改正案が提案され、衆院厚生労働委員会では、野党6会派が共同提出した生活保護法改正案の審議が行われたが、法案の提案者が審議拒否をするなど、政治家としての自殺行為に等しい。組織人による上司への「忖度」で虚偽や隠蔽を行うことは言語同断だが、上司の意向を考えて自発的に動くことは組織が有機的に機能し、統一性をもって運営される長所があり、全てを否定することは「角を矯めて牛を殺す」ことになる。
通常国会の会期は6月20日までの予定で、残り2ヶ月を切ったが、野党の審議拒否の影響で、働き方改革関連法案などの重要法案の審議は大幅に遅れている。このままでは、またぞろ会期末のドタバタ・ゴタゴタ劇が繰り広げられることは必至で、憲法改正論議など絵空事である。国会議員には登院の有無に関わりなく、毎月137万5千円の歳費と文書通信交通滞在費100万円が支給され、1日で約3億円の経費がかかるそうだが、民主主義のコストとして容認してきた国民の寛容さにも限界がある。
朝鮮半島問題は急展開を見せ、中国やロシアの長期独裁体制の強化、対外貿易交渉など日本の存立をかけて対峙しなければならない目前の課題が山積する中で、くだらないと思える問題で国会審議が空転することは、議会制民主主義の危機であり、地方議会とは言え、同じ議会に身をおく者としては、国家のあり方や社会の健全な発展の方策について、国民の代表にふさわしい高度で突っ込んだ議論を願いたいと思う。新聞やTVの論調は政府・与党に厳しく、支持率大幅下落とあるが、ネットの反応と相違しているようにも見えるが・・・。

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