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石見空港、一畑電車、隠岐汽船・隠岐空港は、共通する地域交通の課題を抱えていますが、これらを生活視点で捉えるか観光(産業)視点で捉えるかで利用方法も支援方法も全く異なります。
例えば、石見空港は東京発が6時台でとても観光客には利用できる時間設定ではありませんし、隠岐汽船のダイヤは隠岐島民の利便第1で観光視点を欠いていることが10年間で10万人もの利用客の減となっていると思います。
石見空港の目的が、石見地域の振興であるならば住んでいる人の利便よりも他所から来る人にウェートを置いたダイヤ編成や料金設定が必要でしょうし、住民の東京、大阪への交通アクセス、利便性向上が目的であれば運航事業者への働きかけや支援の内容も大きく異なると存じます。
つまり、県民の利便向上の観点であれば、赤字補填など事業収支の支援をすべきであり、観光(産業)振興の観点であれば、高速化、省力化、高度化などの設備投資支援をすべきでありましょう。
今年度から一畑電車への支援が運行支援から施設設備支援に変化し、営業収支に事業者の集客努力が直接反映されることとなりました。これは一畑電車を「地域の足」として存続させるという消極的な姿勢から主要公共交通として活かすという姿勢に転換させるものと認識しております。
「二兎追うものは一兎も得ず」ではありますが、要となる交通機関の性格づけは、観光商品の開発やサービスメニューの設計に不可欠であり、それが曖昧なままでは売り込むべきコンセプトも薄れてしまいますがどのようにお考えでしょうか。
隠岐の交通アクセスに対する考え方について知事にお尋ねいたします。
隠岐汽船への経営支援問題と新隠岐空港の開港に伴うジェット化への対応は急務であります。仄聞するところでは、さきごろ隠岐汽船から経営収支の改善等に関し、行政支援の要請があったと伺っておりますが、離島に対する海上交通路の確保は道路の建設、維持・管理と同じく行政がその責を負うべきものと存じます。
国の制度として離島航路整備法による運航補助や船舶の建造、補修に対する支援がありますが、県として隠岐地域の交通(航路)確保についてどのような関わりが必要とお考えになっておりますでしょうか。
隠岐の島前地域では3つの島を巡航するフェリーと高速旅客船が海上バスとして運航しており、地域の生活交通のアクセス整備はある程度図られておりますが、島前と島後の連絡体制は非常に不便で、これが観光・ビジネス客の滞在や周遊に大きな障害となっていると聞いております。
島前-島後の船便運航の採算性等の問題により、隠岐汽船など事業者は積極的でないとのことでありますが、隠岐地域の観光振興を図るためには島前-島後のアクセス向上が不可欠であり、一定の支援を行うことによって島前-島後のシャトル運航を実現すべきと考えます。
本土-隠岐はある程度の採算が確保できていると認識しており、隠岐汽船の収支も島前-島後の運航支援を講ずることによってダイヤの編成や便数確保など大きく改善できると思います。
また、島前-島後のシャトル便の実現は、現在飛行機利用とは直接アクセスできない島前地域へ隠岐空港利用者がアクセスできることとなり、空港利用客の増加が期待できます。
隠岐地域の振興は「隠岐に行く人を増加させる」以外になく、隠岐汽船に一定の自助努力を求めることは当然としても、減船、減便などによる旅客総数の減がもたらす地域活力の低下をくい止めるために、隠岐汽船に対しては、是非、「後ろ向き」ではなく「前向き」の支援をお考えいただきたいと存じます。
出雲市から島前への新しい民間の航路開設が検討されておりますが、これが実現すれば、出雲空港と隠岐空港のリンクにより隠岐地域の観光、交通アクセスが向上するばかりか、出雲圏域に入り込む700万人を超える観光客の取り込み次第では隠岐地域を訪れる観光客は飛躍的に増大し、隠岐汽船の収支改善にも大きく寄与すると考えておりますが併せてご見解をお尋ねいたします。
次に、シルバーエイジの増大に対する観光戦略についてお尋ねいたします。
団塊の世代と言われる戦後生まれの年代が退職を迎える時代となりました。今後の観光振興は平均年齢まで20年以上の時間と年金や預金などの経済的なバックグランドを持つ、リタイヤ世代の取り込み如何と言われる所以ですが、県では県内観光の平均消費額、平均的な余暇の消費時間、国内旅行の回数、団塊の世代の退職数予測、県内観光への波及予測などについてどの程度の市場規模があると捉えておられますか。
