県議会だより

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令和6年11月定例会一般質問(3)

壁の議論について

与党の自民党、公明党と国民民主党の3党は、「年収103万円の壁を2025年度税制改正の中で議論し引き上げる」ことで合意し、石破首相は臨時国会の所信表明演説で令和7年の税制改正での実施を表明しました。

5年前に消費税が10%に増税されて以降、コロナ禍があり、2023年・24年に多くの都道府県で健康保険料率が引き上げられ、円安による物価上昇などによって、多くの国民の実質的な手取り年収が減り、生活が苦しくなったと言う意見が多く寄せられています。

 

「年収の壁を103万円から引き上げる」という根拠は1995年当時の最低賃金が611円で、現在は1.73倍の1055円であることから、178万円にすべきだという考えで、野村総研が発表した試算では年収103万円から178万円までの勤労者数の概算544万人から徴収される所得税は大凡1033億円とのことで、年収130万円の所得税は1.9万円、150万円でも4.5万円程度であり、学生アルバイトやパートの皆さんが、それ以上働くと税金がかかる上、配偶者としての控除などが受けられなくなって損だと感じて、働き方を抑える人が多いとして人手不足解消の観点からも議論されてきました。

しかし、今回の国民民主党の提案は、働く人の控除額を75万円分拡大するもので、比較的税率の高い高所得者に減税効果が大きい政策で、年収200万円では8.6万円、年収500万円は13.2万円、年収800万円は22.8万円の減税となり、国、地方の税収は8兆円程度の減収となる見込みともされていますので、本当に手取りが増えて消費の拡大につながって、効果を生むのかは疑問です。

 

ところで、1995年から行われている国民生活基礎調査の1世帯あたりの平均所得を見ますと1994年の664万円をピークに下降しており、2024年に発表された直近の数値は高齢世帯や独居世帯の増加などを背景に524万2000円と前年から3.9%減って、1987年以来の低さとなり、一般的な感覚となる年収中央値の推移を見ると、1995年が545万円、2001年は500万円、2010年438万円、コロナ禍前の2019年が437万円で、直近の数値は396万円となっており、生活状況について「大変苦しい」が26.5%、「やや苦しい」が33.1%で「苦しい」と回答した世帯は前年より8.3ポイント高い59.6%にのぼり、18歳未満の子どものいる世帯では65.0%、高齢者世帯は59.0%と統計を取り始めた1986年以降最も高くなっており、「物価高や燃料費の高騰の影響などで生活の苦しさが増している状況が如実に顕れており、こうした国民の不満が政府・与党の惨敗という総選挙の結果を招いた一因であることは疑う余地のないところであり、目先の評価を得るためのバラマキを続けて、根本的な底上げを図る生産投資を怠ったツケは大きいと感じています。

 

一方で、2024年度の国民年金保険料は月額16,980円で、年間203,760円になります。負担が大きいと感じる人も多いと思いますが、国民年金法が成立した1961年の保険料は35歳未満が月額100円、35歳以上は月額150円でした。当時の

平均寿命は男性が約65歳、女性が約71歳で、65歳以上人口が550万人程度で、現在の平均寿命が男性約81歳、女性約87歳で16才も延伸し、65歳以上人口が3,625万人に上ることを考えると、30年間で所得が150万円近く下がった一方で、年金の保険料が87,360円上昇し、健康保険などの負担も大きく上昇したことを考えると、手取りを増やす方策が基礎控除や所得控除の問題で解決しないことは明白です。

 

文部科学省の「令和3年度子供の学習費調査」によると、高校の授業料は実質無償化されましたが、全日制高校 に通う子ども1人当たりの学習費総額 (学校教育費、学校給食費、学校外活動費)は、公立では年間512,971円、私立では年間1,054,444円とはじかれているように、子育て世代の一番大きな負担は教育費です。

国立大学の授業料は、昭和25年が3,600円、昭和27年が6,000円で、昭和31年9,000円、昭和39年12,000円、昭和47年36,000円となり、昭和51年96,000円に引き上げされてから(昭和53年144,000円、昭和55年180,000円、昭和57年216,000円、昭和59年234,000円、昭和60年252,000円、昭和62年300,000円、平成2年339,000円、平成3年375,000円、平成5年411000円、平成7年447,600円、平成9年469,200円、平成11年478,800円、平成13年496,800円、平成14年496,800円、平成15年514,000円、平成16年520,800円)実に16回の改定がされ、平成18年に535,800円、別に入学時の納付金282,000円と定められ、現在に至っていますから、交通費や住居費などの費用を考えると年間120~200万円の費用負担があり、私立文系では2倍、理系は3倍といったところです。

