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園山繁です。いま、平田が注目されております。上げ潮です。ここ、松江から見れば平田は西側で日の沈む地域ですが、出雲市との合併によって東側、日が昇る地域になるからではないでしょうが、日の出の勢いです。4月には温泉が自噴しました。56.8℃、1分間に630㍑の湧出が確認されました。7月には民間資本による道の駅を中心とした商業・サービス施設、12月には温浴施設がそれぞれオープンします。今朝の新聞では国内最大級の風力発電施設の建設が計画されているとの報道がされ、先日は官民による電力と水素の先端技術研究会が発足しました。
そして、何よりも平田高校の高校野球春期中国大会での初優勝、陸上の日本選手権100㍍土江寛裕選手の10秒21、アテネ五輪参加標準記録突破という快挙でした。土江選手はこの14日にもアトランタ五輪に続いて2度目の代表内定の朗報が届くことが期待されています。平田高校は昨年秋から県内で無敗を誇っており、来春3月出雲市との合併を予定している平田市として、甲子園へ送るラストチャンスとなる今年夏の県大会突破を心から願っています。各位にはそれぞれご贔屓もあろうかと存じますが、何卒平田高校へのご声援のほどお願い申し上げます。
それでは、まず、行財政の改革について知事にお尋ねいたします。
知事は今年の施政方針で行財政改革がいま島根県が直面する最大の課題との認識を示されました。また、今般議会冒頭の提案説明での言及は所信表明の観がありました。自らの責務として取り組みの深化を謳われた姿は、島根県の最高執行権者として財政逼迫という事態を乗り切るんだという強い決意を感じました。しかし、私は釈然としないと言うか、不満に思うのは、示された内容の骨子が、財政再建団体への転落回避を最優先にし、歳出削減によって19年度の基金残高を確保するというもので、現状の執行体制下で各セクションの執行額を段階的に縮小するいわば「奉加帳方式」の取り組みにしか見えないということです。知事、言葉足らずではありませんか。痛みの先に何があるのか。単に「島根の未来を拓く」といった抽象的な言葉ではなく、どんな島根にするのかを示さなければ県民は納得できないのです。
「補助金の削減」「地方交付税の見直し」「国から地方への財源委譲」のいわゆる「三位一体改革」という方向が示されるなかで、交付税など国庫支出金の動向一つで右往左往することとなります。現下の経済情勢で税収に大幅な伸長は期待できるわけではなく、毎年のように歳出の削減を求められることになれば、地方の自己完結能力どころか生殺与奪を国に握られてしまって地方自治は崩壊してしまいます。事実、昨年10月の財政健全化指針で示された収支の乖離額は150億円で、改善すべき歳出削減の額を100億円と発表されました。しかし、そのわずか3ヶ月後の本年2月に、その乖離額は450億円に拡大し、この5月に示された中期財政改革基本方針の骨子では改善すべき歳出削減の額は300億円とされたのであります。
よく考えてみてください。つかみの数字で恐縮ですが、国の予算は約80兆円。歳入は45兆円で借金は35兆円です。借金の残高は積もり積もって500兆円、利払いだけで10兆円を超えています。いま、市中金利の動向が極めて低利に推移しているおかげで、かろうじて凌いでいるわけです。現状の地方交付税の交付水準は、特別会計への繰り入れ基準よりも10兆円近く超過し、大幅な累積赤字を抱えており、今後さらなる減少は避けがたいことは容易に想像できるでしょう。国庫補助負担金も同じで、今後の地方財政に占める国からの支給財源は国の財政再建の流れの中で現在の1/2程度まで減少することを覚悟すべきです。さらに昨日、総務部長は平成20年度以降に起債制限比率の20%突破は避けられないとの認識を示されており、今後、予算総額である分母が小さくなればその率はさらに大きくなります。そうしたことを前提とした執行体制、予算の組み方、事業手法、市町村との関わりまでをしっかりと検討することが肝要でありましょう。しかし、一方で「財政とは数字に凝縮された住民の運命だ」と言われます。職員の削減や住民サービスを減らして行政コストを削減すれば組織は生き残れるでしょうが、地域は疲弊し、過疎地の苦悩はさらに深刻化するでしょう。そうした意味では、過去に例を見ない大型の広域市町村合併が決定されるなかで、今回掲げられている歳出削減には一つ間違えば県内地域とりわけ周辺地域(中山間地域)の定住指向を低下させる危険性、懸念についていかがお考えになりますか。
