県議会だより

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平成17年6月県議会一般質問(4)

男女共同参画基本計画について

平成11年に男女共同参画基本法が成立し、 政府は男女共同参画基本計画を策定し、 地方でも同様の条例、 計画の制定、 立案が義務化されました。 これによって、 「看護婦は看護士」 「保母は保育士」 「スチューワーデスは客室乗務員」 と言うように呼称が変わり、 男女雇用機会均等法によって女性の深夜労働が解禁されました。
私は男女共同参画社会とは、 男女がお互いの役割、 特性を尊重し、 活かし合いともに協調して社会を構成しようという理念がベースになければ、 日本社会が永い間形成してきた価値観を法令で破壊する結果になるのではないかと大いに危惧しております。
日本人のアイデンテティに関わる問題が、 ほとんど国民的な議論もされずに法制化され、 行政によって全く違う価値観が押しつけられることがあってはなりませんが、 私はこの男女共同参画社会基本法と個人情報保護法こそ日本人が農耕民族として共同生産社会を形成し、 住民相互の地域コミュニティによって地域扶助の制度を確立してきた日本の社会制度を破壊し、 日本人の精神文化を根底から崩壊させる 「現代の生類憐れみの令」 であると思います。
いまの日本社会の閉塞感は経済的な行き詰まりばかりではありません。 「あれしちゃいけない・これしちゃいけない」 という法令が次々に成立し、 国民は萎縮し、 戸惑い、 次第に自分で判断することを止めてしまいます。 もっとおおらかに語り、 笑い、 大胆に、 と思うのですが、 気細になりそうな雰囲気が漂います。
1週間ほど前に、 学校から1枚のペーパーが送られてきました。 それには次のようなことが書かれていました。 「この度はお子さまの県総体出場おめでとうございます。 つきましては、 同大会で上位入賞され、 全国大会等に出場されたときの対外発表に同意の可否・・・云々」 というもので、 ついにここまできたかとか唖然としました。
今日は個人情報保護法の問題はおくとして、 男女共同参画社会基本法についてお尋ねいたします。 まず、 この法律に規定する 「男女の違い」 とは何でしょうか。 男女の何を一緒にせよというのでしょうか。
近頃、 女性学という耳慣れない学問が注目されておりますが、 なかには、 『 「男女の違いは妊娠するか、 否か」 と言うことだけであり、 現在の男女の違い(区分け)はすべて人間が社会的につくったものである』 との観点に立つ研究者もあるとのことであります。 こうした思想からの男女共同参画社会は男女をすべて同一視すべきとなり、 男女の役割分担などは否定されてしまいます。
私は男女の最高の共同作業は 「結婚し、 家庭を作り子供を育てる」 ことであると思っています。 ところが、 『結婚は男性(社会)による女性の抑圧だ』 との思想の人からは、 「女性に離婚の自由、 性の自己決定権(子供を産む・産まないの自由)を与えるべき」 となってしまいます。 島根県の男女共同参画計画の取り組みのベースとなる思想はどのようなものでしょうか。 また、 計画の策定にはどのような手続き、 議論の経過があったのかお尋ねいたします。
また、 県内学校でもほとんどが男女混合名簿が作成されていると聞いておりますが、 どのようになっているでしょうか。 なぜ、 男女別名簿と男女混合名簿はどこがどのように違うのでしょうか。 まさかとは思いますが、 学校では男女の区別を 「男女の差別」 と教えるのでしょうか。 性教育や家庭科学習はどのような視点教育が行われているのでしょうか。
男女が愛し合い、 結婚し、 家庭をつくり、 つねにいたわり合い、 お互いの役割を確認しあいながら、 子供を育て、 幸せな生活をおくるために必要な知識、 技術、 思想。 学校では、 是非こうした視点で教育にあたってほしいのです。
私は昭和31年生まれですが、 小学校の家庭科ではではご飯の炊き方を習い、 粉ふきいもやどんぶり、 カレーライスの作り方などを実習しました。 学校生活や1人暮らしの体験で掃除や洗濯など家事一切を覚え、 自然の営み、 生活のなかで家庭生活の備えをしたように思っています。
ともすれば、 新しいことが正しくて、 旧いことが間違っているという風潮がまかり通っていますが、 そうではありません。 私たちは、 日本のよき伝統は守り後生にきちんと伝えるべき責務があると思います。
日本の出生率は1. 29と政府の予測を遙かに上回るスピードで進行しております。 島根県では、 昭和22年に生まれたイノシシ年の子供は約39000人と聞いておりますが、 平成15年には6092人で、 過疎化、 高齢化に加え少子化は地域の存亡に直結する県政最大の課題です。
しかし、 少子化ステップアップやエンゼルプランなど子育て支援を中心とした対策をいくら充実しても、 片方で家族制度や結婚、 出産を否定する思想を行政が先頭に立って推進したのでは何をか況やであります。 事実、 県の子育て支援施策には、 家庭(専業主婦として)で子育てにあたっている人たちに対する支援は、 外で働いている人たちに大きく遅れていることも事実で、 家庭の価値・役割についてきちんとした評価が必要であり、 支援施策の見直しやもう一段の施策展開が必要ではないでしょうか。
男女の気質、 家庭生活は風土によって日本全国様々だと思います。 男女共同参画については国の画一的な法令での取り組みで推進すべきものではないと思います。 私は、 島根県に相応しい、 本当に必要な視点と施策についてもう一度じっくりと考えてみる必要があるのではないかと思うのですがいかがでしょうか。

