県議会だより

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平成16年2月議会一般質問(一問一答)

観光振興について

私は明治19年創業の黄昏れ旅館の4代目ですが、極めて厳しい時代にある本県観光業界からの肉声としてお聞き下さい。

平成15年の観光動態(速報値)と、この10年の推移および消費額(単価)はどのようになっていますか。

(商工労働部長)
平成15年度は国内観光が伸び悩むなか、JRのキャンペーンもあり、前年比-2.9%と微減となりました。平成5年の年間観光消費額の推計値は841億円、平成14年は1,033億円で23%の伸びとなっています。また、観光消費単価を平成9年と平成14年で比較すると、県内宿泊客は23,684円から22,192円。県外宿泊客は33,760円から35,740円となっています。県内日帰り客は5,382円から5,221円。県外日帰り客は7,696円から8,203円といずれも県内客の単価が減少していますが、県外客は上昇しています。

首都圏で販売されている山陰の観光ツアーは、羽田発の飛行機利用、2泊3日の食事・観光付きで26,800円-29,800円ですが、こうした状況は把握していますか。
(商工労働部長)
デフレ時代にあって全国的に格安旅行商品も多数販売されていますが、1-2月に首都圏で販売された山陰ツアーは沖縄、北海道と共に春の目玉商品として取り扱われたと聞いています。通常、首都圏で販売されている2泊3日の山陰ツアーは6-9万円と承知しています。

昭和50年頃、各地の民宿の夕食には冷凍のエビフライや唐揚げが並びました。地産地消の取組みのなか、極安ツアーで来訪者に外国産の冷凍食品の提供では、県産優秀食材の評価まで崩壊してしまいます。魚介類や牛肉など県産品の提供をもっと拡大する方策は。

(商工労働部長)
平成16年度に県内の旅館、ホテルを対象に、宿泊施設でどのような食材が使用されているかアンケート調査を実施し状況を把握したいと考えています。地域ならではの食の提供は、魅力のある施設・設備ともてなしの心とともに観光振興の根幹をなすものであり、生産・流通一体となった県産品のブランド化を進めるとともに県産食材の提供施設の紹介など情報提供を拡大したいと思います。

今まで、県は、鳥取県と共同で大型の観光キャンペーンを継続してきましたが、その効果はどう評価しますか。

(商工労働部長)
昭和59年から鳥取・島根の両県で山陰路観光キャンペーンを実施し、20年で約8億8千万円を投入しました。その結果、島根県の年間観光客数は56%、905万人、消費額では85%、475億円の増加となっており、一定の成果はあっているものと思います。

平成16年度から3年間のトップブランド創設事業によって、全国とりわけ東京や大阪などの大都市圏で認知・通用する観光地を育てるとしています。この事業の内容は。
(商工労働部長)
県内で、観光振興に関する潜在力と意欲が高い地域を3カ所程度選定し、商品開発、宣伝、人材育成などに支援を行うほか、東京、大阪に専門デスクの設置を予定しています。また、にほんばし島根館を活用した県産品の展示やモニタリング販売により消費者ニーズに即応した取り組みを深化させたいと思っています。(島根半島を含む出雲大社・松江地域、津和野・益田地域、島前島後の隠岐地域が選定されました)

県内温泉地の利用者数と県内観光入り込み客数に占める割合、消費額はどのぐらいですか。また、公共温泉施設と温泉地の現状は。

(商工労働部長)
平成14年の調査で496万人で19.6%です。消費額は概ね200億円と推計しています。うち、公共温浴施設は30カ所で利用者数は332万人で前年比20%増となっており、玉造や有福などの温泉地17カ所の入込み客数は164万人で4%の減となっており、民間施設の設備投資意欲の喚起が課題となっています。

レジオネラ属菌対策について

温泉が直面している大きな問題であるレジオネラ属菌対策について、県は条例整備などを検討しているとのことですが、現在の対応は。また、検査体制は。

(健康福祉部長)
循環式浴槽等で増殖するレジオネラ属菌による感染が県内施設で発生すれば重大な影響が考えられることから、現在は関係者に対する講習や保健所による立入指導の徹底を図っており、6月議会で条例による規制を図りたいと考えています。また、国の指針に従い、水質管理の状況に応じて年1-4回の自主検査を実施するよう指導しており、施設改善が望ましい施設については関係業界の理解が得られるよう融資制度の拡充などの支援を考えます。

メディアの発達と消費者の健康志向は、問題対処のスピードと徹底を求めています。O157やBSE、鳥インフルエンザなど食品の安全性に関わる問題では、正確かつ迅速な情報開示が市場・消費者の信頼に不可欠の要素となりました。県、生産者の対応は。
(健康福祉部長・農林水産部長)
感染疾病の発生は関係業界に重大な影響があることから迅速かつ適正な対応が必要で、県においては関係法令に基づく防疫体制に万全を期すこととしています。しかし、感染の拡大防止には発生時の関係者による初期通報が不可欠であることから、関係者への損失補償や緊急融資制度の創設を検討しており、国にも要請中です。現在は家畜保健所と獣医師会の連携や立ち入り調査の実施をはじめ、プレスへの情報提供など初動体制の徹底にあわせ風評被害の防止に適切な対処に努めています。

これまで、行政は生産者・供給側に軸足をおいてきたが、食品の安全に係る問題などへの対応から、消費者に軸足をおく必要があると考えます。老舗の経営破綻が続出していますが、「島根の風土は日本の老舗」というブランドイメージを確立し、島根が最終消費地として支持されるような施策の推進に知事の所感を得たい。

(知事)
本県では、昨年12月、「食の安全安心確保に係る基本方針」を策定し、生産から消費に至る一貫した安全対策について取り組みを深化させたところです。今後の島根の振興には、ここに暮らす住民が自然、景観、歴史、文化をはじめ食材を含めて地域の資源に自信と誇りを持つことが何よりも肝要です。本県の豊かな風土を全国の方々に評価していただき、知名度と競争力を有する地域として位置づけられるよう「にほんばし島根館」を活用した情報発信をはじめ、食の開発、もてなしの心の醸成、人材の育成など受け入れ態勢の整備にも努力したいと思います。

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