私は、いま県財政はピンチですが、県政改革の千載一遇のチャンス到来だと思っています。すでに寒冷地手当や退職時の特別昇給は廃止の方向が示されました。職員組合からも給与カットの申し出があったと聞いており、率について労使交渉中とのことであります。「執行保留」との聞き慣れない言葉もあります。しかし、職員の6割が課長補佐級の待遇にある不明朗な人事考課、昇任の実態や莫大な残業、超勤手当の支給、民間との乖離が大きい退職金など抜本的に見直しすることのほうがはるかに大事だと思います。給与カットということは現行の給与制度の維持存続が前提であり、時限的な性格が色濃くなっています。この際、是非、昇任、昇給制度と給与表の改正をしていただきたい。一律の昇給、昇任ではなく職員の能力、職務に相応しい待遇が実現できるような改革をすべきだと思うのです。江戸時代に幕府に藩政返上を申し出るという窮乏状況から改革を成し遂げたと言われる上杉鷹山は、藩政改革にあたる人材を選抜し徹底的に議論させた上で、それを実現する方途として「改革の火種」を配布したことは有名です。「『もうダメだが』という破綻状態のなかでも、勤務する武士の心にはヤル気は残っているはず。任にあたる者の胸に改革の火種がついて炎となれば住民に飛び火する。改革は役人のためではなく住民のためだと理解されれば必ず官民一体となった改革はできる。」と。また、「領民に痛みを求めるのであれば、先ず役人からその取り組みをすべき」とも。私はそうした意味では、まだまだ県庁内部の取り組みが住民の評価を得るに至っていないと感じております。知事、今回の県政改革は、まず県庁が一体となって進めなければ成就しないと思いますがいかがでしょうか。必要とあれば、理事者労働者側の両者からなるプロジェクトチームをつくるとか大胆な取り組みを期待します。側聞するところでは労使の話し合いが決着していないとのことであります。この際、知事が記者会見や広報で声高に県民に話されても、片方で職員が知事方針と違った会見をしているようでは県民の理解など得られるはずはなく、却って、現況の執行手法が存続するのであれば再建団体になって国の管理下でしっかりと出直した方がいいのではないかという声が挙がることは必至でしょう。
昨年の機構改革で、政策企画局が設置されました。丁議とも言える政策企画会議の主管とともに政策企画監により県の行政施策の立案、事業効果の検証などを広範に検討され、県の長期計画の立案がされていると伺っております。つまり、新しい事業の評価システムや事業の構築手法の検討、新しい島根の長期ビジョン策定の特命担当セクションと位置づけるべきものと思います。特命であれば、通常、その事項が完了するまでの間が任期と思いますが、何故かこの4月の定期異動で3人のうち2人が交代となりました。交代の理由は何だったのでしょうか。教育委員会では3月31日付で懲戒処分を受けた当事者が翌日の4月1日付で昇任するという信じがたい人事もあり、行政関係者からも「島根県の人事はいったいどうなっているのか」との声がありました。信賞必罰は人事の基本ですが、非常時には、何よりもまず、腰を落ち着け、性根を入れて仕事ができるような体制も必要で、1年やそこらで幹部職員を異動させるべきではないと思います。組織設置の当初の目的、果たしている役割、特命セクションの人事のあり方についてはどうお考えになりますか。
私は、この際、政策企画監の皆さんに是非お考えいただきたい点を申し上げたいと思います。それは、従来、農林水産業、商工業といった産業政策として立案されてきたものと教育や医療、育児、介護など公共の福祉の観点から産業政策になじまないとされ、非課税の扱いとされてきたものまで、国の制度、関係監督官庁を考慮せず、島根県としてどう分類すべきなのか、産業政策で取り組むべきもの、地域政策で取り組むべきもの、福祉政策で取り組むべきもの、公共(行政)で取り組むべきもの、公共と民間の協調(協働)でとりくむべきもの、民間で取り組むべきもの、公共が補助すべきもの、自立できるものに区別して施策の体系を作り上げてほしいと思います。現在の行政は都道府県も市町村も国の制度にとらわれすぎて、弾力性を無くし画一性に陥っているきらいを無しとはしません。島根と大都市圏の決定的な違いは民間投資の金額ですが、地方の金融機関が国債を引き受けたり、大企業に融資する従来の姿勢から脱却し、地方の事業に資金を提供すればわずか76万人ほどの人口であふれるばかりの潜在的な資源を活かした事業展開が可能となります。単に従来からのPFIなどとは異質の事業手法を考えなければなりません。すでに保育や介護事業などでは行政支援を受けずに事業展開をやっており、通信や観光事業でも民間主導の動きが始まりつつあります。高速道路のように国が国土政策として責任を持って実施すべき事業を別にして、従来、公共の役割とされたことでも民間で実施可能となり、同じように従来は民間の役割とされたことが公共の役割となることがたくさんあると思います。是非、今後、県の行政施策を企画立案するなかで徹底的に議論してもらいたいと思います。この点政策企画局長の所感をお尋ねしておきたいと思います。
