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4点目は平和の語り部事業についてであります。
2月16日、松江市内のホテルで島根県遺族連合会の役員研修会と青年部設立総会が開催され、戦後の記憶を継承し、戦争の悲惨さや平和の大切さを発信するためには孫やひ孫の世代に活動を引き継ぐ必要があるとして、遺族会に「青年部」が組織されました。
日本遺族会は、戦争の実態や経験を後世に語り継ぐ「平和の語り部」活動を日本全国で展開しており、島根県でも会員が地域の小中学校などの依頼に応じるかたちで、戦災体験等を語り伝えてきており、戦争経験を風化させないためにも平和教育の一環とする行政との協働を深める必要を感じたところです。
厚労省は、戦後70年余りが経過し、戦中・戦後の労苦を体験した方々が高齢となる中、当時のことを語り継いでいくことが難しくなっているとして、①社会・援護局の事業として、戦後世代を対象に、当時の体験と労苦、思いなどを次の世代に伝えていく語り部の育成事業を予算化し、その取り組みを進めていると聞きますが、その事業内容についてお聞かせください。(健康福祉部長)
また、厚労省では遺族会の事業とは別に研修を実施し、受講終了者が戦争に関わるパネル展での説明や小中高等学校などでの講演といった活動に携わるほか、全国各地で活動する語り部のネットワークを構築し、戦没者遺族やその家族以外の新たな担い手を発掘するとしていますが、②島根県での「語り部事業」の取り組みの状況と学校での平和教育の実施状況をお尋ねします(健康福祉部長)
│掲載日:2025年02月25日│
県では、個人や団体などが行われております戦争の語り部活動の全ては把握しておりませんが、県が県の遺族連合会などを通じて支援しております地域の遺族会の語り部の活動の事例を一部紹介いたしますと、県の遺族連合会の斐川支部では、孫、ひ孫の会が江田島旧海軍兵学校跡地を視察し、見識を深められ、コミュニティセンターや公民館などの身近な場所を利用して、戦没者の遺品を展示したり、戦地からの手紙や遺影、慰霊事業の写真などを活用し、地域住民に戦争体験者から聞き取った話を伝える活動が行われております。
また、雲南市の遺族会では、ベテラン語り部が講師となり、語り部活動の体験談を交えて、孫、ひ孫世代の語り部のスキルアップにつなげる指導を行ったり、市内の小学校に出向いて戦争体験を語り継ぐ活動が行われております。
こうした活動が県内に広がり、孫、ひ孫の世代が戦争体験者やその遺児の世代からしっかりと戦争の記憶を継承していくことが大切だと考えております。
また、子どもたちが語り部から直接話を聞くことは、戦争の悲惨さや平和の大切さを実感することができ、戦争を自分事と捉え、平和について深く学び、戦争を二度と起こしてはならないという決意を持って、今の自分に何ができるのかを考えることにつながっていきます。
多くの小学校では、修学旅行先での研修として、広島平和記念資料館や原爆ドームへの訪問が行われております。子どもたちは、展示物の見学を通して、研修前に行った事前学習では実感できなかった戦争の悲惨さを改めて感じたり、平和への願いを強く抱いたりしていると伺っております。こうした体験は、学校における社会科や特別の教科道徳、総合的な学習の時間などにおいて、平和に関する学習を受ける際に、より実感のある深い学びにつながっていると考えております。
県としましては、今後も、県遺族連合会など、関係者とも連携して、戦争の記憶を風化させないよう、戦争の悲惨さや平和の大切さを後世に継承していく、孫、ひ孫世代の活動などを支援してまいりたいと考えております。