 

こうしたことを考慮すると、高額な所得のある皆さんと子育てがほぼ終わる世代となる50歳から65歳の皆さんの年金掛金と保険料率を引き上げさせていただくこと、人生100年時代を見越して65歳以上の皆さんに75歳まではしっかりと働いていただいて、厚生年金の支給開始年齢を繰り下げさせていただく必要があります。

 

つまり、若年世代の手取りを増加させるためには、若年世代の社会保険料負担を引下げすることと高校、大学の授業料負担について住宅取得控除のように、上限を定めて一定額を税額控除する方法などを検討すべきだと思います。全国知事会は自民党に配慮を求め、石破首相は地方の一般財源総額を確保するとしていますが、一連の103万円の議論について知事の所見を求めます。

 

厚生労働省は年収106万円の壁の撤廃を11月15日の社会保障審議会の年金部会に諮問しました。2016年に施行された社会保険加入の適用要件は、「週20時間以上」「月額賃金8万8000円以上」「従業員501人以上」の3つであり、企業規模は段階的に緩和され、本年10月から51人以上となっています。

つまり、パートタイマーが社会保険(厚生年金と健康保険)に加入する要件は、賃金と勤務先の企業規模、労働時間の3つを全て満たすと社会保険に加入することになりますが、改正案は、賃金と企業規模の要件を撤廃するもので、社会保険の加入要件を「労働時間週20時間以上」のみとするものです。「103万円の壁」は、年収が103万円を超えると所得税がかかりますが、税率は5%で、税金は超えた部分にしかかからないため、実は大きな問題ではなく、パートタイマーにとっての壁は「社会保険料の壁」です。

 

厚生労働省は、「社会保険に加入しても収入を増やしたい人は、週20時間以上働けばいいので、就業の阻害要因はなくなり、人出不足の解消につながり、社会保険加入者が増える。また、企業規模要件は撤廃とあるが、実際には従業員数5人未満の個人事業所は今後の検討課題として適用除外とすることで、負担増による経営圧迫とはならない」と説明し、企業規模要件は、501人以上、101人以上、51人以上と段階的に縮小してきており、一定時間以上働く人は勤務先の企業規模に関わらず社会保険の加入を促進することは自然な流れとしています。

 

そもそも、賃金要件の撤廃の背景は、東京都の最低賃金が1163円に引き上げられたため、週20時間以上働くと年収106万円を上回るようになってきたためで、全国的に最低賃金が引き上げされれば106万円の要件は形骸化すると考えられ、かつ、人手不足も深刻なことから、この時期に賃金要件は撤廃してもいいと判断されたと考えられます。

 

一方で、106万円を超えると社会保険料の支払い義務が生じるため、一旦は手取りが大きく減りますが、125万円を超えると手取りは順調に増える上に後年度に年金の支給で手取りも増加すると説明しますが、パート労働者の社会保険適用については日本商工会議所が中小零細事業者の負担激増につながる死活問題として反対を表明しました。

 

加えて、従業員数が50人以下の企業で働く者が、年間収入130万円以上になると配偶者の扶養から外れるため国民年金の第三号被保険者から第1号被保険者になり、国民年金保険料と国民健康保険の保険料負担が発生しますが、厚生年金の加入とはならないため、保険料負担の分実質収入が減るため、従業員数50人以下の企業で働く者にとって不利益となるなどの問題もあり、国民年金の第3号被保険者制度とワンセットで議論されるべきだと考えます。ようやくコロナ禍を脱したものの、エネルギー価格の高騰や円安による輸入インフレによるコストアップによって中小・零細企業が多い県内の事業所は必ずしも順調な経営環境にはなく、短兵急な改正議論には違和感がありますが、106万円の壁いついて知事の所見を求めます。