また、市町村が事業主体となる国庫補助事業の大部分は県の支援がルール化されております。しかし、現下の財政状況では県の事情で事業実施が困難となる場合や事業の延伸となる事態を懸念しております。しかしながら、災害に関わるものや合併の関連で実施されるものもあり、場合によってはルール化されている県の支援を断ってでも早期実施を懇願するところもあります。あるいは、時に、広域自治体の責任放棄とのそしりを受けるでしょうが、私は、今後国と市町村の理解を得て、状況に応じては、国と市町村の2段階で事業を行うことを検討してはと思いますがご所見をお尋ねいたします。
私は、現在の日本の有り様は子供服を着たままの大人に例えるごとく全く「チントバント」だと思います。明治時代の「富国強兵」「殖産興業」、敗戦時の「戦後復興」、そして「国土の均衡ある発展」と明確な国家目標のもとに憲法を最高法規とする法制が整備され、各種の社会制度が確立しました。高速幹線道路網などごくわずかの点で到達していない部分もありますが、国家目標のほとんどが達成された成熟社会となりました。つまり、時代が求めていることは、新たな国家目標の確立であり、それを実現する社会システムであります。法治国家であればその法整備でありましょう。そうした時代に相応しい都道府県のありかたについて所感を得たいと存じます。
完全に破綻状態の国の財政状況下で旧態依然とした国債、財政資金による公共投資が継続しています。いま、公共投資のあり方、資金調達や事業手法の検討が必要であり、とりわけ本県では民間資金を活用した事業の検討を真剣に考えるべきであります。しかしながら、法案の作成手続きのほとんどを内閣、官僚に丸投げし、ことの本質を離れ、重箱の隅つつきの議論を繰り広げた上に、靴を履いたまま議場の机に上がったり殴り合いをしたりの国会のざまに、国民は失望しており、もはや、国民の政治離れは選挙の投票率に明らかです。しかし、先日の松江市の市長選挙の投票率を見ると、我が身に置き換えて見なければならないと考えました。私たちが成就できない理由として、「法律が・・・国の規則が・・・・」と法令の規定をあげて住民に説明します。いままで私たち議員(と言うより私だけ?)は法律や規則による様々な制度上の障壁を当たり前のように受け止め、その対処を役所に押しつけてきました。しかし、よくよく考えてみれば、法律を制定するのは議会の仕事です。役所はそれに基づいて仕事をするところですが、法律の整備、制定、改正も議会と同時に執行権者にも提案権があることに甘えて、すべて役所任せにしてしまっていることに、愕然としています。政党に対する国民の不信は極に達していますが、まさに、いま、国と地方のそれぞれの役割を見直しそれに相応しい法の整備を政治家自らがリーダーシップをとってやることがこの時代の変革期にあってその任あるものの責務でしょう。すでに一部の市町村では議会が土、日や夜間に開催されている事例にあるように、議会の審議会化が進行しており、また一部ではそれを当然視する動きもあります。つまり、議会の立法機能を強化し、その役割を果たさなければ早晩現在の議会制度は崩壊するでしょう。住民からの要求、要望に対し、県の法令が障害となっていれば県議会が、国の法令が障壁になっていれば、「島根はこうしたいのだ。そのためにはこの法律を改正してほしい。この規則をこう改善してほしい」という要求を官庁でなく衆、参両議院にこそ届けることがいま肝要であるように思います。知事、行政と立法の分離の必要についていかがお考えになりますでしょうか。私は、今後の展開によっては地方議会の立法機能の強化が求められると考えております。また、市町村合併に伴ってきっと住民から突きつけられる県の出先機関が果たしてきた機能の市町への移管や県知事の権限委譲をはじめ県の行政組織の大改革について当面のあり方と将来のかたちについて所見をお尋ねいたします。
(再質問)
県は当面する収支の乖離を450億円とし、それを前提とした財政再建計画を17年度予算の編成にあわせて10月に策定するとしていますが、国の財政はもはや破綻状況です。地方交付税や国庫補助負担金の減少傾向が継続することは、もはや避けられないと考えられます。国からの財源措置が大幅に減少することを前提に、もっと根本的な再建計画を検討しなければ毎年のように数値見直しを迫られるのではありませんか。また、職員給与のカットを3年も続けることはいかがなものでしょうか。現行制度でのカットは1年にとどめ、その間に給与、待遇など人事のあり方を徹底的に見直しして新たな制度の導入を検討すべきではありませんか。あらためて知事の所見を求めます。
