県議会だより

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令和7年6月定例県議会一般質問(5)

水産業の現状について

県内の漁村の疲弊は極めて大きいと感じています。小生の住んでいる島根半島西端の十六島湾岸地域では0歳から18歳までの若年層が住民の1割に満たない状況となっています。

その要因は沿岸漁業の不振で、漁獲の減による生産市場の閉鎖による運送費負担や鮮度保持のための資材高騰の一方で、魚価はスーパーなどの売値優先の安値安定で、漁業者の実入りは小売価格の2割に満たない水準となっているのです。

こうした厳しい状況のなかで、漁村を支えているのが定置網漁業であり、その事業継続を支えているのがリースによる施設整備と漁獲保険制度であります。しかし、魚の回遊に頼る漁業は、温暖化による水温上昇や海流の異変などにより安定的な漁獲とはなっておらず、島根半島沖の定置網だけを見ても大きなバラツキがみられる状況にあります。

そこで、サザエ、アワビの漁獲減やイカ漁の不振など、沿岸漁業の水揚げの変化に対するご認識について、農林水産部長にお尋ねいたします。

 

水産技術センターは季節ごとに漁獲の状況や予測をレポートしていただいており、感謝するところですが、今年は、島根半島ではイワシやサバ、ブリなどの回遊魚が記録的豊漁である定置がある一方で、全く不漁にあえぐ定置があります。

隣接する施設でも青物の姿はなく、トビウオも極めて少ないと聞いておりますが定置網は、沿岸漁業を支える極めて大切なツールで、豊、不漁の要因を調査し、適切な対応、例えば指導、助言等の対応がとられているのか農林水産部長にお尋ねいたします。

 

今般の提案された補正予算には十六島漁港の製氷、貯氷施設の改修が提案されており、感謝いたしますが、この施設の不具合は5~6年は放置されてきたものです。県は、JFの荷捌き所や冷蔵施設、殺菌冷海水の発生装置などの現状、支所、出張所の建屋の老朽化などの把握はどのようにされているのか農林水産部長にお尋ねいたします。

 

漁業とは直接的な関係はありませんが、山林は海岸の環境保全や藻場の定着、魚類の産卵場確保に大きな役割があるとされ、海岸地域の山林の保全、環境整備は防災のみならず漁業の振興に極めて有効であります。半島防災の計画が発表され、感謝を申し上げるところであり、とりわけ、道路のり面の樹木の伐採が予算化されており、注目するところであり、県内の道路は道路に面したところの樹木が極めて大きくなっており、樹木の伐採をリサイクルすることができれば、一石二鳥で、有機肥料にする、あるいはチップ化してバイオマス燃料にするなどが実践できれば、住民が環境美化や道路や河川など公共施設の維持管理に参加するハートフル事業の拡大につながり、維持管理のコストは飛躍的に軽減できると考えます。こうした取り組みの企画や技術開発を中山間研究センターや産業技術センターなどに研究させて、パイロットプラントをつくり、全県展開してはと考えますが、政策企画局長のご見解をお尋ねいたします。

野村良太農林水産部長答弁

沿岸漁業の水揚げの変化に対する認識について

沿岸漁業の漁獲量は、約20年前の1万5,000トンから、令和6年は9,000トンと、約4割の減少となっております。そのうち定置網漁業では、浜田港の冬季水温が、昭和50年代と比較して2度程度上昇するなど、海洋環境の変化の影響により、主な漁獲対象であるブリ、スルメイカの資源の減少や、来遊パターンが変動したため、漁獲量が減少していると考えております。

また、採貝採藻漁業では、主な漁獲対象であるアワビやサザエの漁獲量が減少しておりますが、これは餌となるアラメやクロメなどの大型海藻が、夏場の海水温により減少したことや、冬場の海水温の上昇に伴い、ガンガゼなどの食害生物が増加し、藻場が少なくなったことが大きな原因と考えております。

また、沿岸自営漁業の就業者数については、平成15年で2,661人、20年後の令和5年には1,030人、約6割減少したことも影響していると考えております。

野村良太農林水産部長答弁

定置網漁業のへの指導助言について

本県では、多種多様な漁業が行われており、それぞれの漁業において重要な魚種であるアジ、サバ、イワシ類やブリ、イカ類などの資源の状況、水温、塩分、潮流などの漁場環境に関する調査研究を中心に行っており、これらの結果を漁業関係者に定期的に提供しております。

