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「君子はその位(くらい)に素して行い、その外(ほか)を願わず」という一節は子思(しし)著(あらわ)した中庸にある言葉で、「自己に与えられた環境の中で運命を呪ったり、不平不満を言ったりせず、精一杯の努力をして、それ以外のことは考えない」とする意です。
石破内閣がスタートして4か月が経過しました。「德は孤ならず、必ず隣あり」と言いますが、孤立を恐れず愚直に信念を貫いて宰相の地位に就いた石破総理にその片鱗を見た人は少なくないと思います。
しかし、いま、国会では令和7年度の政府予算に関わる修正協議が行われ、政治の駆け引きの中で地方創生は隅に追いやられ、都市住民の利益に直結する政策展開が始まっている様は残念と言うほかありません。。
吉賀高校の一般入試の志願者ゼロのニュースに象徴されるように、島根県の中山間地域や離島では学校の存続が課題で、財政資金の一番は負担軽減の前に存置の経費支出であり、地域の担い手が減少する中で農山漁村をどう守るのか、また、インフラの整備や維持管理をどうするのかを真剣に考える場面にあると思います。
また、県内市町村でも自治会・町内会の加入率が低下しています。市街地に住んでいる若年世代の人たちは、ある意味「自活」可能な人たちですが、周辺部で、80歳を超える独居の高齢者が、「高齢」を理由に自治会を脱退する事例は、こうした人たちがコミュニティの外に置かれるということであり、看過できない事態です。
松江市で日本版ライドシェアの実証実験が始まり、 出雲市では民間会社がドライブレコーダーの画像をAIで解析し、道路の損傷や落下物を検知するシステムを開発したとあり、急速に進展する自動化やデジタル、IT,AIなどの活用、投資が地域課題を解決するツールになることは確実であり、これらをどのように行政が活用するかが過疎化・高齢化、人口減少という課題解決の糸口になるのではないかと考える次第です。
県内の中小事業者の多くは、省力化や自動化の投資が進んでおらず、人出不足を高齢者や外国人労働者の活用で凌いできた観がありますが、賃上げをはじめ残業規制などの労働法制や年金制度の改正論議によって企業の先行きを懸念する声は日増しに大きくなってきています。
賃上げを可能にする環境をつくるためには適切な価格転嫁と生産性の向上しか手立てはないのであり、国は価格転嫁ができる仕組みを法制化し、生産性向上のための思い切った設備投資支援や農林水産業には持続可能な値付けの仕組みをつくる必要があり、こうした中で、島根県の令和7年度予算に企業の生産性向上に資する設備投資支援が盛り込まれたことに敬意を表する次第です。
アメリカのトランプ政権の復活で、少し国際社会の進路が変わる可能性を感じるところではありますが、日本は経済政策や社会政策にメリハリを欠き、現状継続によって成長は停滞したままで、明らかに世界に後れをとっています。
私は、必ずしもトランプイズムが良いとは思いませんが、私たちは前に進むために思い切って、新しいものを導入する必要があり、「整理するもの」と「残すもの」をしっかりと区別し、時には辛くても切り捨てる勇気が必要だと感じており、今回いくつかの視点で執行部の見解を質したいと思います。
│掲載日:2025年02月25日│