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島根原発3号機の安全審査申請

国は、原発事故のリスクや周辺住民の精神的・肉体的負担軽減策を早急に示すべき

8月10日、中国電力は島根原子力発電所3号機(島根原発3号機)の安全審査を国の原子力規制委員会に申請しました。島根原発3号機は、出力137.3万KWの国内最大級の沸騰水型(BWR)原発で、2005年12月に着工し、2012年5月の営業運転開始を予定していましたが、2011年3月の福島第1原発の事故によって営業運転に至る安全審査などの行政手続きが凍結されていました。
本年5月22日、中国電力は松江市と島根県に安全審査申請の事前了解を求め、松江市は7月5日、島根県は8月9日に同意を伝えました。原発の建設や運転、廃止などについては、法令に原発事業者と立地自治体(隣接する自治体を含む)と都道府県に安全協定の締結が義務付けられており、福島第1原発事故によって事故発生時の対応範囲が従前の10Kmから30Kmに拡大されたことから、溝口知事が広域自治体の首長として、鳥取県を含む周辺自治体の意向を確認した上で事前了解の可否判断をしたことは極めて自然です。
今後は、適合審査を受審中の島根原発2号機の再稼働の可否判断となりますが、本年7月に閣議決定されたエネルギー基本計画では2030年時点で全発電量に占める原子力の比率は20~22%となっており、国は、原発事故のリスクや周辺を含めた立地地域に住む住民の精神的・肉体的負担をどう軽減するのかを早急に示す必要があります。
沖縄の基地問題や原発の稼働などは国防やエネルギーという国の根幹・存立にかかわる問題であり、存置や稼働の可否判断を地方自治体の首長に求めて政治問題化させるのは間違いで、安全確保や事故対策を含めて国が主導的な役割を果たすべきではないでしょうか。

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