県議会だより

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平成17年11月議会一般質問(4)

風力発電所事業の計画について

出雲市が誘致を進めている民間事業者による大型の風力発電施設については、すでに島根県として「計画の詳細が明らかにされた時点で適切な支援を講ずる」との意向が示されています。島根半島の十六島地区から東側はマツクイムシや法面崩壊により荒廃が進んでおり、地元住民は「風力発電施設の建設、管理に必要な路網を行政が市道、林道として管理することによって森林整備が進めば防災や漁業振興に資する」として大きな期待があり、集落間の生活道路の補完路としての役割を担うことから早期着手を望んでいます。近隣から「景観を壊す」との意見もありますが、半島部の中小河川は森林の荒廃により、日本海や宍道湖に雨水と泥砂を流入させており、養分の不足による藻場の消失は水生生物の繁殖を阻害しており、自然環境保全の視点からもこれを推進すべきと存じます。安全上の懸念がある原発や化石燃料の火力発電と違うクリーンエネルギー推進の観点からも、県として積極的な関わりを期待いたしますがご見解をお尋ねいたします。

藤原地域振興部長答弁

計画されている風力発電事業については、CO2削減効果に加え、建設時における経済的な効果などがあり、出雲市あるいは事業者によれば、総事業費約160億円のうち資材の輸送のための道路整備や送電線の敷設等の土木・電気工事等で、約80億円の投資が行われる見込みとなっております。また、資材搬入のための道路網が整備されることによる森林の整備や生活道としての利用、観光資源としての利活用や五名程度の地元雇用などの期待が持たれているところであります。さらに、税収面では、法的耐用年数の十七年間で、固定資産税など約29億円の収入が見込まれております。風力発電所建設により路網が整備された場合、生活道や観光への活用のほかにも、地元で森林整備を行いたいとの話があれば、周辺の森林の整備に路網を活用することも可能かと考えられます。例えば、(開設される道路は尾根を通るものと思われますが、一般に尾根は土壌が浅く痩せ地が多いことから、そこに)自生するコナラなどの広葉樹などから有用な樹種を選定して育成したり、その間に苗木を植え複層林を造成するなどの森林整備が考えられます。また、開設された路網を活用した林道整備についてですが、路網が整備された後、林道として地元自治体である出雲市が管理することとなれば、その改良や舗装を行うことも考えられます。この場合、地元自治体が管理している林道について、舗装したりガードレールなどの安全施設を設置したりする時には、その改良計画が地域森林計画に位置づけられ、林道の利用区域の面積など一定の採択要件を満たす場合には、国庫補助事業を活用することが出来ます。県といたしましても、周辺の 森林の状況を良く把握しながら、森林所有者の方々が必要とされる森林整備等について、出雲市と協議して検討したいと考えております。

澄田知事答弁

県においては、地球環境問題への対応、エネルギーの安定供給の観点から、風力発電や太陽光発電など新エネルギーの導入促進を図っているところであります。出雲市で計画されている風力発電は、国内最大規模のものであり、県の地球温暖化対策推進計画のCO2削減に大きく寄与するとともに、地球への経済効果も期待されるものであります。また、一方で、宍道湖東岸からの”宍道湖に沈む夕日景観”に影響を与えるとの懸念も出ており、風車が、宍道湖から望む島根半島の山々の稜線を切るかどうか、切るとした場合にはどの程度か、また、鳥類や植生への影響などについて、事業者から具体的な資料や報告が示された段階で、県としてこうした問題についての検討を行う必要が生ずることもあると考えております。

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