また、シルバーエイジが何を求めているかを調査し、島根の何を、どうすれば売れるのかを徹底検討し、いま、何を準備しなければならないのかについて行政としてどう対処されるおつもりなのかをお尋ねいたします。
次にVISIT JAPANへの対応についてお尋ねいたします。
小泉首相はここのところ、週末になると各地の観光地に赴いて居られます。文化庁では「わたしの旅日本の歴史と文化をたずねて2005」として国内観光100選を公募しました。
中国地方では9プランが選定されており、島根県は柿本人麻呂ゆかりの益田市を中心とした地域での2プランが採用されたようでありますが、残念ながら国内においてもまだまだ島根県の認知度は今ひとつであると言わざるを得ず、日本を訪れる外国人観光客に対して島根をアピールするにはほど遠い状況と存じます。
まず、島根を訪れる外国人観光客の現状はどのような動向となっているでしょうか。
政府は2010年までに外国人観光客1000万人を達成する観光立国を掲げていますが、島根県の政府戦略への対応はどうなっていますか。
また、外国人観光客は何を求めるのかを調査し、外国人観光客に島根の何を、どうすれば売れるのか、いま、何を準備しなければならないのかについてもお尋ねしたいと存じます。
フランスのシラク大統領は60回を超える来日経験を持つ大の日本ファンで大相撲通と聞いております。初めて日本にお越しになった時、上がり框に靴を脱ぎ、和室にお入りになった瞬間に「なんて広いベッドなんだ」と感嘆されたと聞いており、それ以来の和風旅館贔屓としても知られております。しかし、いま、和風旅館は非常に厳しい経営環境下にあります。
そこでお尋ねいたしますが、和風旅館の現状についてどのようなご認識をお持ちでしょうか。
また、和風旅館の問題点と再生、活性化に向けた解決策についてもご見解をお示しいただきたいと存じます。また、閣議了解に反して依然として存続している公営宿舎は明らかに旅館営業を圧迫しておりますが、県内の公営宿舎の問題についてのご見解もお尋ねしておきたいと存じます。
敢えて、私見を申し上げるならば、JTBでは松江を「潜在型観光地」と評価しています。これは、白神山地、上高地、黒川温泉、箱根、西表島といった「優良型観光地」に続く潜在力のある観光地として中国地方では唯一評価しています。
観光資源の多様性、集積度、レイクラインや堀川遊覧など多彩な活動メニューにより高い評価がある一方で、出雲神話の象徴である出雲大社や雄大な自然景観の代表とされる国賀海岸など圧倒的なインパクトがないことがことから、出雲・松江・隠岐の3地区をいかにリンクさせるかがA級の国内観光地として位置づけされる課題であり、今後の観光振興戦略は米子・出雲・隠岐の空港と境港・七類・河下の港湾を利用し、松江を中心に据えた出雲・隠岐・大山のトライアングルの構築を図るべきであり、また、津和野・益田地域は、石見空港を中心に据えながらも、萩・山口地域とJRと道路ネットワークをいかに強化できるかが課題ではないかと存じます。
次に、地産地消についてお尋ねいたします。
地産地消のめざすものは何でしょうか。その地域ならではの産品をその地域ならではの加工、調理法で味わうことができればと言う流れが定着すれば1次産業の6次産業化に向かうわけですが、特産、名産はまず産品の認知が不可欠で、いわゆる地産他消が「認知」のスタートだと存じます。そうした意味では、グリーンツーリズムやブルーツーリズムは農林水産業と観光産業をリンクさせる「6次産業化」の一里塚でありましょう。
私は、県内観光地の観光土産品点で売られている土産品を見る度に残念に思うのは、売られている商品のほとんどが他地域で生産、加工されたもので、地元産品はほんの僅かだと言うことであります。
どうしても「島根の産品を島根で売る」体制がほしいのでありますが、観光みやげ品店の店頭に何が並んでいるかご存じでしょうか。
どうすれば島根の産品が島根で売れるでしょうか。折角の「にほんばし島根館」の目的、役割を活かしてほしいと思っています。にほんばし島根館の売り上げや入館者等が報告されますが、私は少し違和感を感じています。本来の目的は何で、果たすべき役割は何であるかをもう一度考える必要があると思いますがいかがでしょうか。
