Reports
出生数が大きく減少していることで、考えなければならないことは、保育や教育の場をどのように確保していくかという問題です。
県内のおかれた状況は、基礎自治体である市町村単位で考える現在の取り組みの状況が難しくなってきています。小生は、教育や保育については、必ずしも大規模が良いとは思いませんが、市町村の大小や自治体の境界によって保育や学びの場の環境が異なることは不幸なことだと考えます。
県教委はさきの教育委員会議で、令和7年度の高校定員等についての決定をされましたが、出生数を考慮すると現状の学校配置や定員を維持・存続することは、早晩、不可能となります。
現状全国各地から200人程度の生徒を受け入れしていますが、学校存続のため他地域からの受け入れを拡大するのであれば、全国的な少子化がある以上、都道府県のみならず、国境を越えた受け入れを考慮した取り組みを準備する必要があると思います。
夏の甲子園で優勝した京都国際高校は、卒業時に日本と韓国の大学入学試験の受験資格を得ることができると聞きましたが、これは1つのヒントで、県内の高校のそれぞれが、高校魅力化の一環で市町村と協力をし、外国の大学の受験資格を得ることができる取り組みをすれば、海外から外国人の受け入れが可能となるかも知れませんし、県内の高校生のグローバルな視点が大きくなる可能性を否定できません。
少子化が進展する中で、県内の子供たちの学びの場を確保し、能力を伸長させ、たくましく生きる力を育むためにも、施設の配置や整備のありかたなどについて将来的な展望を見据え、今から準備をしていく必要があると考えますが、いつから、どのような検討を行う考えですか。(教育長)。
前述した通り、地域の保育の場、いわゆる乳児園や保育所、幼稚園の定員が充足できなくなりつつあり、地域によっては乳児を遠隔地の施設に託けなければならないところも出てきています。
場合によっては市町村をまたぐ取り組みが行われてきたようではありますが、少子化が加速し、県が行っている小規模保育施設への支援で辛うじて施設を維持しているところも出ており、早晩、児童福祉施設の多くが経営困難になってくることは必至の情勢です。
私立幼稚園の多くは認定子ども園に衣替えしましたが、公立の幼稚園は、大幅な定員割れの状況でもそのまま存続している例が多く、歪な状況が続いています。県教委は幼児教育に関わる組織を立ち上げ、保育の質向上に取り組みをお始めになっていますが、幼稚園教育要領と保育所保育指針は、内容に大きな差異はなく、幼保の一元化は焦眉の急と考えるところですが、県内の保育環境についてどのようにお考えになりますか。(知事)
県内の子どもの学力低迷の要因の1つには、小学校低学年の学力定着に問題があるように感じています。多くの学校で、入学からしばらくの間、小学校1年生の生活指導に多くの時間が割かれ、学習指導のスタートが遅延する例が多いと聞いています。
県内の小中学校にはすべてに司書または司書教諭が配置され、図書教育の環境が整えられていますが、1人当たりの貸出冊数などに他の都道府県に比べて、大きく優位性があるようには聞こえていませんが、現状についてお尋ねします。(教育長)。
1か月に1冊も本を読まない人が6割を超えるとする一昨日の報道に愕然としましたが、本を読むことは、新しい知識を得るだけでなく、登場人物に感情移入して喜怒哀楽を共にしたり、深く考えて内省したりすることで、人格形成にも大きな影響を及ぼすと言われます。
学校現場では「長い文章を読む忍耐力が低下している」といった声も聞かれるようですが、県内の保育園や幼稚園で必ずしも読書の習慣づけが行われているとは言えず、学校での取り組みとのミスマッチがあるように感じています。
本を読むことは、文字や静止画から様々な場面を自らがイメージする訓練となり、知識のみならず情操や創造力を高めることになり、幼児期の読書習慣は子どもの未来を決定づけると言っても過言ではありません。
近年は、読書をファミコンやゲームで代用とする人もありますが、ビジュアルを追うのと自らがイメージするのは全く異なり、脳の発達に決定的な差異を生じさせることは権威者も認める紛れもない事実です。
県教委は、学校での図書環境を整備している長所を生かし、幼児期の読書の奨励を徹底すべきであると思います。学力向上のためのこれまでの一連の取り組み、努力に敬意を表するところですが、幼児期に読書の習慣づけをする取り組みは学力向上の必要条件と考えますが、ご所見をお聞かせください。(教育長)
│掲載日:2024年09月20日│
県内には、未就学の子どもさん方の育ちを支える施設といたしまして、公立、私立の保育所や認定こども園、幼稚園、小規模保育事業所、事業所内保育など、様々な形態のものがございます。
