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先週のひらたCATVは、ナガエツルノゲイトウにかかわる説明会の開催を放送しました。
日本の秋で一番目立つのがセイタカアワダチソウで、10月ごろから日本中が一面が黄色一色になります。従来、日本の秋は錦秋と称されるように銀杏の黄色やモミジ、カエデ、漆の赤が主体でしたが、いま、日本は外来種に経済も環境も浸食されつつあると思うと悲しくなります。小生の孫などは、セイタカアワダチソウは固有種だと思っていると思いますし、淡水植物のホテイアオイも同様にその意識は多くの一般国民の皆さんも同じだと思います。自然環境課のホームページには外来種についての紹介や昨年「外来種のはなし」とする冊子を発行して一般啓発を行ったことが掲載されていますが、一般には外来種に関わる意識は極めて低いと感じます。
島根県は隠岐で多くの固有種が存置しており、固有種の保護は大切な課題だと思いますので、学校教育や社会教育の場での啓発は欠かせないと思います。
ナガエツルノゲイトウに関しては農林業への警戒感から一般啓発が行われたと思いますが、自然景観を守るという観点からは、外来種に関わる一般啓発を強める必要があると考えます。今回のナガエツルノゲイトウにかかわる問題を契機として、外来種に関する取り組みを深化させるべきと考えますがご所見を求めます。
有害鳥獣としては水生動物ではアメリカザリガニやカミツキガメ、陸上動物ではアライグマ、ヌートリアなどの外来動物があります。
マツクイムシは県土に大きな損失を出しましたが、新たに、ヒアリ、アルゼンチンアリなども問題も生じています。島根県の代表的な天然記念物はオオサンショウウオですが、大事な固有種や希少生物を外来種から守るために一般への注意喚起や駆除などに対する考えをお尋ねします。
│掲載日:2024年12月03日│
外来種とは、人間の活用によって他の地域から存在していなかった地域へ入ってきた生物のことをいい、国外から持ち込まれたものに限らず、国内外来種と言われる人によって自然では育成分布していなかった国内の別の地域に拡散された動植物も含まれます。現在、日本には数多くの外来種が存在し、固有種と共生するものや固有種と取って代わったものなど、また人の生活と自然が持続可能な範囲で関わり合うことで、里地、里山など、2次的自然環境が形成されるなど、様々な変遷を経てそれぞれの種が全てに直接に間接に影響し合って、現在の生態系が形成されております。人が多様な形で自然と関わりを持ちながら、森、里、川、海などの保全と活用を進め、豊かな自然の恵み、景観などを次の世代に承継していくには、人と自然が共生する社会を一人一人の責任ある行動によって構築していくことが大事ですが、開発や乱獲など人間活動によるリスク、里地、里山や水田などが過疎化などで管理されにくくなっているリスク、人間により持ち込まれたものにより地域固有の自然が改変されてしまうリスク、人間活動に起因する地球環境の変化によるリスクなど、不適切な人の活動によって自然に対して様々なリスクが生じております。このため、県民の皆様に外来種への正しい理解と適切な対応について、分かりやすい広報啓発を行い、その行動を促す取組が大事であると考えております。
外来種について、県民にその認識を深めていただけるよう、県では様々な取組を行っております。例えば、島根の外来種ガイドの作成、ホームページの公開や外来種の発見のきっかけになることが多い自然保護レンジャーや自然公園の指導員、希少野生動植物保護巡視員など、専門職員とも情報共有し、自然観察会や国立公園等での清掃ボランティアの活動などを通じて、発見、防除につなげております。
また、こうした活動の広報を通じて、外来種について関心をお持ちいただいた公民館等の研修へ情報提供するなどしております。
このような取組をさらに進めることにより、島根の豊かな自然の恵みやその営みの結果としての景観などを次代に承継し続けることができるよう、人と自然が共生する社会の構築に向けた取組を進めてまいります。
県内には、島根の豊かな自然環境の中で育まれた固有種、希少野生動植物が数多く存在しております。県では、島根県希少野生動植物の保護に関する条例を平成22年に制定し、取組を進めてきております。この条例におきましては、県内に生息、育成する希少野生動植物の保護を図り、生物の多様性を確保し、県民共有の財産である健全な自然環境を次世代に承継すること、そのためには一人一人の行動が大事であるということがうたわれております。県では、現在島根レッドデータブックの改定作業を進めております。このリストは、県内で生育する絶滅のおそれがある野生動植物の状況について、県民の理解を進め、さらには保護活動につなげていくことを目的に作成をしております。こうした島根レッドデータブックの活用などにより、県民の環境意識の醸成、自然保護や外来種から固有種や希少野生動植物を守るための注意喚起を進めてまいります。
外来種による被害を予防すること、いわゆる水際対策として持ち込まないことが一番大事だと考えております。その次の段階といたしまして、持ち込むことが許されている外来種等であっても、一定の規制が必要となることに留意し、最後まで責任を持って管理することが大事です。既に広がりつつある場合は、駆除することになりますが、駆除には大変な負担が生じることから、少しでも早くその兆候を見つけることが大事です。そのためには、日頃から身の回りの環境に親しみ、関心を持ち、いつもと違う異変に気づき、そのことを行政や同業の関係機関等に報告し、お互い連携して最新の専門的な知見に基づいた適切な駆除等につなげ、被害の拡大をできる限り防止することが大事だと考えております。
しかしながら、駆除される外来種は、もともと人の活動により持ち込まれたものが何らかのきっかけで自然の中で繁殖し、結果として人への被害を及ぼしていることにも改めて気づく必要があると考えております。先ほど議員が言及されましたナガエノツルノゲイトウは、アクアリウムなどの観賞用に持ち込まれたものが恐らく野外に移出し、その結果、水田等に侵入し、被害を及ぼしている。指定種類といたしましては、特定外来生物に規定をされております。今年の繁殖確認についてですが、最初のきっかけになりましたのは自然保護レンジャーからの一報でした。その一報があったおかげで、現地の農業者をはじめ多くの関係者の尽力により対策を迅速に打つことができたと考えております。
外来種は、持ち込まないこと、持ち込む場合は最後までその命と管理に責任を持つことが必要であること、つまり自然に対する人の行動が結果を左右していることを様々な場面で今後も伝えていきたいと考えております。県といたしましては、外来種に対する正しい理解と適切な行動についての広報啓発の取組をさらに進め、外来種についての関心と最新の知見への理解を深め、実際に行動していただけるよう引き続き工夫して取組を進めてまいります。