丸山達也知事答弁

税における103万円の壁について

基本的に、園山議員の認識、御指摘されました御認識と一致しておりまして、特に壁の問題は、税の壁の問題なんていうのは、ほとんど壁じゃないです。厳密に言うと、御本人が負担しなきゃいけない税金は、いわゆる所得税で言うと103万円を超えたところから課税が始まりますので、その前の98万円のところから住民税がかかりだして、そこが10%、そこから5万円足されて、103万円になったところで所得税の最低税率5%が課されますので、そこで15%課されますけども、根っこの103万円とか98万円のところにはかかりませんので、その瞬間にいきなり大きな税額が発生するということは、基本的にはないのに対して、1つには特定扶養控除と言われる、今ですと高校生、16歳から23歳までの子どもさんを扶養されておられる場合に、扶養控除が認められていまして、これが所得税で63万円、住民税で45万円ですので、これが103万円を超えた瞬間に一遍になくなると、これが一番、若者が働くのを抑制する一番の影響でして、仕送りを受けている親からこの数字を超えないようにと言われて就業調整をしていると。これが超えると、106万円、46万円とか63万円に対して税率がかかりますから、すみません、住民税の場合ですと、45万円の控除がなくなると、税率は一律に10%ですから4万5,000円税額が上がります。63万円の所得税の控除がなくなりますと、最高税率は、一番高い所得税の最高税率は45%ですから、この場合ですと30万円ぐらいの税額がいきなり上がる。これが最大の税における壁であって、特定扶養控除が一遍に103万円でなくなるということが最大の壁ですので、税の壁の問題を解消するということは、一遍になくなるということを避けるということは、配偶者控除において、一定の数字を超えたら少しずつ控除額が下がっていくというふうにやられていますので、それと同じようなことをやれば、特定扶養控除において配偶者控除と同じような、配偶者特別控除という仕組みですけども、刻み、段階的に下がっていくという制度を入れてしまえば、壁の問題は税はなくなりますので、本来的に壁の問題を改正しようと思えば、いわゆる基礎控除を大幅に引き上げるっていうことは必要ありません。

ただ、国民民主党の玉木代表がおっしゃっているとおり、この間の物価上昇だとか、最低賃金の上昇といったことを一切税制がこの間反映してこなかったと。その結果が、議員が御指摘になった所得の中央値が駄々下がりになっているということを含めて、国民の暮らしぶりに税制が目を向けてこなかったというところを痛烈に批判されて、この30年間を遡って引き上げるべきだというふうな問題提起をされていて、これはこれで対応しなきゃいけないんだというように思いますけども、そこは誰もが、基礎控除を引き上げるっていうことは、議員もおっしゃいましたけども、全ての人に適用される減税ということになりますので、規模が大きくなるということ、したがって、それを受け止める余力が国家財政と地方財政全体として受け止めれる範囲内でないと、様々なところで支障が生じるのではないかということは繰り返し申し上げているところでございますので、基礎控除を、壁の問題っていうのはテクニカルに解消し、この間の賃金の上昇とか物価上昇を反映した基礎控除であるべきだということについては、どこまで遡るかということではないかと思いますけども、まずは国家財政、地方財政で引き受けられる遡りをどこまでできるかということを数字を見合せしながら進めていただかないといけないのではないかというふうに思っておりますし、地方財政が埋めてもらえればそれで結構ですというのでは、後れた社会資本整備をまずは進めていただくとか、大都市と地方の格差を国の財政の支援を得て埋めていかなければいけない島根県としては、国家財政が真っ赤っかになっているという状況は、必ず間接的にマイナス影響を受けますので、国家財政も恒常的に何兆円も赤字国債を発行していけばいいじゃないかというふうな決着というのは、島根県にとっていい結果を生み出さないということを含めて、国家財政、地方財政ともに吸収できる範囲内で実行していただきたいというのが私の認識でございます。

余計なことを申し上げますけども、改めて議員からの中央値の数字を拝見をさせていただいて、1995年ですので、平成7年、私が就職して3年後ぐらいですけど、545万円あったものがほぼ400万円になっている。150万円下がって、根本的な政権交代が起きていないのは奇跡的ではないかと。これだけ中央値が下がって、大きな政権交代が起きていないというのは、奇跡的に近いのではないかというふうに思うぐらいの下がり方でありまして、日本における中間層っていうのは崩壊しているということを表す数字でありまして、今回の手取りを増やす以外にも、国民民主党における政策は、消費税減税も年少扶養控除の復活もあったとは思いますけども、様々な暮らし向きをよくしていく。これを経済経由ではなくて、もう直接的に税という世界で実現しないといけないぐらい大変になっているということが国民の支持を得られたというのは、この数字からして、この数字が物語っているのではないかというふうに思うところでございます。したがいまして、お金が、財政が厳しいので基礎控除は引き上げる必要がないというふうには思っておりませんし、どこまで引き上げられるかということを具体的に検討していただく。または、今年一年で全てけりをつけていくということではなくて、決めきれないところは来年度、先にもっと検討してやっていただくということが必要ではないかというふうに思うところでございます。

