県議会だより

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平成17年11月議会一般質問(3)

エチゼンクラゲ対策について

平成13年頃からエチゼンクラゲの出没が顕著となり、その被害が報告されるようになりましたが、本年に入ってから急増しています。とりわけ、エチゼンクラゲによる魚網の被害は甚大であり、また、燃料の高騰と漁労単価を上昇は定置網や沖合底曳き船団の経営環境を悪化させています。
もはや、一刻の猶予も許さない状況となっており、喫緊の救済策が不可欠ですが、エチゼンクラゲ対策についてお尋ねします。

法正農林水産部長答弁

平成13年以降にエチゼンクラゲが大量に来遊した年は、平成14年、15年、及び今年の三回で、時期は若干前後しますが、ほぼ8月頃から翌年1月頃にかけて本県沿岸や沖合に出現しています。大量来遊により被害を受ける主な漁業は、底びき網漁業、まき網漁業、定置網漁業です。底びき網漁業では、クラゲが大量に網に入るため、網が破れたり、網を曳ける時期が短縮すると同時に網を曳く回数が少なくなるなどの被害があります。
また、クラゲが少ない海域を探して操業するため、漁場が限られるといった影響もあります。クラゲの来遊のあった平成14年、15年、17年と来遊のなかった13年、16年の9月、10月の漁獲金額を比較すると、沖合底びき網では、クラゲの来遊のあった年は、来遊のなかった年に比べ、1か統1月当たり15.2%(458万4千円)の減少、小型底びき網では、同様に10.6%(48万8千円)の減少となっております。まき網漁業では、漁獲時に大量に混獲されるときがあり、そのようなときは、運搬船へ魚を搬入するときの時間の増加や、出荷時の選別時間の増加といった影響があります。
定置網漁業では、クラゲが大量に網に入ることで網が破れる被害があります。また、全般的に、クラゲが大量に混獲されると、クラゲを除去するために通常の漁労作業に加えてクラゲを除去するための時間が掛かるとともに、漁獲物の鮮度が落ち、魚価が低下するといった影響があります。
国においては、水産研究所が中心となり、クラゲの来遊予測を行い、漁業関係者に情報発信をしております。また、今月中旬、中国上海氏で開催される「大型クラゲに関する日中韓・国際共同ワークショップ」では、三国研究者間で、生態や発生状況、発生原因等について情報交換を行い、今後の研究協力等について話し合いが行われる予定です。県のクラゲ被害の防止対策としては、漁具の改良があります。
漁具の改良については、県は漁業団体や漁業者と協力して、底びき網漁業や定置網漁業を対象として取り組んでいます。底びき網においては、入網したクラゲを選択的に排出できる網の開発を行い、実用化に目途をつけています。現在、定置網においては、入網した魚類が集められる部分にクラゲが入り込まないように、クラゲのみが通過する構造を持った漁具を開発中であり、来年度までには実用化の目途をつけたいと考えています。また、これら以外にも、民間で定置網漁具改良に独自に取り組んでいる事例もあります。

澄田知事答弁

クラゲによる漁具の破損や水揚の減少によって、漁業経営は大きな打撃を受けております。 県においては、クラゲ被害がもたらす漁業経営に対する負担を軽減するため、運転資金を対象とした新たな低利の融資制度を検討したいと思います。また、クラゲによって漁獲が減少した場合についても、漁獲共済制度によって漁獲金額の補填がなされることから、この制度が救済措置として十分機能するよう、漁業者の加入促進について働きかけてまいります。
なお、まき網で混獲されるクラゲが大量に陸揚げされた場合には、その処理費用が発生するおそれがあることから、生産者や卸売市場の負担が軽減できるよう対策を検討したいと思います。 国においても平成17年度補正予算で緊急対策費が、平成18年度予算で研究費などの事業費が予算計上されています。

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