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出生数の減少は、妊娠・出産が可能となる若年女性とまた、その婚姻相手となる若年男性の定住と密接不可分でありますが島根県においても核家族化の流れが加速しており、人口は大きく減少しながらも、世帯数は今もって伸長していますが、県内では松江市や出雲市の市街地やその近郊地域を除いて高齢者世帯が増加をしているように感じられます。そこで県内の65歳以上の高齢者数と世帯数、うち80歳以上の高高齢者数と世帯数およびそれぞれの単身者世帯数の推移についてお聞かせください。
知事は提案説明の中で「人生会議」に言及されました。従来、島根県内のほとんどの地域は、地縁、血縁、同族の集団社会であり、また、単身世帯であっても孤立が社会問題化することは極めて稀なことでしたが、65歳以上の高齢者だけの世帯数が県全体の4分の1となり、80才を超える高高齢者世帯の半数以上が単身となるに及んでは、生存中の自身の健康管理はもとより、家屋や山林、農地などの財産の管理が日常の問題となってきており、後嗣が不在、または遠隔地居住の場合は、認知機能の低下や病気、死亡後の問題などが放置できなくなってきており、いわゆる「孤老」が地域の大きな課題の1つとなりつつあります。
三昨日の中央新報の紙面で特集が組まれていましたが、11月30日は『いい看取り・看取られ』にかけて、厚生労働省が定めた「人生会議の日」であります。
人生会議(ACP:アドバンス・ケア・プランニング)は、命の危険が迫った状態になると、約7割の人が医療やケアの望みを伝えられなくなるとされており、もしものときのために、自らが望む医療やケアについて前もって考え、家族や医療・ケアチーム等と繰り返し話し合い、共有する取り組みのこととされています。
人生の最終段階における医療・ケアについては、医療従事者から適切な情報提供と説明がなされた上で本人と医療・ケアチームとの合意形成に向けた十分な話し合いを踏まえた本人による意思決定を基本とし、多専門職種から構成される医療・ケアチームとして方針の決定を行うことが重要とされ、厚生労働省では、人生の最終段階を迎えた本人や家族等と医療・ケアチームが、最善の医療・ケアを作り上げるための合意形成のプロセスを示すものとして、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」を策定しており、島根県でも令和3年度に、「ACPって何だろう?」とするマンガを作成・発行したとのことであります。
しかしながら、本年10月に高齢者福祉課がしまねwebモニター739名を対象に行った調査では69.4%の513人が回答した中で、「知らない」と答えた人が89.1%で、医療や介護に携わっている人を除いてほとんど認知度は低いという結果でした。
アンケートでは、「終末期の医療・ケアについて話し合ったことがある」とする回答が全体の27.5%となっていますが、市町村の「エンディングノート」や「就活支援ノート」の存在は88.3%が「知らない・活用していない」と答えていますが、県内の取り組み状況をお尋ねします。
例えば、県内では、多くの地域で農地が集落営農によって守られてきましたが、担い手の高齢化や離農によって中山間地域を中心に耕作放棄地が増大しつつあります。
荒廃を防ぐ手立ては担い手への農地の集積でありますが、そのためには、農地の出し手と受け手を繋ぐ世話焼きが不可欠です。しかし、自治組織や営農組合の役員やオペレーターの多くは70才代で、関係者の高齢化によって、新規のマッチングに結びつかないことが多いのです。
農地の荒廃を防ぐためには、農地の状況把握と耕作の意思の有無、貸借の条件や行政支援、農地の再整備などの要求、要望をワンストップサービスで行なう仕組みが求められており、事業の承継のみならず様々な分野の維持・存続を図る取り組みを進める必要を感じますが所見を伺います。
同様に、多くの地域で、自治会や社会福祉協議会など地域のボランティア活動を支えている主体は70才以上の高齢者であり、若年世代は共働きで日常の勤労で精一杯です。今まで、死に対する行政サービスは火葬場の提供ぐらいであったと思いますが、孤老の問題は、死後の葬儀や納骨、財産処分などの葬儀後・死後の事務、病時や死亡時などの親族への連絡業務である情報登録伝達、生活自立支援や成年後見