(答弁)
澄田知事
平成16年度の地方財政計画で示された地方交付税の大幅減は「地財ショック」と称されました。島根県の予算6,000億円のうち一般財源は約3,300億円ですが、交付税の減少額は250億円にも及びました。大変な金額で、県財政に及ぼす影響は極めて大きいと思っております。県税収入がわずか600億円足らずの島根県の身の丈に合った予算規模はどのぐらいが相応しいかを判断することは難しく、国からの交付財源の見通しと制度改善の動向について知事会など地方6団体と連携して総額を確保する努力を続けたいと考えています。また、私は、旧国鉄時代に職員局長や常務理事の職にあり、労使交渉にあたりましたが、先般の県職労からの提案にあるような労働側からの給与カットの申し入れなどは記憶にありません。財政危機に対する県職員の意識は労使一体で、きっと財政再建を果たすことができると思っております。
│掲載日:2007年03月23日│
公共と民間の役割が変わることを踏まえた施策の企画立案をすべきとのご指摘についてお答えいたします。議員ご指摘のように、企業や市町村など様々な主体が、各地域の特色ある地域資源を活かして多様な地域づくりを進めており、地域福祉の分野などでは、これまでの行政の枠組みでは対応できない問題に自らの意志で自主的・自発的に取り組む県民、企業、ボランティアやNPOなどの活動が活発になってきていると認識しております。このことから、先般策定した「島根県総合計画基本構想編」では、計画推進の基本姿勢の柱の1つとして『自立と協働』を掲げ、民間との新たな関係、仕組みづくりや各種団体との協働を進めることとしたところであります。さらに、直面する財政危機を克服し、自立的で持続可能な県政運営を進めるためには、県行政の守備範囲や行政サービスのあり方など、これまでの行財政運営のあり方を抜本的に見直すとともに、県民・企業・NPOなど多様な主体が地域づくりに参画していただくことが欠かせません。今後、全庁的な施策の優先順位づけにあたっては、その施策は県が行うべきものか否かという視点を持ちながら検討を進めていくことにしておりますが、肝要なことは、職員一人ひとりが行政の役割や県民との協働などを常に念頭に置きながら施策の立案や業務にあたることであり、全ての職員が認識をひとつにできるように努めてまいります。
合併や権限委譲により市町村の機能が拡大していく中で、県の組織機構、とりわけ地方機関については、あり方そのものからの見直しが必要との認識に基づき、先般3月に「地方機関見直し検討報告書」として方向性をお示ししたところです。この報告書について、市町村、県民などからのご意見として、例えば、市町村合併で規模能力を拡大した市が誕生する県東部の都市部では、県からの業務移管を進めた上で地方機関をさらに効率化して良いのではないかとか、また、中山間地域等では効率化の視点だけでは割り切れないなど、今後参考とすべき意見をいただいております。こうしたご意見を踏まえて、県に求めれる高度で専門的な行政サービスを的確に提供していく観点から、地方機関の見直しを住めるとともに、今後の財政改革の取り組みにおける事務事業の見直しと連動して、本庁と地方機関を通じ、さらに簡素で効率的な執行体制の構築に向け検討していく必要があると考えております。なお、県の行政組織の将来のかたちにつきましては、都道府県の役割のうち補完機能は市町村の能力拡大に十もない一般的には縮小し、広域的機能は今後さらに重要になると思われますが、求められる役割の変化に応じて、事業や組織の見直しを不断に行っていくべきものと考えております。
少子・高齢化の進展、産業構造の変化など、我が国を取り巻く社会・経済環境は大きく変化しつつあります。このような環境の変化に的確に対応していくためには、これまでの画一的な中央集権型の行政システムから、地域の自己決定・自己責任の下で個性豊かな地域づくりを可能とする、地方分権型の行政システムへの転換が急務であります。私は、今後、地方分権が進んでいけば、これまで国が担ってきた事務の多くは、広域自治体としての都道府県が、国に代わって担っていくことが望ましい姿であると考えています。したがって、これからの都道府県においては、国の関与を受けない高度の自主性を有する自治体として、政策立案能力、自治立法能力など、高度化する行政事務に的確に対処できる能力を、より一層強化していくことが求められるものと考えています。
