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半導体デバイスは産業において不可欠なインフラであり、半導体は「レアメタル」や鉛など、その多くが無機材料であり、時として、生物に対して有害に作用することがあると言われています。半導体デバイスを製造するプロセスでは、基盤からゴミを取り除く「洗浄」工程があり、その際に、不純物のない純水や薬液が使用されることがあると聞きますが、県内の状況について商工労働部長にお尋ねいたします。
1997年に採択された京都議定書のなかでは、温室効果ガスの排出削減目標が国ごとに定められ、「2010年までにPFCの排出量をそれぞれの基準レベルより10%以上削減する」(WSC自主宣言)という削減目標が示されました。
2011年に報告された数値では、欧州、日本、韓国、米国、台湾の合計で、目標を大きく上回る32%の削減に成功したとされています。
日本では、1999年4月に「特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)」が施行され、2013年には小型家電リサイクル法が施行されて以降、レアメタルをデバイスから分離する技術が向上し、「都市鉱山」のレアメタルの再利用技術が確立したことから、レアメタルや有害な無機半導体材料の廃棄が大きく減少しました。
現在のところ、日本はトランプ関税の対抗措置として中国によるレアアースの輸出規制にも対応できていると聞いていますが、アメリカは自らの関税措置で中国からのレアアースの禁輸措置を受け、各種の製造業現場がギブアップ状態であると聞きますが、県内のPFCの削減状況について商工労働部長にお尋ねいたします。
日本では2020年4月から、PFASの代表的物質であるPFOSとPFOAの合計値について、水道水1リットルあたり50ナノグラム(ng/L)という暫定目標値を設定・運用してきましたが、現在、飲料水の安全性確保に関する新たな規制が現在の暫定目標値から法的拘束力を持つ基準へと格上げされる過程にあると聞いています。そこで、県内の水道事業者のPFAS規制の現状について健康福祉部長にお尋ねいたします。
PFASは「ペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物」の総称であり、その内容は炭素とフッ素の強固な化学結合を特徴とする人工化学物質群とされ、4,700種から10,000種以上に及び、用途も性質も多岐にわたるとされています。
ただ、自然環境での分解がほとんど進まない特性があり、2009年にはストックホルム条約によりPFOSが規制対象となり、国際がん研究機関(IARC)は2023年、PFOAを「発がん性がある」グループ1、PFOSを「発がん性がある可能性がある」グループ2Bに分類しました。
また、米国環境保護庁(EPA)は2024年4月、飲料水中のPFOSとPFOAの基準値を日本の現行基準50ng/Lの約12分の1のそれぞれ4ng/Lという厳格な値に設定し、日本でも、2025年2月、環境省は有機フッ素化合物(PFAS)の暫定目標値を水道法上の「水質基準」に格上げする報告書案をまとめ、2026年4月から施行されるとのことであります。
2020年に設定されたPFAS(PFOS・PFOA合計50ng/L)とする暫定目標値は、これまで法的拘束力はありませんでしたが、環境省と国土交通省の調査によれば、2024年度において暫定目標値を超えるPFAS検出事例はなかったものの、調査した1745事業の約2割に当たる332事業でPFASが検出されており、水道事業者は現行の50ng/Lという基準値に対応するだけでなく、将来的な基準強化も視野に入れた体制整備が求められるとのことでありますが、県内水道事業者の規制強化に対する認識とその準備状況について、健康福祉部長にお尋ねいたします。
岐阜県各務原市や岡山県吉備中央町などでは、粒状活性炭処理によりPFAS濃度を大幅に低減させることに成功しているとのことであります。しかし、基準値がさらに厳格化された場合、多くの水道事業者はGAC処理とイオン交換樹脂の組み合わせや、小規模施設ではRO膜処理の導入など、より高度な処理技術の採用を検討する必要があると言われています。
現在の日本のPFAS暫定目標値50ng/Lは、成人が毎日2リットルの水を生涯飲み続けても健康リスクが生じないと想定される値として設定されていますが、法的拘束力を持つ水質基準への移行により、全国の水道事業者には定期的な検査と結果報告が義務付けられることになります。
有機フッ素化合物(PFAS)の水道水質基準強化は、日本の水質管理の大きな転換点となると考えますが、水道水のPFAS規制強化は、短期的には水道事業者の負担増加をもたらす可能性があり、長期的には国民全体の健康リスク低減と環境保全に貢献するとしても、膨大なコスト負担が必要です。水道施設の管理費の増嵩や人口減少などを考慮すると、水道事業者の合従連衡や事業の協業化、集約化、広域化などの対応は不可避と考えますが、県として今後どのような対応を考えるのか、この際、知事のご所見をお尋ねいたします。
│掲載日:2025年06月20日│
上水道事業は、日常生活に欠かせない飲料水と生活用水を住民に対して供給をしていくということでありますので、確実性が求められてるとこでございます。