制度など終活相談のみならず、生活している間を含めた多様なサービス提供が必要になりつつあるように感じます。
空き家や耕作放棄地、放置山林などを取り巻く問題としては、悪質な民間の有料サービスや外国資本による土地取引など想定外の事象も見受けられます。
従来は、地縁、血縁、同族といった「つながり」によって支えてきた地域社会でありますが高高齢者の「孤老」と言う問題は厚生労働省の示すガイドラインを超える『広義の人生会議』が必要となっており、人生会議の状況と今後の取り組み、啓発のあり方についてお尋ねします。
│掲載日:2024年12月03日│
県内の65歳以上及び80歳以上の高齢者数と世帯数、またそれぞれにつきまして世帯人員が1人であります単独世帯数の推移についてお答えをいたします。
まず、65歳以上及び80歳以上の高齢者数につきまして、1920年から2010年までは総務省の国勢調査、2023年は県の人口移動調査に基づいてお答えをいたします。
65歳以上の高齢者数は、1920年が5万6,637人、1950年が6万4,981人、1980年が10万7,479人、2010年が20万7,398人、2023年が22万7,149人でありまして、この103年間で17万512人の増加、約4倍に増加しております。
80歳以上の高齢者数は、1920年が5,800人、1950年が7,557人、1980年が2万104人、2010年が7万3,511人、2023年が8万4,197人でありまして、この103年間で7 失礼いたしました。2問目の高齢者数と世帯数に関する答弁の最後に、80歳以上の高齢者数と申し上げまして、1920年から2023年の間の103年間での増加数につきまして、7万8,397人の増、約15倍の増ということでございます。
65歳以上の高齢者のみの夫婦世帯と単独世帯の合計は、1985年が1万8,887、2010年が5万3,718、2020年が6万7,764でありまして、この34年間で約4倍に増加しております。うち、65歳以上の単独世帯数でございますが、1985年が1万702、2010年が2万7,279、2020年が3万5,331でありまして、この35年間で約3倍に増加しております。
80歳以上の高齢者のみの夫婦世帯につきましては、1985年は夫の年齢を基準としまして、他方で2010年、2020年は夫婦とも80歳以上の数値となります。高齢者のみの夫婦世帯と単独世帯の合計は、1985年が3,028、2010年が1万4,855、2020年が2万507でありまして、この35年間で約7倍に増加しております。うち、80歳以上の単独世帯数は、1985年が1,615、2010年が1万991、2020年が1万4,502でありまして、この35年間で約9倍に増加しております。
なお、世帯数に関するデータとしまして、国立社会保障・人口問題研究所が先月12日に公表しました2025年の推計値になりますけども、こちらにおきましては、世帯主が80歳以上の夫婦のみの世帯と80歳以上の単独世帯との合計は2万7,324世帯でありまして、そのうち単独世帯は1万6,654世帯となっております。単独世帯の数で見ますと、2020年に比べて、2025年の数値は2,152世帯、約15%増加するという推計になってございます。
人生の最終段階におきまして、本人の意向に沿った医療、ケアが行われるようにするために、本人の意向を本人、家族、医療、介護の関係者があらかじめ繰り返し話し合っていく人生会議の取組が非常に大事となっているところでございます。県内では、市町村や医療機関などを中心に、終末期やみとりをテーマとした住民向けのシンポジウムや講演会が行われております。また、出雲地域の住民と県立大学看護学科の学生、教員でつくります小劇団人生会議まめな会におきましては、人生会議をテーマとした寸劇を用いた啓発を行っておられるなど、県内におきまして人生会議の普及に向けて様々な取組が行われております。
他方で、県の取組でございますけれども、普及啓発ポスターや人生会議の大切さ、家族等と話し合う際のポイント等をまとめた啓発漫画を作成しまして、市町村、医療、介護関係者などに配布をしております。
また、今年度からは、新たな取組としまして、11月30日の人生会議の日を中心としまして、新聞、テレビ、SNS等の様々なマスメディアを活用して、人生会議の普及啓発を行ったところでございます。