次に、行政と立法の分離の必要性についてであります。議院内閣制を採る国政における行政府と立法府の関係と大統領制を採る地方自治体の執行機関と議会の関係では自ずから性格が異なるものであろうかと考えております。その上で、地方自治体においても時代の変化に応じて、相応しいそれぞれのあり方を議論することは大切だと思っています。なお、県議会におかれては、平成11年の議員提案による全国に先駆けた島根県中山間地活性化基本条例の制定をはじめ、平成14年には議会改革の柱として政策立案能力の強化を明確に掲げられており、私は、こうした県議会における取り組みに対しまして敬意を表しているものであります。
本県が直面しております厳しい財政状況を乗り切るためには、私と職員が一丸となって、労使が協力して改革に取り組むことが不可欠であると考えております。私は、改革の時代に相応しい、職員団体との新しい関係の構築が必要であると認識しており、職員団体からも要望がありました行財政改革の推進に関する意見交換の場の設置などにより、広く職員の意見を汲み上げ、その英知を結集しながら県政改革を進める必要があると考えております。
次に、政策企画局設置の目的等について、お答えします。政策企画局は地方分権の進展に伴い、自己決定、自己責任に基づく政策主導型の県政運営を図っていくことを目的として、昨年度設置したものであります。政策企画監室はその中核的な組織として、政策企画会議での審議事項の論点整理をはじめ、総合計画の策定、行政評価の導入、国への政策提言など、幅広く政策形成に資する業務を所掌しており、3名の政策企画監を配置して、担当させております。政策企画監などの幹部職員の人事配置は、その担当職務の内容に応じて、全庁的な視野に立って、適材適所を旨として行ってきております。政策企画監が短期間で異動したことについてご指摘がありましたが、その配置につきましては、業務の重要性に鑑み、適切な人材を配置し、政策企画局の業務の円滑な執行に配慮したところです。一方、期間が限定されるイペントやプロジェクトの責任者等の人員配置につきましては、事業の継続的執行の観点から、必要がある場合には、一定期間継続して配置することとしております。
次に、国庫補助事業実施の仕組みについてであります。国の関与を縮小し、地方の自立性、自主性を拡大小という地方分権の観点からは、国庫補助負担金については、原則として順次廃止し、地方税等に振り替えていくことが必要です。また、当面継続する国庫補助負担金についても、地方の自主性が発揮できるよう見直ししていく必要があります。議員ご指摘のように、県負担を伴わない形ででの事業実施を認める弾力的な制度を作ることは、市町村の自由度向上の観点からは意義のあることと考えています。ただし、このことについては、国、県、市町村の役割分担のあり方を踏まえる必要があり、さらには、都道府県と市町村の2層制を基礎とする地方制度の根幹に触れる要素も含んでいることから、個々に十分な検討が必要と考えています。
「自立的に発展できる快適で活力のある島根」、これが私が目指す本県の将来像であります。地域に根ざした産業や先端産業など多様な産業が展開され、幅広い就業機会に恵まれるとともに、豊かな自然と文化に囲まれ、県民一人一人が健やかで生き甲斐に満ちた人生を送れる社会、私は、県の将来像をこのように考えており、先般、新たな県政の基本指針として策定した「島根県総合計画基本構想編」にも明記しました。未曾有とも言える財政状況を克服し、財政再建の道筋を付けるなかで、総合計画に掲げた将来像を実現することが必要であります。この実現のためには、右肩上がりの経済成長を前提としたこれまでの県政運営、行政手法を転換しなければなりません。地域の自立や活性化のために必要な産業の振興や少子化対策など、県として取り組むべき施策を全庁的な視点で厳選し、その施策に限られた行政資源(人員・組織・財源)を戦略的に集中すること。また、その具体化に向けた企画立案や実施にあたっては、県民意見を十分取り入れ、県民と一緒になって取り組むこと。こういったことを着実に実践することが、本県の将来像を実現する唯一の道であると考えております。
次に、歳出削減による地域への影響に関するご質問についてであります。地域に与える影響を考慮することなく歳出削減を行う、そのことにより、県の組織のみが生き残る一方で、地域が疲弊し、将来への展望を切り拓けないことになっては本末転倒であります。事務事業の見直し・削減については、原則として各種事業費を概ね半減する方針を決定したところでありますが、今後、歳出削減が地域に与える影響を見極めつつ、「中期財政改革基本方針」の策定と具体的な事務事業の見直し・縮減等にあたりたいと考えています。