 

丸山達也知事答弁

106万円の壁について

社会保険の適用の見直しについてでございますけども、いわゆる106万円の壁でございますが、いわゆる106万円という数字に加えて、週の所定労働時間が20時間以上、そして従業員が50人超という3つの要件を満たす場合に、社会保険に加入するとされておりまして、この106万円の壁を越えた場合、この要件を満たせば、厚生年金と、恐らく協会けんぽということになろうと思いますけども、健康保険に加入をされるということになりまして、通常の場合ですと、扶養に入られ、主たる所得を得られている方の扶養の認定を受けて、医療保険であれば、健康保険であれば、扶養者として保険証の受給を受けられる。または、年金については、3号被保険者として保険料の支払いを免除されるということで、いわゆる年金、健康保険における保険料の負担の必要のなかった方々が負担を求められるということで、先ほど申し上げた一線を越えた瞬間に負担が発生すると。相当多額の、多額といいますか、相当の負担が発生するということに相なりますので、こちらの壁のほうがはるかに大きい問題であります。この議論は、先ほどの税の話っていうのは、物価が上がっているから、最低賃金が上がっているから、この基準の額を上げるべきだという議論に税はなっているんですけど、厚生労働省が検討している案は、106万円の壁をなくすって言って、106万円を上げるのではなくて、106万円をゼロにする。引き下げる。引き下げるっていうか、幾ら定額だろうが、頂きましょうというふうにする、全く真逆の方向で検討が進んでいるっていうのがまず全く理解できない1点目です。

それから、もう一つ言うと、総選挙が終わって、少数与党ということが確定をして、そのために衆議院における多数を、過半数を得るために、本当に血へどを吐くような、多分自公与党と国民民主党の政策協議がなされているさなかに、全くそれを吹き飛ばすような検討が厚生労働省という事務方の世界で社会保障審議会年金部会という民意を全く受けていない人たちのところで粛々と進んでいるということが滑稽でならないです。普通に考えれば、与党の枢要な幹部、また税制調査会といわれる日本の税制を決めてきた方々がけんけんがくがくやっているときに、厚生労働省でこんな検討をしているっていうこと自体が、政権の中枢がばたばたされているんだと思いますけど、許されないことじゃないかと、普通に考えて。実務的にこれまでの流れがあって、5年に1回見直しをする。そういう過去からの検討事項になっているから検討するっていう、まさに前例踏襲、縦割りの検討が粛々と進んで、真逆の方向の内容で厚生労働省が最終調整に入ったみたいな話が出てくるっていうことは、信じ難い光景だと思いますし、私は、今言われているような内容が本当に実現すると、多分これは来年の通常国会を目指した法改正ですから、本当に参議院における与党の多数というのは、もう実現するのは不可能に近くなるんじゃないかと、私はそう思います。なぜならば、今申し上げたように、これまで社会保険負担を扶養という形で回避することができてきた人たちに、余計働けば別にいいでしょうと、労働調整しなきゃいいんだから、手取り増やせば、余計に働けばいいじゃないかと言って、はしごを外す制度改正を行う。すみません、労働界からしても、年金が労働界にだって代表に入られていると思いますけども、組合員が増えるいい話なのかもしれませんけど、私は、結婚、出産、介護で正規職員を辞めざるを得なかった女性の方々を中心とする保険料負担の免除を受けてきた扶養者の方々に負担増を強いる政策を無神経にやっていいのかと。働けばいいじゃないか、働いてこなかったあなた方が悪いんだみたいなことをやるっていうのは、これまで今の制度が昔からあるわけじゃありません。産休しかなかった時代、そういう人たちに働けばよかったんだと、正規職員を辞めなきゃよかったんだっていうふうな扱いをするというのは、まさに私は男女平等だとか、女性の中での平等ということなんでしょうけど、形式的な平等という裸の刀をもって、歴史的、構造的な不平等の結果、不利な立場に置かれている人たちをぶった切るような、そんな実質不平等の制度改正を技術的にやろうとしている。税の世界で今起きていることは何かというと、国民の暮らし向きに目を向けてこなかったから、103万円の数字を、これだけ最低賃金を上げてきながら一円も起こさなかったっていうことに対する国民の怒りの爆発だとすると、同じようなことを社会保険の世界で本当に起こすんですかっていう政治的判断が働くべきところだと私は思います。これまでの社会保険料を負担していく方々を増やすとか、労働調整をなくしていく、それは分かりますけども、これまでそういう人生を強いてきた社会が合理的配慮として行っている社会保険料の免除っていう制度を5年とか10年ぐらいの経過措置でひっぱいでいくなんていうことを本当にするのか。人生はやり直しが利かないわけです。今の制度が30年前にあったり20年前にあったりするわけじゃない。今の時代にしても、制度は整っても、女性の出産は物すごく大変です。産後の肥立ちが悪い、1か月で治るわけじゃない。働くことを続けるのが難しい、正規職員を辞めざるを得ないっていう方はおられます。そういう人たちは、体調が悪いから仕方ないでしょうと見切って捨てるんですか。働くことと子育てすること、出産、両立できない、するのが難しい方だっています。そういう人たちは、そういう特殊な状況なので仕方ないですねっていう切捨て方をするのかっていうことを含めて、もう本当に今検討されている内容というのは、税と社会保障という世界でいくと、税の世界で今起きている与党に対する厳しい批判を社会保障の世界で再び再発させることにならないかという観点から再検討が必要だと思います。

