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日本のGDPは約500兆円で、島根県は2兆5千億円の0.5%であります。政府の債務残高は平成17年6月末で、国債が約640兆円で、借入金58兆円、政府短期証券97兆円の795兆円で、これに政府保証債務58兆円を加えると合計は853兆円となっています。一方、政府の金融資産は年金・保険などの社会保障基が金約254兆円、政府の内外投融資136兆円、外貨準備金90兆円の合計480兆円であり、日本の純債務はGDPの約63%の315兆円となっています。
国民の税負担は年金・保険を加えてGDP費で約20%であるのに対し県税は2%程度となっております。
政府は「小さな政府」を標榜し、緊縮財政による歳出削減の方針を示し、大方の国民はこれを支持しております。財務省は2011年までには財政の基礎的収支(プライマリーバランス)を均衡させる方針で、経済の拡大循環による税の自然増がなければ、財源確保は増税による以外になく、早くも、定率減税やIT投資促進税制の廃止が決定され、年金・保険や消費税の料率、税率の改定が論じられております。
財政出動が縮小し、減税による投資や消費の誘発がなければ経済の停滞・萎縮は自明であり、未だ高速交通網の整備など都市部に比べて社会資本や産業基盤が十分でない地方の疲弊はさらに増大するおそれがあります。
私は、投資土壌を整備し、外部からの民間投資を誘発させる以外に島根県が自立的に発展させる途はないと考えておりますが、「小さな政府」という政府方針のもとで、どうすればこれが実現できるのかを考えてみたいと存じます。
日本経済の復活、景気回復が言われ、建設資材や自動車産業の好調が伝えられ、株価はほとんどすべての銘柄が急上昇しました。ライブドアの例を挙げるまでもなく、世相はITバブルの様相を呈しております。しかし、内需は国民一人あたり年間約28万円という政府の財政支出で支えられており、都市と地方の格差の拡大や大きな富を手にする人がある一方で、大都市部では児童・生徒の給食費の未納、生活保護家庭や自己破産の増加が報告されていることを考えれば、決して自立型の成長ではありません。
私の皮膚感覚では、(大雑把な数字で言うと)島根県の産業の総産出額は約4兆5千億円程度で、国・県・市町村の財政支出の合計は概ね1兆2千億円程度と推計していますが、公共事業費や人件費など歳出の大幅圧縮と市町村合併によってピーク時よりも5千億円以上の減額となっており、県内経済は10%程度の経済収縮を起こしているのではないかと思います。
日銀松江支店は山陰の景気の現状を「全体としては横バイ圏内」と発表し、統計では県内の工業出荷額が着実な伸びを示しているのに対し、農林水産業の生産額や量販店、観光・サービス事業の売り上げは前年を下回る状況が続いております。
島根県では官需の落ち込みが総生産(総需要)を低下させていますが、県内経済の現状認識と官需(国、県、市町村の合計)の割合とその推移についてお尋ねいたします。
│掲載日:2007年04月15日│
本県の経済動向について、最新のデータである12月の指標を見ますと、県内企業の生産活動は堅調に推移し、雇用情勢にも改善の兆しがみえる状況であります。しかしながら、個人消費は依然として弱めの動きを続けており、公共投資や住宅投資についても減少傾向が続いております。従いまして、全国的には「企業部門の好調さが、雇用や所得環境の改善通じて、家計部門へ波及し個人消費は緩やかに回復しているなど、景気は回復している」とされていますが、本県においては未だ雇用や所得環境が十分に改善しておらず、県内経済は一部に持ち直しの動きがある状況に止まっていると認識しています。
県で作成している「県民経済計算」によって最近10年間の状況を見てみますと、まず、県の総産出額については、平成6年度に約4兆2千億円だったものがその後毎年増加し、ピークとなった平成12年度には約4兆7千億となりましたが、以降毎年減少し、平成15年度は約4兆4千億円となっています。また、この産出額から経費等の中間投入分を引いた県内総生産(GDP)は、平成7年度に約2兆3千7百億だったものがその後毎年増加し、、ピークとなった平成12年度には約2兆6千2百億円となり、以降減少が続きましたが平成16年度には4年ぶりに増加し、約2兆5千8百億円となっています。
さらに、公的需要の額とGDPに対する割合を見ますと、平成7年度は9700億円、40.7%でありましたが、その後毎年増加し、ピークとなった平成11年度には約1兆1千7百億円、45.4%隣、以降減少傾向で平成16年度には約1兆3百億円、39.8%となっています。従いまして、公的需要はピークの平成11年度と比べて平成16年度は1千4百億円、率にして12%減少しています。また、GDPはピークの平成12年度と比べ、平成16年度は約四百億円、率にして1.4%減少しています。これは、公的需要の減少が影響したものですが、一方で企業の設備投資の増大等によって民間需要が平成15,16年度の2カ年にわたって増加し、公的需要の落ち込みをカバーした結果減少率が低く抑えられたものと考えています。