県議会だより

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令和7年6月定例県議会一般質問(4)

NHKの受信料問題について

NHKは、2025年10月からインターネットを通じた番組の配信が義務化され、ネット配信のみを利用する場合の受信料を新たに設け、徴収を開始すると聞きます。

ネット配信に関してはサービスを利用しなければ支払い義務は生じませんが、2024年5月に成立した放送法改正により、ネット経由のみ受信する人にも、放送(テレビ)経由で受信している人と同様の費用負担を求めるとしています。

HK受信料を支払う義務があるのはNHKと受信契約を結んだ視聴者で、テレビを持つことによりNHK受信契約を結ぶ義務が発生し、NHK受信契約を結ぶとNHK受信料の支払い義務が発生するという2ステップになっています。NHKとの契約義務は1950年にGHQの指導の元に施行された放送法に定める制度で、当時テレビ局はNHKしかなく、テレビを購入出来る人はほんの一握りの富裕層だけで、受信料を法的な強制力で徴収し、そのお金でNHKを運営していくというのは、一定の合理性があったと言えますが、日本の政治は放送法に何も手をつけず、今日に至っています。NHKとの受信契約は義務ですが、本年度に入ってから、県および県内市町村のNHKの受信料未納が発表されています。その内容と経緯および県および県内市町村ごとの受信契約機器総数と受信料総額を総務部長にお尋ねします。

 

NHKは、2025年10月からインターネットを通じた番組の配信が義務化されるのに伴い、ネット配信のみを利用する場合の受信料を新たに設け、徴収が開始されるとのことであります。

県は一昨日、4月の172台分に加えて189台分の未契約があり、受信料の未払いが約3870万円になったと発表しましたが、そのうち、教育用の免除手続きがされていなかったとのことであります。

今後、学校の児童生徒に配給されているタブレット端末に受信機能があれば適切な手続きが必要となる可能性があり、ペーパーレスのために行政や議会は電子化を進めていますが、紙の代わりになるタブレット端末に受信料のコストがかかるとすれば本末転倒になる恐れがあります。

事業所が所有する未契約の自動車のナビや業務用のスマホに対し新たに受信料支払いが生ずる可能性がありますが、県および県内市町村の対応状況について総務部長にお尋ねいたします。

 

事業所が所有するTV受像機1台1契約を定める放送法は昭和25年に制定され、その内容はほとんど変わっていません。NHKに対して旅館やホテルはイギリスBBC方式への変更を求めて粘り強く交渉してきており、現在は、暫定的に団体一括契約による団体割引となっています。公用車のカーナビや業務用スマホは行政事務や災害、公共施設の管理に必要不可欠で、公益性が高く、教育や障がい、福祉などの施設と同様に受信料の支払いは免除されてしかるべきであると考えます。

NHKの受信料のあり方は、もっと国会で議論されて良いはずで、県は県内市町村と協調して政府、国会に対し放送法の改正を働きかけるべきであり、行政を含め、事業者に対する受信契約は改正されるべきと考えますが、この際、知事のご所見をお尋ねいたします。

丸山達也知事答弁

NHKの受信契約制度について

まず最初に、このたびの県の受信契約の未締結、約360台、また金額にいたしまして約3,870万円につきましては、県として、NHKの受信料制度についての認識が足りてなかったということによりまして生じた問題でございますので、県議会の議員の皆様をはじめとします県民の皆様に対しまして、深くおわびを申し上げる次第でございます。

その上で、事業者に対しますNHKの受信契約につきましては、部屋ごと、また自動車ごとに受信契約の締結が必要になるというふうになっております。これは、NHKが定めます受信規約において、契約の単位として、受信機の設置場所ごとに契約が必要であると規定し、また設置場所の単位を、部屋、自動車またはこれらに準ずるものと規定していることが理由であります。

事業者の設置場所ごとの契約単位は、利用者の支払い負担が大きいという意見があるかもしれませんけれども、これに換えて、例えば事業所ごととした場合、つまりその事業所につき1契約としますと、実際の設置台数が多い少ないを考慮しない受信料設定となることについては、それはそれで公平性を欠くという批判意見があろうかというふうに思いますので、なかなか一義的には決め難いというところがあろうかと思います。

そして、議員御指摘の教育や社会福祉などの施設につきましては、放送法に基づく総務大臣の認可を受けて受信料の免除が定められておりますけども、NHKによりますと、免除制度は、この減収分を他の負担者が負担をするということで成り立っているということでありますので、教育的見地や社会福祉的見地などに限定して運用されないといけないというふうに主張されておられます。