一方で、議員から詳しく御指摘をいただきましたPFASなどの水質基準の強化への対応のみならず、人口減少に伴います料金収入の長期的な減少、また施設、管路の老朽化への対応など、水道事業は、様々な経営課題を抱えております。将来的に、現在の市町村単位では水道事業を維持することが難しくなっていくことも想定されることから、市町村間で課題を共有しまして、業務の共同化など、水道事業の広域化に向けた検討を行うことが必要となってきているという認識をいたしております。
このため県と市町村では、令和5年3月に水道広域化推進プランを策定しまして、費用の削減や事務の効率化など、経営基盤の強化が期待できる項目につきまして幅広く検討し、効果が見込まれる取組から順次取り組むことといたしました。現在、実務者レベルの協議会におきまして、各市町村の課題や情報を共有しまして、先行事例の検証なども行いながら、経営の一体化に向けた検討や議論を進めているところであります。
しかしながら、職員の体制ですとか、施設、設備の規模や劣化の度合いといったことは市町村ごとに状況が異なることから、それぞれが抱える課題に対して実効性のある検討を進めるためには、市町村に主体的に取り組んでもらうという必要がございます。
その上で、県といたしましては、広域的な立場から、小規模な事業なども含め、持続可能な取組となるよう、取組の推進と調整を図っていく考えでございます。
また、検討を進める上で、市町村だけでは完結できない事柄につきまして、国に対して要望していくことも県の役割だと考えております。これまでも国に対して県の現状を訴えまして、水道事業の基盤強化に向けて財政支援の拡充などを求めてきたとこでございますけども、今後も継続して、こういった対応を行っていきたいと考えておりますし、よくあるパターンでありますけども、水道の統合とか自体が目的化するということが懸念されます。統合するんだとかという錦の御旗を掲げて、何で統合しないんだみたいなことを政府は言ってきます。統合は手段でありまして、多分、東京で仕事してる霞ヶ関とか国会議員の先生方というのは、東京をイメージして、住宅地が連坦していて、そこに市町村が割って入っているという認識を、それを前提としておられますけども、どう考えても、益田市と浜田市の水道を、山越えして統合するなんていうのは何の意味もない。連坦してないところを物理的に統合していくとかってことには何の意味もないということ、コストを上げるだけですので、そういう状況の違いと、決して大都市圏の中心部とその周辺のベッドタウンみたいな構造を前提とした制度設計とか、施策の推進をしないようにという注意喚起も併せてしていかなきゃいけないというふうに思ってるとこでございます。
国の全国調査によりますと、令和2年4月から昨年9月までに、県内では上水道10事業、水道用水供給事業2事業、簡易水道2事業で水質検査が実施されていますが、暫定目標値を超える値は検出されておりません。
なお、この調査において、検出の可能性が低いなどの理由により水質検査を行っていない事業者についても、国は、令和7年10月までの実施を求めており、県内全ての事業者において実施される予定であります。
この暫定目標については、令和8年4月から、水道法上の水質基準に引き上げられますが、水道法に基づく登録検査機関である島根県環境保健公社では、検査が受託できる体制を整えており、現在、水道事業者との調整が進められております。
その一方で、特に規模が小さな水道事業者では、検査の義務づけによって費用負担が増加することを懸念していると聞いております。
国においては、水道業者の規模に応じた検査頻度とするなど、負担の軽減に向けた検討が進められており、こうした国の動きを注視していきたいと考えております。
水質基準の見直し等については、平成15年の厚生科学審議会の答申において、最新の科学的知見に従い、常に見直しが行われるべきとの考えが示され、以降、必要な知見の収集等を含め、逐次検討が進められております。
県としましては、将来的な基準強化に対しても、水道事業者が適切に対応できるよう、事前の情報提供に努めてまいりたいと考えております。
県内の半導体デバイス製造業などにおける洗浄の工程では、不純物のない純水のほか、金属微粒子などを除去する酸性溶剤や油汚れなどを除去するアルカリ性溶剤、または製造過程で用いた樹脂などを除去する有機系溶剤などの薬液が使用されております。
洗浄工程の後に生じる廃液には、除去された金属や不純物なども含まれておりますので、県内の該当企業に対し聞き取ったところ、酸やアルカリを打ち消す中和工程やフィルターを用いたろ過工程などを経て、産業廃棄物業者により回収されている、また排出する場合であっても、国の基準の範囲内で適切に処理されているとの回答を受けております。
地球温暖化対策の推進に関する法律、いわゆる温対法に基づき、温室効果ガスを一定以上排出する事業者には、自らの排出量の算定と国への報告が義務づけられており、報告された排出量は、国が取りまとめ、公表しております。
議員指摘のPFCガスは、報告対象となる温室効果ガスの一つでありますが、温対法に基づく報告義務が始まった2006年から、直近の公表データである2022年の報告まで、県内の対象事業者からの排出報告はありません。
なお、PFCガスについて、半導体ガス製造業などにおける洗浄工程で使用される場合もあることから、県内該当企業に対し、その使用状況を聞き取ったところ、いずれの企業からも、PFCガスを使用していないとの回答を受けております。