永田健康福祉部長答弁

子育て支援について

県では、 今年三月に次世代育成支援対策推進法に基づき、 島根県次世代育成支援行動計画「しまねっ子すくすくプラン」を策定しました。
この計画に基づき、 多様化する価値観やライフスタイルを尊重しながら、 「子育てするなら島根が一番」と実感できる社会の実現をめざして、 今後五年間に亘り、 少子化対策に係る様々な施策を集中的かつ計画的に進めることとしています。
とりわけ、 核家族化の進行や、 地域における繋がりの希薄化など、 子育て環境が変化する中にあって、 不安感や孤立感を抱き、 ストレスに苛まれながら子育てしている家庭に対する施策の充実は、 緊急かつ重要な課題であると認識しています。
そこで、 昨年度から、 重点プロジェクトの一つとして「いつでもどこでも安心して子育てできる環境づくり」を選定し、 主として在宅子育て家庭を対象に、 親子が集い、 仲間づくりを行う「子育てサロン」の全県的な展開や、 NPO等による子育て支援団体のネットワーク化などの事業を通じて、 社会全体で子育てを支える環境づくりに積極的に取り組んでいます。
また、 現在、 子育てサロンなどの親子が集う場所に出向いたり、 NPO団体等との意見交換の場を設けるなどして、 子育て中の家庭や、 子育て支援に関わっている人々が抱える悩みや支援方策に対する意見などの把握に努めています。
今後は、 こうした生の声を大切にしながら、 在宅子育て家庭における施策のあり方や、 より効果的な事業の推進方策を探っていく考えであります。

広沢教育長答弁

性教育について

学校における性教育は、 児童生徒の人格の完成を目指す「人間教育」の一環として、 人間尊重の精神に基づいて行われるもので、 人間の性を生理的・心理的・社会的側面などから総合的にとらえて指導し、 望ましい行動がとれるようにすることを目標としております。
この目標を達成するためには、 教職員全体が共通の理解のもとに計画的に教育にあたることが重要となるため、 研修会をはじめ様々な機会を通じ、 「教員、 保護者、 地域の人々の同意を得られる内容とすること」、 「児童生徒の発達段階に即した内容とすること」などに十分留意し、 適切な教育を展開するよう教職員に対して行っております。
また、 学校における家庭科教育については、 現行の学習指導要領により、 生活の自立に必要な知識と技術を習得させ、 家族の一員として男女が協力して、 家庭や地域の生活を工夫し創造する能力や実践的な態度を育てることが求められています。
現在、 小学校では、 家庭生活に関心を持ち、 家族の仕事や自分の分担する仕事について理解し、 家族との触れ合いや団らんの大切さを学習しています。
また、 中学校では、 子育てや心のやすらぎといった、 家庭や家族の基本的な機能を学び、 家族が互いに立場や役割を理解し、 協力して家族関係をより良くすることの重要性などについて学習しています。
高等学校では、 男女が協力して家庭を築くことの意義と家族や家庭生活の在り方について考えさせる等の学習をおこなっています。
このように、 家庭科教育におきましては、 児童生徒の発達段階に応じて、 男女の相互理解や協力を通して、 より良い家族関係の在り方について学ばせ、 家庭人・社会人としての自立意識を育んでおります。