NHK受信料につきましては、その在り方について様々な御意見があろうかというふうに思います。正確な理解をして、今回未契約分について契約をし、未払い分の支払いを行う立場ではございますけども、全くもって合理的というふうに思うかというと、支払う立場からして、そうは思えないところは当然あります。その根拠というのは、放送において、国民が公平に負担する特殊な負担金であるというふうに位置づけられて、法律上設定されている、つまり法律がそういう枠組みをつくっていることが大本であります。ですので、論点としては、私は公共放送だからといって、こうした特殊な負担金、つまり税金に近いような、チューナーがあったら、もう義務だという強制徴収に近い、契約という形は形式上取りますけど、チューナーが構造上、受信機があったら、接続してるかどうかは関係なく、一々確認のしようがないというのはあると思いますけども、そういう強制性をもって、極めて税金に近いような形で徴収をするという形態を認め続けるのか。認め続けるとしても、そういう国民に事実上義務づける、普通の料金じゃない、税金に近いとか、負担金、保険料に近いというものであれば、その詳細をNHKの規約で定めると、認可をしているのかもしれませんけれども、いっそ政令とか省令で定めるとか、取る側が決めていくというふうな、行政主体でもない、何の民主的なオーソリティーもない、選挙も経ていないところが、そんなことを本当にしていいのか。総務省の認可とかってちゃんとやっているのかと。つまり、恐らく契約は認可が要るんだと思いますけども、こういった受信料と言いながら、普通の料金じゃないという最高裁の判決も出ている、そういう法律構造にありますけども、それにふさわしいものになってるか。または、そういう制度を継続すべきなのか。そういう特殊な扱いを認め続けるのかというのは、議員御指摘のとおり、昭和25年に設けられた制度として、当時詳しく分かりませんけど、テレビはほとんどなかったんだと、テレビはないですよね。オリンピックの前ですから。ラジオを持っている人たち向けの受信料だったんだと思いますけど、ラジオだってみんなが持っているわけじゃない、いわゆる高価な、そういうものが買える限られた人に対する受信料だったものがこれだけ普及してるという時代の変化を踏まえたものなのかということを含めて、それは議論はされるべきだというふうに思います。

そして、じゃあ、これを認めるとして、受信料を払う側の事業者の皆さんや国民の皆さんが納得できる水準なのか、金額なのかということも、これは当然議論になると思いますし、つまりはそれはどういうことかというと、公共放送をここまでやってもらわなくてもいいと、こんなにお金かけてやってもらわなくったっていいんじゃないかと。国際的なスポーツイベントは、必ず放映権を買わなくたっていいという考え方だってあるでしょう。見もしない人が、そんなものを負担をしているということがいいのかということ、そういう話はたくさんあります。

こんなことを縷々申し上げて、大変、これから申し上げにくいんですけども、その在り方については、国政の場で議論していただきたいと思っています。すいません。私も、国民生活に関わりますので、割って入りたいとこでは、気持ちがないわけではありませんが、今回の骨太を見るにつけ、最低賃金を1,500円に上げていこうという話を、昨日、報告を受けまして、やらなきゃいけないことが満載でありますので、ちょっとここに労力を割いている余裕がないということも含めて、この点は国政で御議論いただきたいというふうに思ってるとこでございます。

このたびの受信契約の未締結分につきましては、現行制度の中でできることとして、今年度に入りましてから、既にカーナビを中心として、約100台について、契約の削減を行っておりますけども、さらに、今後も引き続きまして、ディスプレーやカーナビなどの新設更新の際に、テレビ視聴の必要性の検証を徹底し、不要なものはチューナーのないものに切り替えていくということを通じて、受信料の支出の最小化という、制度がこうなっているということであれば、その制度の下で我々ができる工夫を最大限していくということで、当面対応していきたいというふうに考えているとこでございます。

 

籏野敏行総務部長答弁

県と県内市町村のNHK受信料契約について

県におきましては、他の自治体でカーナビ等にかかりますNHK受信契約の未締結事案について報道されたことを受けまして、調査を実施いたしました。4月と今月6月に公表した分を合わせまして、未契約台数の合計は約360台、未契約額の合計は約3,870万円となっております。

市町村の未契約の状況につきましては、6月13日時点では、県内12市町でカーナビを中心に約170台、約1,950万円の未契約が公表されております。

また、本年度の契約状況につきましては、県については、4月と今月に追加契約した分を含めますと、受信契約台数の合計は約1,390台、受信料の合計は約1,030万円となっておりますが、市町村の契約状況につきましては承知しておりません。

籏野敏行総務部長答弁

カーナビやスマートフォンに係るNHK受信料について

県が所有する公用車のカーナビにつきましては、本年10月からの改正放送法では、直接NHKのウェブサイトやアプリにアクセスしてインターネット配信の受信を開始した場合にのみ受信契約の対象になることとされておりますが、そうした機能を有しますカーナビがあったとしても、現時点では導入しないものと考えており、本年10月以降の影響は想定されておりません。

また、県が所有します公用のスマートフォンやタブレットにつきましても、必要性がある場合を除きまして、NHKのインターネット配信のサービスを受けない取扱いといたします。

なお、公用スマートフォンなどでNHKの配信の受信をする場合であっても、通常使用していない間は、既に受信契約を締結しているテレビがある部屋でそのスマートフォンなどを保管することが大半でございますので、こうした場合には、新たな受信契約の締結は不要とされていますので、受信契約数が増加することはほとんどないと考えております。

市町村に対しましては、このたびの県の対応につきまして情報提供してまいりたいと考えております。

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