県議会だより

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令和7年2月定例県議会一般質問(4)

災害の避難所について

3点目は災害の避難所についてであります。

昨年は災害が相次いだ年であり、能登半島地震や豪雨、島根県でも大社日御碕線の路肩崩落などが発生しました。今議会には、日御碕地区の孤立解消の観点から出雲市の林道建設を県が代行する事業として着手する方針を示され、所要の予算が計上されております。知事のご勇断に心から感謝を申し上げる次第であり、①今般こうした措置を決断された知事の所感を求めるところであります。(知事)

災害の発生が予測される場合、気象通報などを考慮した行政からの避難指示、勧告によって市町村が指定した避難所には一定の器具や物資が準備、備蓄されていますが、突然の災害発生の場合の多くは緊急避難で、必ずしも避難所が開設されているわけではありません。

小生は平成9年の7月にそうした場面に遭遇しましたが、住民相互の助け合いや物資の持ち寄りで時を過ごした覚えがあります何日もの避難生活が続くと、食事と身づくろい、お風呂が欲しくなるものです。

先日、TV報道で、イタリアの避難所における生活支援および食事支援についての特集を視聴しましたが、イタリアでは、地方自治体やボランティア団体による取り組みが進んでおり、この10年ほどで、全ての組織にキッチンカーや食堂、トイレ、シャワー、ベッド、テントが備蓄されて、発災後、短時間でパッケージとして被災地に届けられ、避難所を設営する仕組みが構築されているとのことでした。各避難所には、キッチンカーが1台以上配備され、調理はコックまたは調理トレーニングを受けたボランティアが担当し、温かい食事の提供が可能とのことでした。

先ごろ、半島地域には一定の災害備蓄用品が配置され、今議会の代表質問にはトイレカーやランドリーカーの導入が提案されたところですが、島根県の多くの地域、とりわけ中山間地域や半島、離島などはプロパンガスの使用家庭が多く、停電やガス管の破断があっても熱源があり、②防災用設備としてのキッチンカーの導入または簡便なナベ、カマ、コンロなどの炊き出し道具の備蓄が有効だと考えますが、ご所見をお伺いいたします。(防災部長)

また、歯科,口腔分野の衛生支援については日本歯科医師会によって支援体制が構築されているところですが、肝心要の歯ブラシが避難所に備蓄されてはいないようであります。感染症予防や災害関連死の防止には歯磨きが有効とされていますが、歯ブラシは備蓄品のリストに無いようであります。④県内では篤志家によって防災用の歯ブラシバンクが設立され、1万本が寄託されたと聞いていますが、今後、計画的に歯ブラシを備蓄品として準備してはどうかと考えますが、ご所見をお尋ねいたします。(防災部長)

丸山達也知事答弁

日御碕地区での林道整備について

昨年7月の県道崩落で孤立いたしました日御碕地区におきましては、集落規模が大きいことに加えまして、本県の主要観光地でもあり、今後も災害発生により孤立が発生した場合には、社会的、経済的な影響が大きいと想定をされるとこでございます。こうした観点から、迂回路となる林道の早期完成を目指して、当初は、議員御指摘のとおり、出雲市による整備を前提に検討をいたしておりましたけれども、出雲市におきましては、大規模な林道の整備の十分な経験がないことから、より迅速で円滑な整備、事業執行を期すために、地元出雲市による地元調整や用地確保を出雲市において行われるということを前提といたしまして、今回は、十分な整備経験を有し、技術力を有する県において代行整備をすることとしたところでございます。早期にこの林道が完成するよう、市の協力を得ながら整備を進めてまいりたいと考えているところでございます。

 

森本敬史防災部長答弁

防災用設備としてのキッチンカーの導入について

避難所における食事の提供について、市町村では、避難所となる公民館や学校の調理室を使用することとしており、調理室が使えない場合に備えて、ガス事業者等と協定を締結し、炊き出しの設備やガスを調達できるようにしております。食材については、市町村、県とも、民間事業者との協定により調達することとしております。調理につきましては、自主防災組織やボランティアの方などに担ってもらうことを想定しており、県においても、県栄養士会と昨年3月に協定を締結し、炊き出しを行う人の派遣を受けることとしております。

このように体制を整えてはおりますが、災害時において、設備、食材、調理する方をそろえるのに時間を要しているというのが実情だと思います。

議員から御提案のありましたキッチンカーは、これらを全て整えた状態で被災地に入り、限られたスペースで衛生的な調理ができるため、有効な手段と考えられます。

松江市では、県内のキッチンカー団体と災害時の食事の提供について協定を結んでおります。また、県でも、昨年12月に、県外のレンタル事業者と協定を締結し、この事業者にキッチンカーの提供と調理する方の手配について協力いただけることとなりました。こうした協定による支援を活用しながら、避難所において、温かい食事やメニューを提供できる体制を迅速に整えられるよう、県としても引き続き、市町村を支援してまいりたいと考えております。

森本敬史防災部長答弁

歯ブラシの備蓄について

厚生労働省の避難所生活の健康管理に関するガイドラインによりますと、避難所では、歯や口の清掃がおろそかになり、食生活の偏りなども重なって、虫歯などが生じやすくなり、特に高齢者では、体力低下も重なり、誤嚥性肺炎などの呼吸器感染症を引き起こしやすいことから、歯磨きやうがいなどを避難者に働きかけることを促しております。

県では、平時からの歯ブラシの備蓄は行っておりませんけれども、日用品を扱う事業者との協定による流通備蓄という形で、災害時に必要に応じて調達し、市町村を支援することとしております。

こうした中、昨年5月、県内の歯科医師で構成されます島根歯ブラシバンクから、竹製歯ブラシ1万本を寄贈していただき、発災後、速やかに提供できることとなりました。県としましては、避難所において歯磨きなどの口腔ケアが十分なされるよう、改めて市町村に働きかけるとともに、その取組を支援してまいりたいと考えております。

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