そうした意味からは、福岡事務所の閉鎖は残念と言わざるを得ませんが、再考の余地はありませんか、お尋ねいたします。
│掲載日:2007年04月16日│
地産地消は、まず、県内で生産された産品を県内で消費することを通じて、県内消費者の県産品に対する一層の需要を創り出し、地域内の経済循環に資する意義があると考えております。
同時に、こうした産品を「にほんばし島根館」などを活用して、都市部での認知度を向上させ、さらに、都市部の方々に「島根に行ってみたい」と思っていただけるような仕掛けづくりが必要と考えております。
その一つとして、島根でしか味わえない田舎ツーリズムのような体験型ツアーを企画し、積極的に誘客を図ることによりまして、農林水産業と観光産業が融合した、いわゆる六次産業への発展へと結びつけたいと考えております。
県内の観光みやげ品店で販売されている商品の全てが県内で生産されているものばかりでないことは承知しております。
県としましては、全ての販売店に県産品のみを取り扱うようお願いすることは困難でありますが、産地表示の明確化など良質な県産品を観光客等に提供できるよう、商工団体等の協力を得て販売店に要請していきたいと考えております。
「にほんばし島根館」は、首都圏における県産品の販路拡大と総合的な情報発信機能の強化を目的としております。主に県産品の展示、販売、その消費情報のフィードバックというアンテナショップの役割と、島根県の様々な地域資源を情報発信することにより観光客の誘致を図る、誘客を図る役割があると考えております。
島根県九州事務所は現在三名の職員で、県産品の販路拡大や観光振興、企業誘致等の業務に取り組んでおりますが、市場戦略の問題、あるいは行財政改革の問題の観点から、現在閉鎖の方向で検討を進めております。
閉鎖する場合には、九州市場をにらみながら、産業立地アドバイザーや県出身者など民間のネットワークやノウハウを最大限に活用して、企業誘致や県産品の販路拡大、情報発信などその機能の確保に、十分配慮しなければならないと考えております。
国等の調査によれば二〇〇七年~二〇〇九年に全国で二百八十万人以上が定年退職を迎えると言われています。
一般に、余暇消費のうち国内観光旅行の参加率は五十パーセント程度です。また、社団法人日本観光協会の調査によりますと、現在の六十代の国内宿泊観光旅行の回数は全年齢平均の年一・〇四回に対して年一・二九回となっています。
このような傾向が今後も続くとすれば、人口規模の大きい団塊世代が退職し時間のゆとりを持てる六十代となることで、六十代の国内旅行のシェアは全国的に大きく拡大すると考えられます。
具体的に、本県の観光入込客数にどう反映するか厳密な試算をしたわけではありませんが、この年代の人口増加を勘案しますと、本県の観光入り込み実数約一千一百万人に対して、二十万人程度の増加は潜在的に期待できるのではないかと考えております。
財団法人日本交通公社の調査によりますと、現時点五〇代後半の団塊世代の旅行傾向については、興味深い結果が示されています。夫婦など気心の知れた二人旅を好む、温泉旅行の志向が非常に高い、移動に自家用車を使う比率が高いなどの傾向が示されております。
団塊世代が求めるこのような一般的な傾向をふまえ、本県の持つ観光資源とのマッチングを念頭に置き、多様な価値観を満たす高付加価値型の商品化や、効果的な情報発信などについて、今後とも積極的に進めたいと考えております。
県全体の外国人観光客の入り込み状況を直接把握することは難しいですが、例えば玉造温泉の外国人宿泊数で言えば、平成一五年の一,四〇九名から、平成一七年には三,二六三名と大きく伸びています。これは台湾からの観光客数が急増したことが原因となっています。
また、これまでの誘致活動の中で各国の旅行需要動向の把握に努めてまいりましたが、例えば台湾や韓国では、「日本の温泉」「桜と紅葉」「史跡・庭園めぐり」等に高い人気があります。
また、欧米では、日本の歴史や文化などが注目されており、本県の観光資源に合致する部分が多くあります。