いずれも、多くの未就学児の子どもさん方が生活時間のうち長い時間を過ごす施設でありまして、子どもさん方の心身の健全な発達、成長にとりまして重要な役割を担っていただいております。
近年は、保育所については、保護者の労働等の理由によりまして、家庭で必要な保育を受けることが困難な子どもの保育を行うという従来の役割も果たしながら、保育の内容などに関する国の指針の改定によりまして、幼稚園などと同様に幼児教育にも取り組むこととされております。
幼稚園につきましては、幼稚園型の認定こども園となれば、これまで受け入れられなかった保育の必要がある子どもの受入れも可能になるなど、家庭以外で子どもの育ちを支える施設として、保育園と幼稚園の役割が近づいているという状況にございまして、同時に保育所的機能と幼稚園的機能の両方を有する幼保連携型の認定こども園も増えてきているとこであります。
近年は、出生数の減少に伴いまして、利用児童数も減少し、保育所、幼稚園、認定こども園など、いずれの形態の施設についても定員割れになるところがあり、そうした施設の経営というのは厳しくなりますので、最終的には、園の休止や廃止に至る事例も生じているとこであります。
保育所などの子どもの育ちを支える施設の在り方につきましては、まず、市町村において、地域ごとに必要な保育教育のボリューム、量を適切に見込んでいただいて、その上で法人や施設の統合、廃止や、保育所的機能と幼稚園的機能の一元化などを含めた保育と教育の提供体制の確保について、関係者とともに実情を踏まえて検討していただく必要があると考えているとこであります。
県といたしましては、そういった地域における検討が円滑に進むように、情報提供や助言を行い、伴走型の支援を行っていく考えであります。
児童生徒1人当たりの貸出冊数については、直近で、国が令和2年度学校図書館の現状に関する調査を行っています。元年度の1年間の全国平均は、小学校49冊、中学校9冊であります。
県では、毎年度末に、子ども読書活動に係るアンケートを行っています。同じ元年度の平均は、小学校72冊、中学校15冊となっており、いずれも全国平均を大きく上回っています。このことは、県が、人のいる学校図書館を目指し、学校司書の配置を進めてきたことの成果の一つと考えており、国の次回の調査が来年度に行われる予定でございますので、その結果を注視してまいります。
ねえ、この本読んで、私が乳幼児への読書普及を担当していた13年前にたどり着いた出口が、子どもたちのこの言葉であります。子どもたちは、興味が湧いた本、面白かった本を何度でも読みたがります。文字が読めなくても、手にとって眺めたり、指でなぞってみたり、大人に読み聞かせをしてもらいたがります。そのため、子どもたちがお気に入りの本を見つけることができるよう、県で300冊の図書を選書をして、それを各市町村用に3セット、計900冊ずつ、その他の図書も合わせて約2万冊を購入し、全市町村に寄託しました。市町村から、主に幼児教育施設に貸し出し、施設での読書や読み聞かせを進めたり、家への持ち帰りも認めて、親子読書、読みメン、読み聞かせをする大人を指す造語でございますが、この読みメンの普及も進めました。その後、本の追加や補充なども行い、子どもと子どもに関わる大人が、施設や家庭で一緒になって本を楽しめるような取組が今も続いています。
これにより、子どもたちが自分のお気に入りの本を見つけることと読書習慣の定着への関連について調査したことはございませんが、読書環境が改善したことによって、子どもの読書習慣への一定程度の効果があると聞いております。
私も先般、研修で学びましたが、議員御指摘のとおり、スマホなどの平面画面には、人の表情、場の雰囲気が分かりづらいため、空間認知の成長を阻害したり、会話のない世界で過ごすことでコミュニケーションの成長を阻害するなどの悪影響が指摘されております。
子どもの情操が豊かになり、言葉を選び、言葉を学び、想像力を高めるためには、幼児期の読書が重要であります。私は、特に主語と述語から成る文や、それを連ねた文章の取得について期待をしております。
この幼児期の読書を定着させることは、学力向上につながる学びの基礎体力になるとも考えます。この春より、学力向上、働き方改革をテーマに、小学校を中心に約50校の学校訪問を行いましたが、ヒアリングの中で、小学校1年生の4月、5月の学級づくりが、その後の学校生活を決定するという課題意識を、市町村の教育長さん方とも改めて共有しております。
年明けからは、この訪問を一旦終えて、テーマを幼少連携、接続に変更して、幼児教育施設とも意見交換をしたり、様々な提案をしていきたいと考えております。その中で、議員御指摘の学校図書館にある図書や図書館司書といったリソースを活用することができないか、話をしてみたいと思います。