県議会だより

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9月定例県議会一般質問(3)

学力の定着と読書の習慣づけについて

出生数が大きく減少していることで、考えなければならないことは、保育や教育の場をどのように確保していくかという問題です。

県内のおかれた状況は、基礎自治体である市町村単位で考える現在の取り組みの状況が難しくなってきています。小生は、教育や保育については、必ずしも大規模が良いとは思いませんが、市町村の大小や自治体の境界によって保育や学びの場の環境が異なることは不幸なことだと考えます。

県教委はさきの教育委員会議で、令和7年度の高校定員等についての決定をされましたが、出生数を考慮すると現状の学校配置や定員を維持・存続することは、早晩、不可能となります。

現状全国各地から200人程度の生徒を受け入れしていますが、学校存続のため他地域からの受け入れを拡大するのであれば、全国的な少子化がある以上、都道府県のみならず、国境を越えた受け入れを考慮した取り組みを準備する必要があると思います。

夏の甲子園で優勝した京都国際高校は、卒業時に日本と韓国の大学入学試験の受験資格を得ることができると聞きましたが、これは1つのヒントで、県内の高校のそれぞれが、高校魅力化の一環で市町村と協力をし、外国の大学の受験資格を得ることができる取り組みをすれば、海外から外国人の受け入れが可能となるかも知れませんし、県内の高校生のグローバルな視点が大きくなる可能性を否定できません。

 少子化が進展する中で、県内の子供たちの学びの場を確保し、能力を伸長させ、たくましく生きる力を育むためにも、施設の配置や整備のありかたなどについて将来的な展望を見据え、今から準備をしていく必要があると考えますが、いつから、どのような検討を行う考えですか。(教育長)。

前述した通り、地域の保育の場、いわゆる乳児園や保育所、幼稚園の定員が充足できなくなりつつあり、地域によっては乳児を遠隔地の施設に託けなければならないところも出てきています。

場合によっては市町村をまたぐ取り組みが行われてきたようではありますが、少子化が加速し、県が行っている小規模保育施設への支援で辛うじて施設を維持しているところも出ており、早晩、児童福祉施設の多くが経営困難になってくることは必至の情勢です。

私立幼稚園の多くは認定子ども園に衣替えしましたが、公立の幼稚園は、大幅な定員割れの状況でもそのまま存続している例が多く、歪な状況が続いています。県教委は幼児教育に関わる組織を立ち上げ、保育の質向上に取り組みをお始めになっていますが、幼稚園教育要領と保育所保育指針は、内容に大きな差異はなく、幼保の一元化は焦眉の急と考えるところですが、県内の保育環境についてどのようにお考えになりますか。(知事)

県内の子どもの学力低迷の要因の1つには、小学校低学年の学力定着に問題があるように感じています。多くの学校で、入学からしばらくの間、小学校1年生の生活指導に多くの時間が割かれ、学習指導のスタートが遅延する例が多いと聞いています。

県内の小中学校にはすべてに司書または司書教諭が配置され、図書教育の環境が整えられていますが、1人当たりの貸出冊数などに他の都道府県に比べて、大きく優位性があるようには聞こえていませんが、現状についてお尋ねします。(教育長)。

1か月に1冊も本を読まない人が6割を超えるとする一昨日の報道に愕然としましたが、本を読むことは、新しい知識を得るだけでなく、登場人物に感情移入して喜怒哀楽を共にしたり、深く考えて内省したりすることで、人格形成にも大きな影響を及ぼすと言われます。

学校現場では「長い文章を読む忍耐力が低下している」といった声も聞かれるようですが、県内の保育園や幼稚園で必ずしも読書の習慣づけが行われているとは言えず、学校での取り組みとのミスマッチがあるように感じています。

本を読むことは、文字や静止画から様々な場面を自らがイメージする訓練となり、知識のみならず情操や創造力を高めることになり、幼児期の読書習慣は子どもの未来を決定づけると言っても過言ではありません。

近年は、読書をファミコンやゲームで代用とする人もありますが、ビジュアルを追うのと自らがイメージするのは全く異なり、脳の発達に決定的な差異を生じさせることは権威者も認める紛れもない事実です。

 県教委は、学校での図書環境を整備している長所を生かし、幼児期の読書の奨励を徹底すべきであると思います。学力向上のためのこれまでの一連の取り組み、努力に敬意を表するところですが、幼児期に読書の習慣づけをする取り組みは学力向上の必要条件と考えますが、ご所見をお聞かせください。(教育長)

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