こうした本人の意向に沿いました医療、ケアにつなげる人生会議に関します普及啓発の取組に加えまして、県内多くの市町村におきましては、エンディングノートや終活支援ノートを活用した取組が行われております。このエンディングノートなどでございますが、これまでの人生で大切にしてこられたことやこれから大切にしていかれたいこと、死亡時の連絡先、葬儀の方法、財産の分配など、個々の意思を具体的に記載することで、最後まで自分らしく歩むために必要なことや考えをまとめることに役立つものでございます。市町村では、研修会、講演会、出前講座などにおきまして、こうしたエンディングノートを活用し、医療、ケアにとどまらない広い意味での人生会議の普及啓発が図られているところでございます。
農地維持、継承につきましては、現在各市町村におきまして地域計画の取組が進められており、今後も維持していくことが必要な農地やその農地を任せていく担い手につきまして検討が進められております。この取組では、市町村が公民館単位などある程度広域なエリアを単位としまして、農業者、農業委員会、農地中間管理機構、JA等の関係者による協議の場を設定し、区域内の農地につきまして、状況の把握、耕作の意思の確認が進められております。この取組の中で、耕作の継続が難しい農地の明確化やそれに伴う対応につきまして、地域、市町村等の関係者で話合いを行うことによりまして、高齢で離農される方の農地があったとしても、適切に管理が行われ、農地の荒廃を防いでいくという必要があると考えております。
一方で、中山間地域におきましては、農業に限らず、集落活動など様々な分野での担い手が不足しておりまして、このことは今後さらに進んでいくものと考えております。昨年、地域振興部が実施しました中山間地域実態調査におきましては、集落活動を中心に担う年代につきまして、60歳代と回答された集落が73.8%と最も多く、次に70歳代と回答された集落が62.4%となっています。5年前の平成30年調査から見ますと、70歳代が15.6ポイントの伸びと最も大きくなっておりまして、担い手の高齢化が進んでいることがうかがわれます。
また、集落の困り事は何かといった設問に対しましては、少子化や高齢化により人手が不足していると回答された集落が69%、集落の活動の負担が大きいとの回答が58%、集落代表者の成り手、後継者がいないといった回答が43.6%ございました。農林水産業や地域活動を中心に、高齢者の方が担い手になっておられる分野は多くございまして、その役割を維持、継続をしていくということは、島根創生計画でいう笑顔で暮らせる島根をつくる上で大変重要と考えておりまして、こういったことにつきまして、担い手を確保する対策に取り組むとともに、その活動を持続可能な手法に改めていくことも含めまして、市町村と共に対応を検討していく必要があると考えております。
県内では、市町村におきまして、エンディングノートなどを活用した取組などを通じて、広義の人生会議の重要性について普及啓発されているところでございます。しかしながら、議員御指摘のとおり、県が本年10月に実施した調査におきましては、約9割の方がエンディングノートを知らない。または、知っているが持っていないと回答されておりまして、県内において広義の人生会議の取組が十分に定着しているとは言えないという状況にございます。人生会議の取組が広がらない背景としましては、本人としては、元気なうちから死について考えるのは抵抗がある。自分はまだ元気だから、死について考えるのは早過ぎるといった思いがあるということと、家族とされましては、本人の死について家族の側からは言い出しにくい。何をきっかけとして話し始めていいのか分からないといった思いがあるためと考えております。このことから、広義の人生会議の普及啓発を図っていくためには、自分の思いを伝えることなく亡くなった場合には、残された家族の方々がどのようなことについて困られるのかですとか、本人の生前の意思を実現するために利用できる制度としてはどのようなものがあるかなどについて理解していただくこと、併せまして本人や身近な人のもしものときに備えて日頃から考え、話し合うような機運を醸成していくことが大切であると考えております。
より多くの方に広義の人生会議につきまして理解をしていただくために、今後も市町村や幅広い関係者の皆様から、より効果的な普及啓発の方法につきましての御意見もいただきながら、広義の人生会議の普及啓発に取り組んでまいりたいと考えております。