今後の方針としては、訪日外国人の約半数を占める韓国と台湾を中心にしながら、あるいは中国や、アメリカなどの欧米諸国に的を絞りまして、海外における一層の宣伝活動の強化や旅行商品造成、或いは、他県との連携事業の強化などにより、海外での知名度の向上を図ってまいりたいと考えています。
旅館業法上の旅館につきましては、平成十六年現在、県内の客室数は七千八百五十五でございます。十年前に比べると客室数は十四%減少しております。これに対しまして、ホテルは三千七百七十九で、三十八%増加しています。こういった傾向は、全国的にも同様な状況と承知しています。
こうした状況は、様々な要因によるものと考えますが、主として、旅館の機能や価格が、主要な客層である個人旅行客の志向と必ずしも合致しなくなりつつあることによるものではないかと考えています。
一方で、ニーズに応える設備改善については、様々な課題を抱えられており、厳しい状況にあるものと考えております。
しかしながら旅館は、ホテルと比べ、対面サービスにより、地域の生活文化を感じてもらう格好の場所であります。こうした旅館本来の魅力は、旅行者のニーズが多様化する中で見直されつつあるのではないかと思います。
旅館の活性化等につきましては、旅館の魅力を大事にしながら、例えば食事に提供する地元の素材の背景となる農林漁業の生活感を説明したり、館内でのんびりできる時間を設けるなど個々のソフト面での「売り」を見つけていただくことが大切と考えております。また、地域全体で泊食分離を行うことなどで、その地域の魅力を向上させていくことも有効だと思っています。こうした努力に対する支援策については、国、県等の既存の施策を活用いただき、その上で足りないことが有れば、関係者の御意見を伺いながら、今後、研究してまいりたいと考えています。
また、公営宿舎につきましては、その設置目的に沿った運営により、民業に配慮した協力をお願いしたいと考えています。
議員ご指摘のように萩・石見空港、一畑電車、隠岐汽船および隠岐空港は、いずれも利用状況の面で共通の課題を抱え、何らかの支援を要する状況にあります。
これらの公共交通機関について、県民の利便性向上か観光振興か、いずれか一方に特化した支援を考えてはどうかとのご指摘ですが、
例えば、萩・石見空港は、東京や大阪などの大都市から遠く離れ、高速交通網の整備が不十分な本県西部地域にとって、地元住民の利便性確保はもとより、観光を始めとする産業振興を図るうえで重要な空港であります。
また、隠岐航路は、隠岐本土間を人や物資を運ぶ航路として、島民の方々の日常生活を支えるとともに、観光を中心とする産業振興にとっても欠かすことのできない交通手段であります。
県といたしましては、このような視点に立った上で、それぞれの実情に応じて、ご指摘の公共交通機関に対し、必要な支援を行っているところであり、ご理解いただきたいと思います。
離島である隠岐にとって、海上交通や航空路の確保は、島民の日常生活を支え、また、観光をはじめとする産業振興を図る上で必要不可欠なものであります。
私は、こうした視点にたって、これまで、超高速船の導入や内航船の充実、航空機の安定就航のための空港整備などに積極的に取り組んでまいりました。
こうした中で、隠岐汽船は、公共事業の大幅な減少に伴うビジネス客や工事関係車両の利用の低迷、さらには燃料費の高騰などにより経営が急激に悪化したため、この度、経営再建のための支援要請がありました。
県としましては、まず、隠岐汽船が徹底した改善計画を策定され、経費削減や増収対策に取り組まれることを前提として、関係市町村と共に、隠岐航路の維持・確保を図る観点から、必要な支援を行ってまいります。
議員御提案のようなアクセス改善策としてのシャトル便の実施は、隠岐汽船の経営再建を図るため、来年から超高速船一隻を減船せざるを得なくなった現状や、本県の財政状況を勘案すると困難であると考えています。
しかしながら、隠岐の観光振興を一層図っていく上で、島前島後間のアクセス改善は重要であります。
このため、隠岐汽船には、隠岐の町村をはじめ、関係者と協議を行い、島前島後間のアクセスの改善や、他の交通機関との接続など、島民の利便性はもとより、観光振興にも効果的な寄港地の整理やダイヤの構築をしていただきたいと考えています。
なお、出雲市から島前への新たな航路が開設されれば、多様な観光ルートができ、観光客の利便性を高めることになると思います。