広沢教育長答弁

男女混合名簿について

男女混合名簿については、 昭和三十年代には使用されていた学校もあり、 以前から作成されていたものと思います。 県教育委員会においては、 平成八年に、 すべての教育活動を人権尊重の視点から点検し、 その改善と充実を求める中で、 名簿についても多くの点検項目の一つとして示し、 男女平等の観点から、 男女混合名簿が望ましいと指導した経緯があります。
現在、 島根県内では、 ほとんどの学校が男女混合名簿を作成し、 活用しております。
ただ、 男女混合名簿を基本としながらも、 健康記録等男女別集計が必要な場合等には、 男女別名簿を使用している学校もあります。
男女混合名簿の作成は、 男女別の名簿が男女差別につながるとの考え方によるものではなく、 人は何よりもまず「個人として尊重される」という考え方のもと、 あくまで男女平等という理念に基づいたものであります。
学校では性差の理解と男女相互の理解や望ましい人間関係の確立をめざす教育をしており、 男女の区別が差別につながるような教育ではありません。

井上環境生活部長答弁

男女共同参画の取り組みについて

島根県においては、 平成十三年二月に島根県男女共同参画計画、 平成十四年三月に島根県男女共同参画推進条例を制定し、 様々な取り組みを行っているところです。
その島根県男女共同参画計画、 島根県男女共同参画推進条例の基本理念は、 五点あります。
一つ目は、 性別による差別を受けることなく男女とも人権が尊重されるべきこと、 二つ目は、 男女が固定的な役割分担意識にとらわれることなく多様な生き方を選択することができること、 三つ目は、 政策等の立案及び決定への男女の共同参画、 四つ目は、 家庭生活と地域活動等他の活動の両立、 五つ目は、 国際社会における取組との関係を考慮することであります。
次に計画策定までの手続き及び経過であります。 まず、 平成十二年二月に「男女共同参画に関する県民の意識・実態調査」を実施し、 県内の状況と課題の把握を行っております。
それを基礎資料として、 学識経験者や関係団体の代表からなる島根県女性行政推進会議において、 計画の基本的考え方などについてご議論をいただいております。 また、 幅広い分野の方々からなる島根県男女共同参画計画策定委員会において検討がなされ、 素案を作成し、 県内四箇所で県民の皆さんとの意見交換と市町村からの意見聴取を行っております。
その際いただきました意見・要望は、 七十二件あり、 主なものとしては、 「育児・介護と雇用の両立支援、 再就職の支援」 「結婚・出産に踏み切れる社会づくりの視点での計画策定」 「農林水産業における政策・方針決定の場への女性の参画の推進」などであります。
また、 「男女共同参画に向けた意識啓発を高齢者と共に次世代を担う子供たち、 学校教育の場での推進の必要性」といった意見もありました。
これらの意見を踏まえ計画策定委員会では、 多くの議論が交わされ、 平成十三年二月、 最終的に女性行政推進会議から答申をいただき、 同月県としての計画策定をしております。

井上環境生活部長答弁

男女共同参画社会基本法について

男女共同参画社会基本法におきましては「男女の違い」についての規定はありませんが、 生物学的には、 男女に違いがあることは当然として認めた上で、 一人ひとりの個性を尊重し、 多様な選択を認め合い、 性別にかかわりなく個人の能力を十分に発揮できる社会の形成を目指すものと広く理解されております。
また、 基本法におきまして、 「男女共同参画社会の形成」とは「男女が、 社会の対等な構成員として、 自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、 もって男女が均等に政治的、 経済的、 社会的及び文化的利益を享受することができ、 かつ、 共に責任を担うべき社会を形成することをいう。 」と定義されており男女が共に様々な利益を享受し、 共に責任を負う社会の形成が大切と認識しております。

澄田知事答弁

男女共同参画は、 生物学的に男女に違いがあることを当然として認めた上で、 一人ひとりの個性を尊重し多様な選択を認め合い、 性別に関わりなく、 個人の能力を充分に発揮できる社会を目指しております。
多くの中山間地域を抱える本県にとりまして、 高齢社会への対応や、 活力ある地域社会を築いて行くためにも、 男女共同参画の視点は重要であり、 平成十三年二月には、 「島根県男女共同参画計画(しまねパートナープラン二十一)」 を策定し、 各種施策を総合的かつ計画的に実施してまいりました。
計画策定後、 五年が経過しようとしており、 また、 「施策の基本的方向と具体策」が今年度末までの計画期間となっていることなどから、 最近の男女共同参画社会の形成に関連する様々な状況の変化や本県の現状等を踏まえた見直しについて、 去る六月十四日、 島根県男女共同参画審議会に対し、 諮問したところです。
今後、 パブリックコメントなどを通じて県民の皆さんの意見を伺いながら、 島根県にふさわしい、 そして、 世代や性別を超えて、 広く県民の理解と協力が得られるような計画づくりに取り組んでまいります。

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