すみません、もう一つ、園山議員がおっしゃった、これまで社会保険料を負担しなくてよかった方に負担してもらうっていうことは、これは労働者側だけじゃありません。雇用者側もそうです。特に50人未満の企業に負担を求めていくということですから、零細企業です。零細企業の方々が本当にこういう社会保険料負担を負担できる環境にあるとはとても思えませんし、私からすると、中小企業と大企業の不公平、不公正な取引慣行の是正なんかもしてもらえない中で、賃上げの原資も確保できない中で、賃上げすらできないのに今の賃金で社会保険料を別途納めろということになれば、本当に法が施行された途端に社会保険料倒産とか社会保険料のための解雇とか人員調整とか、社会保険料のための廃業っていうことが本当に起きかねない。そういう中小企業に対する目配りという意味でも、本当にこんなことを裸でやろうとしているのかと。本当に中小企業の皆さんの意見を聞いてやられているのかっていうことを本当に考えないと、103万円で起きていることが、税の世界で起きていることが、次の選挙で106万円の世界で起きるということを大変、それは特定の政党の勝ち負けに私は関係しませんけれども、そういうことをちゃんと目配せして政策決定、厚生労働省という、立場で言えば一つの単なる役所の事務的な判断で物事が進んでいるっていうことをきちんとマネジメントされて、これは官邸とか与党中枢の方々だと思いますけども、政治、人の暮らしを守る立場、厚生労働省の年金部会なんていうのは、お医者さんの世界で言うと膵臓の専門医みたいなものです。特定臓器の特定の制度の専門家にすぎない。政治の世界は、人の暮らし全部、体全部を見る総合診療医じゃないといけないと。そんな判断は、胃の専門家とか肝臓の専門家とか脳の専門家はやってくれないわけです。役所ではやらない。ですので、政治の目線で有権者の皆さんの暮らし、国民の暮らしという目線で、こういうことが本当に影響を受ける方々が耐えられるのか、対応できるのか。理屈は多分あるんでしょう。理屈があっても、現実のプレーヤーが理屈どおりに動けなければ、絵に描いた餅ですので、そういった観点で106万円の壁の問題、社会保険料の問題をともかく、こちらのほうは本当に政治の目配せがどこまで利いているのか分からない状況でこういう議論が進んでいると思いますので、きちんと政治の目線で、今の状況ですと与党のマネジメントの下できちんと議論が進むということが必要ですし、影響を受ける労働者の方々、そして雇用者、事業者の皆さんが本当に対応できるのか、どういうふうに評価されるのかっていうことをきちんと踏まえて、技術屋さんの制度設計ではなくて、人の生活全体を見る政治の目線で正しい議論がされているのかどうかということをいま一度検証していただきたいというふうに、長くなってすみません、思っているところでございまして、ぜひ各党各会派の御協力も頂戴いたしたく思うところでございます。すみません。私からの御答弁は……。失礼しました。住民税の課税が始まる所得水準を「98万円」と申し上げましたが、正しくは「100万円」でありましたので、訂正をさせていただきます。

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