県議会だより

Reports

平成17年2月議会一般質問(2)

子化対策について

先般の報道によれば東京都の合計特殊出生率がとうとう1.00を割り込んだとのことであります。単純に言えば、出生率が2.00を割り込めば人口は減少に向かうわけでありますが、出生率が1.00ということは1世代で半減し、2世代で4分の1になるということですから、まさに由々しきことであります。本県の出生率は全国平均と比較すれば若干高いとは言え、減少傾向にありますが、近年の推移はどのようになっておりますでしょうか。同様に、核家族化によって3世代同居の家庭がずいぶん減少したように感じておりますが、3世代同居家庭の推移はどうでしょうか。
「しまねエンゼルプラン」や「しまね少子化ステップアップ」が策定され、昨年度からは少子化対策が島根県の最重点施策となりました。その基本コンセプトは「子育ての社会化」であり、育児支援を主とした施策が用意されています。しかし、一方で「結婚を望まない」「子供を産みたくない」という社会風潮、価値観を容認した上での子育て支援では抜本的な対策とはなり得ないと思います。
2月24日付の読売新聞には結婚観についての調査結果が掲載されておりましたが、「晩婚化」傾向が進展するなかで、「適齢期」「25歳はお肌の曲がり角」と言う言葉は女性に対する社会の脅迫だという識者のコメントがありました。
私は、少子化の問題を根本的に解決するためには、従来すべての人間に等しく与えられた「生命の継承」に対する責任をどう果たすのか、「自分らしく生きる」「子供は要らない」「結婚しない」という価値観を認めるのか否か、認めるとすれば、そうした人たちにはどのような役割を果たしてもらうのかを徹底的に議論して、新しい社会合意を取り付けなければ解決しないと思います。
すなわち、子育て支援を柱とした少子化対策はあくまで対症療法の1つでしかなく、抜本的な少子化対策は「個の尊重」をどこまで容認するのかというところからスタートしなければ解決できず、学校教育を含めて相当長期な取り組みが必要と思いますがいかがでしょうか。
また、現在の子育て支援施策は働く女性に主眼が置かれ、働く女性の視点で創られているものが多いと思います。老人のディーサービス施設はずいぶん整備されてきましたが、少子化対策・育児支援が叫ばれながら乳・幼児のディーサービスは未整備です。出生数の減少によって、保育所の措置児童数が減少し、スペースに余裕のある施設も出ており、また、小・中学校にもずいぶん空き教室がありますが、こうした施設を利用し、子育てを経験した世代や元気な高齢者のマンパワーを活用すればどうでしょうか。
在宅児童、お母さんへの支援を含め就労支援からの子育て支援からすべての子育て支援へのシフトが必要ではないでしょうか。
私は以前にも指摘したことがありますが、「朝起きて家族が声を掛け合う」「夕方外から帰ったとき家に灯りがついている」「家族が一緒に食事をする」といったごく当たり前のことが核家族化の進展によって失われつつあり、「当たり前」の観点が大きく変質してきていると思います。
「結婚して家庭に入り子供を産み育て家族を支える」ことは古い価値観で、「結婚をせず社会で自分の能力を発揮する」ことの方がステータスが高いとの風潮があります。
私は、女性の皆さんにリスクを感じることなくもっと安心して結婚し、子供を産み育ててほしいと思います。結婚して、子供を産み育てた人たちの「結婚して良かった、子供を持って幸せだ」という充実感、幸福感を誰もが味わえるような施策を進めることが大切だと思っており、特に、いつでも社会復帰ができるような支援施策の整備が必要と考えますがいかがお考えになりますか、知事のご所見を伺いたいと存じます。

永田健康福祉部長答弁

少子化対策についてのご質問にお答えします。まず、合計特殊出生率の推移についてであります。本県の近年の合計特殊出生率は、昭和60年に人口維持水準である2.08を下回る2.01となって以来、ほぼ一貫して低下を続けております。この10年間の推移を見ると、平成6年には全国第2位の1.85でしたが昨年は全国8位の1.48へと低下しております。全国的には依然として高位にあるものの、平成6年から昨年にかけての減少幅は、全国平均では0.21ポイントであったのに対し、0.37ポイントであり、全国平均を上回る低下となっております。
また、3世代同居家族の推移についてでありますが、「国勢調査報告」によると、3世代同居家族の割合は、昭和50年には34%でありましたが、平成12年には25%まで低下しております。昭和50年から平成2年までは5年ごとに1ポイントづつの低下でありましたが、平成2年から平成7年にかけては2ポイント、次の平成12年にかけては4ポイント低下し3世代同居の割合は急速に減少してきています。
次に、少子化対策における取り組みについてであります。国立社会保障・人口問題研究所が平成14年に実施した「出生同行基本調査」によると「一生結婚したくない」という人が独身者の5%強ではあるものの増加傾向にあり、また、「結婚したら子どもを持つべき」という考え方に反対の人が22.4%と10年前より約13ポイント増加するなど、結婚や子育てに対する意識や価値観が変化しており、こうしたことも少子化の要因の1つと考えられます。
結婚や子育ては、あくまでも個人の自由な意志に委ねられるべきことであり、社会や行政が押しつけることがあってはなりませんが、生命の尊さや子供を産み育てることの意義や、子育ての楽しさ・家庭の大切さへの理解を深めることは、少子化対策を進める上で重要な取り組みの1つであります。このため、学校教育や地域において、児童・生徒が乳幼児とふれあう機会を積極的に設けるとともに、子どもを持つことの喜びや育てることの楽しさについての広報・啓発を進めるなど、取り組みの推進を図っていくこととしております。
次にすべての子育て家庭への支援についてであります。ご指摘のように、これまでの子育て支援は、保育を中心とする就労家庭への支援に軸足がおかれていましたが、核家族化の進行や地域におけるつながりの希薄化などにより、在宅子育て家庭の負担の増大が指摘されています。こうしたことから、すべての子育て家庭を対象に支援を展開することが肝要であり、在宅子育て家庭への支援の強化が急務となっております。 このような認識の下で、保護者の育児疲れや急用などのときに保育所で児童を預かる一時保育や、育児不安などについて相談指導を行う地域子育て支援センターなど、在宅子育て家庭に対する取り組みを推進してまいりました。さらに今年度からは、重点プロジェクトとして子育ての不安感や孤立感を軽減するため、「子育てサロン」の全県展開を進めています。現在策定中の行動計画においても、すべての子育て家庭への支援を基本に施策を推進していくこととしております。

澄田知事答弁

私は、少子化の流れを変えるためには、多様なライフスタイルに配慮しつつ、子育てに関する負担や不安を軽減する取り組みを進め、安心して子供を産み育てることができる環境を整備することが重要であると考えております。このため、県としては、多様な働き方を可能とするため、子育てと就労の両立を望む人に対する支援はもちろん、出産や子育て後に再就職を希望する人に対しても支援をしていく必要があると考えております。企業が再就職希望者を採用するにあたっては、終身雇用を中心とする労使緩行や現下の厳しい雇用情勢などから難しい面があることは承知しておりますが、県としては、事業主に対する普及・啓発等を通して再就職の促進を図るとともに、再就職希望者に対する支援として、相談、情報提供や職業訓練の実施などを進めてまいります。

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