県としましては、個々の漁業に対する豊漁、不漁に関する調査を実施しておりませんが、定置網漁業については、生産の安定化に向けて、大型クラゲの対処法やクロマグロの資源管理手法など、知見の提供に加えて、網の動きや水温、潮流に関する技術的な指導、助言を行っており、今後もこうした支援を行っていく考えであります。

野村良太農林水産部長答弁

JFしまねの共同利用施設等の現状について

昨年度、県では、県管理漁港内のJFしまねなどが所有する荷さばき所や冷凍冷蔵施設などの占用許可物件について、令和8年度からの許可の更新に向け、建屋の安全性や利用実態の調査を行っております。この調査では、434件のJFしまね所有物件が対象となり、そのうち屋根や壁などの損傷が著しい物件が4件、老朽化により修繕が必要な物件が14件あることを確認しております。

また、この調査の対象外である殺菌冷海水の製造装置については、令和5年度に県が確認したところによると、JFしまねが所有する27台のうち、4台が故障で使用できない状況でありました。県としましては、損傷が著しく、安全性に問題のある物件の撤去、老朽化が進んだ施設の計画的な修繕など、JFしまねによる適切な措置が取られるよう、必要な対応を行ってまいりたいと考えております。

 

井手久武政策企画局長答弁

伐採樹木のリサイクルについて

まず、議員がお触れになられましたハートフルしまね事業についてであります。

この事業は、県が管理する道路、河川、海岸等の管理におけるボランティア活動を支援するものでありまして、登録団体に対しまして、活動中に負傷した場合などの保険制度への加入のほか、活動に必要な燃料費、機械損料など、経費の一部を助成しております。事業の対象は、草刈り活動と清掃などの美化活動としておりまして、道路のり面等の樹木の伐採などは危険を伴う作業であるということから、ハートフルしまね事業にはなじまないとしておりまして、県が委託する建設業者などが対応しております。

一方、伐採した樹木のリサイクルにつきましては、地域住民が間伐などによりまして伐採した樹木をチップ工場等に搬入をし、バイオマス利用される取組であります木の駅プロジェクトに、県内の9の市町が取り組んでおられます。この取組では、あらかじめ登録をされました住民の方が、市町村が指定をした集積所に木材を持ち込んで、その後チップ化をされ、地域の温浴施設等でボイラーの燃料などとして利用されておりまして、一部の施設の整備には、県も支援を行っているというところでございます。

木材を持ち込まれました住民に対しましては、市町村によって異なりますけれども、1トン当たり3,000円から6,000円の現金または地域通貨が支払われる仕組みとなっておりまして、近年では、県全体で年間6,000トン程度が持ち込まれておるという状況にございます。

この取組に関係されますチップ業者の方に、道路沿いなどで伐採した樹木の取扱いについて伺ったところ、特に制限なく受け入れるとされる業者がおられた一方で、持ち込まれる木材の多くを占める間伐材などの丸太と比べますと、幹が細く、枝や葉が多いということから、課題としまして、受け入れるチップ業者側からすると、チップが多く製造されず、効率的でなくコストがかかるといったことや、持ち込む側からすると、運搬しにくくかつ一定の収入を得るには相当の量が必要となる、そういった課題があるとされる業者の方や、人工林の手入れができたものが対象で、広葉樹のみは対象としないですとか、伐採証明があるものに限る、また幹の太さや長さを一定以上必要としていると、そういったことを、制限とされる業者もおられたということでございます。

伐採樹木のリサイクルにつきましては、伐採した樹木をチップ化をして利用する技術は既に普及をしておるということでありまして、また利用上の課題や制限がある場合が多いところでございますけれども、リサイクルに対応できる業者はいらっしゃいますので、個々のケースに応じまして、先ほど御紹介いたしました木の駅プロジェクトなどにおきまして、可能な範囲で取り組まれていくものと考えております。

なお、環境保全活動におきまして、伐採樹木と同様に、その処理が課題となっております海岸漂着ごみにつきまして、産業技術センターでは、今年4月から民間企業との共同で、海洋プラスチックごみの再資源化技術の開発に着手をしたというところでございます。そういった取組もされております。

地域課題、多岐にわたりますけれども、その解決に向けましては、部局横断で取り組んでまいりたいと考えているところでございます

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