県議会だより

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平成15年11月議会一般質問

2.ラムサール条約について

宍道湖・中海のラムサール条約登録についてお尋ねいたします。
知事は宍道湖・中海のラムサール条約湿地帯登録を目指すとの表明をされました。この表明は宍道湖・中海の淡水化事業中止の決定の直後で、事業中止に伴う地域イメージの挽回という側面があることを否定するつもりはありません。しかし、現在も宍道湖周辺での野鳥の農作物被害があり、私たちのようにシカをはじめとする野生生物の保護行政のツケを一方的に負わされている関係者からすれば「何を勝手なことを言っているのか」との思いがあります。確かに宍道湖・中海は野鳥の宝庫です。とりわけキンクロハジロをはじめとするカモ類の繁殖地としては有数の場所でしょう。しかし、キンクロハジロはシジミが主食です。いまは漁業者と絶妙のバランスですが過度の保護は周辺で自然と向き合って生活している人の生きるすべを奪いかねません。もつれと呼ばれる掛け網漁や木づけ漁と言われる地域独特の漁は必ず野鳥に対して危険との指摘を受けるでしょう。知事、何故唐突に、ラムサール条約の湿地帯登録なのでしょうか、お尋ねいたします。
時代風潮としてラムサール条約の湿地帯登録に表立って「反対」との表明をすれば「野蛮」「自然保護に反する」との誹りを受けます。地域イメージも著しく低下するでしょう。だからこそこうした表明をされるなら事前に関係者に対する配慮を十分行ってほしいのであります。登録には、宍道湖・中海周辺で農林漁業で生計を立てている者や関係者の理解が登録の前提条件であるはずです。そのための知事のスタッフではありませんか。現在、説明や話し合いはどの程度進んでいるでしょうかお尋ねいたします。
過去、野生鳥獣の保護行政は関係住民の一方的な犠牲の上に成り立ってきました。私は、このままでは責任の範囲を曖昧にしたままで世論形成が進み一気に登録に行ってしまうのではと危惧するところです。登録までの今後の手順および登録後に関係者の経済的損失が発生した場合の制度等の検討は必要ないでしょうか、お尋ねいたします。私は地球は人間のものだと言うほど傲慢ではありません。全ての生物が生息する権利を持っていると思います。しかし、人間の立場から言わせていただけば、法や規則は人間が生活するためのものであって、苦しめるためのものであってはなりません。ラムサール条約の登録にあたってはどうか事前の準備を十分に行って、関係者や地域の将来に禍根を残すことのないよう配慮を望むものであります。

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