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「オリンピックや国際大会に日の丸をつけて出れば島根県で教員になれるだろうか」との問いに「もちろんだわな」と答えたのですが、現行はダメ。島根の教員はまず学業、特に記憶力が優秀な人材でなければ採用試験の難関は突破できないようであります。
高校、大学の在籍時に日本一になっても、否、国際的な評価を受けてもそれを実績評価されることはありません。厳しい鍛錬を経、それに打ち克ち成果を収めたものだけが持つ、経験に裏打ちされた言葉、肉声がどんな知識にも、書籍にも勝る指導となることがあります。また「島根県は高校や大学で一生懸命やれば見てくれる、評価してくれる」ということが県出身の学生たちにどれだけ勇気を与えるか考えてほしいのであります。オリンピックなら100点、国際大会(コンクール)なら80点、日本選手権なら60点というようにスポーツや芸術、文化などの面での実績を数値化するルールをつくればいかがでしょうか。
特別な経験を有する、独創的な能力を持つ人材を発掘、登用するのにお金は一銭も要りません。従来からの学業成績で勝負する島根県の試験制度は、公正・厳しいとの定評で、近年さらに面接を重視するなどの改善が図られていると聞いております。これに加えて、履歴、実績評価を付加ことによって、さらに優秀な人材を採、登用することが可能となると考えますが教育長の見解を質したいと存じます。
もう1点は教員の異動ルールであります。中学や高校の部活動やサークル活動の指導で著しい実績を上げている教員も別段何もしない教員も評価はさして変わらないとのことで、指導した子が作文や理科コンクールで全国一になったり、部活動の実績が顕れて「やっとこれから」という頃に、一校○年の決まりで転勤辞令。実も蓋も無いとはこのことで、一律のルールは見直すべきではないでしょうか。
長崎県や鳥取県の『あの学校のあの名物先生』。公立学校であっても、人事配置による特色のある学校づくりも必要ではないでしょうか。教育長は行政は法と規則によって行われており、県教委と学校、教員は文部科学省の方針にしたがって教育実践を行っていると言われています。 しかし、学校の児童、生徒は時々刻々と成長、変化しているのであります。ですから、その時々の状況を把握し、教員と児童、生徒が一緒に成長、前進できるような人事システムを検討していただきたいと思います。「悪貨は良貨を駆逐する」と言いますが、教育に過度の行政論理を持ち込むことは教員のモラル低下と意気低下の基ともなりかねません。正しい実績評価と人材の発掘によってこそ島根の教育は光り輝くのであります。
規則や減点法の人事評価で教員を縛るのではなく教員のもっている人間力によって人を育てるという教育本来の目的が達成できるような取り組みを期待し教育長の見解を質したいと存じます。
│掲載日:2007年03月14日│
まず、教員選考試験についてお答えします。学校教育におきましては児童生徒の発達段階に応じて、全人格的教育を行うことが重要でありますが、これからの時代を切り開く心豊かでたくましい児童生徒を育成するためには、教員自身が単に専門知識のみではなく、豊かな個性や人間性、高い倫理観、確かな指導力等を備えていることが必要であると考えております。こうしたことから、本県の教員採用試験におきましては、より総合的な人物評価を行うため、民間企業の方なども面接員に加えた面接試験や体育・音楽・美術などの様々な実技試験を行うなど工夫・改善を加えながら児童生徒の教育を担うに相応しい人材の確保に努めているところであります。
また、スポーツや芸術面で特に優れた指導力を持つ教員の力を、児童生徒の指導に生かすことも大切なことと考えております。このような考えから、現在、学校や地域のスポーツ活動を活発にし、特色ある学校づくりを目指すことを目的に、全国で例のない、本県のみの制度として、特別体育専任教員制度を設けております。この制度により、優秀な指導者6名を採用の上、県内の高等学校に配置し、その学校のスポーツの振興はもとより、地域での各種目の普及・強化に努めており、ホッケーやウェイトリフティング等においては全国的な活躍をし、成果を上げているところであります。
今後とも、優れた指導者としての資質・能力を有する教員の採用方法について引き続き研究してまいりたいと考えております。
教員の異動ルールについてであります。本県における教員の人事異動は全県的な視野に立ち、適材を適所に配置することによって学校の教育活動を一層清新・活発にするため人事異動ルールを設け、実施しており同一の学校には原則として7年間勤務できることとしております。
ご指摘のように、部活動等において指導力の優れた教員が同一の学校に長期間勤務することは競技力の向上や芸術文化の振興を図っていく上で効果のあることと認識しております。現在も、スポーツ活動や芸術文化活動等において特色ある学校づくりを進めているところに適任の教員を配置し、人事異動ルールの弾力的運用や、異動時においては継続して指導できる後任の配置に努めているところであります。また、先に述べた特別体育専任教員については、人事異動ルールを適用することなく、配置校には長期間継続的に勤務し、指導に当たることとしています。
今後、さらに競技力を高め、芸術文化等の部門でも成果を収めるために、人事異動上、部活動を含めた指導実績などを十分に踏まえ、優秀な教員が腰を据えて指導できるよう効果的な運用に努めてまいりたいと考えております。