県議会だより

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平成15年6月議会一般質問(4)

予算執行のメリハリについて

最後に予算(事業)執行のメリハリについてお尋ねいたします。事業予算は一律カットにより、道路や港湾のように地域の社会基盤整備の年次計画が遅延することが予想されています。言うまでもなく民間事業者の設備投資意欲を喚起するためには地味であっても投資土壌の整備が不可欠であります。知事も県政上の最重要視点として産業振興を挙げられたわけですが、やっとこれからという時に基盤整備を低下されては産業振興はおぼつかないと思います。特に、これから建設される施設では使用料が徴収できる施設とできないものとの建設手法を再検討してはどうかと思います。マーケティングとコンサルティングの徹底により、ある程度採算が見込めるものは民間に事業主体を移行すべきものがあるのではないかと思うのであります。

いわゆるPFIは、資金の直接調達(債券市場)が未熟な日本では事業に投資するものが金融機関を主とする機関投資家となり、事業実施の是非は事実上金融機関が握ってしまいます。国債を金融機関に引き受けさせて資金を調達して事業を実施している現在の公共事業とほとんど変わらず、建設に要する直接経費は格安に見えても実際にかかってくる事務費等の間接経費を付加する良くて同等、却って事務処理が複雑となって時間がかかるとの懸念があります。ですから、法制はできましたが定着するまでにまだ相当の期間を要すると思います。
私はむしろ、財政法の改正と三位一体改革、分権の進展によって行政が事業主体となる事業費の捻出は目的別の事業債の発行によって賄うことが有効だと思います。「愛県債」は特段の目的を限ったものではないものの、瞬く間に完売したと聞いております。特に従来、行政の事業は国庫補助や交付税措置によりイニシャルコストやランニングコストの管理が民間に比べて相当緩く、国の関与も規制も多いと言われています。だから事業主体が行政でも縛りのない資金の活用によって従来と違う展開が期待できるのではないかと思うのであります。県の信用力はAAAだから投資先としては◎。調達コストも1%程度でしょう。こうした低金利、低成長下だからこそチャンスだと思うのであります。
県がファイナンスの受け皿となって事業投資をするという新しい公設民営のあり方は基本的には東京都の金融機関設置と同根ですが手法は違います。萎縮せずに思い切って政策課題の達成のため徹底的に重点事業に予算を傾斜配分するため県民からの資金調達を検討すべきだと思います。視点を変えれば、県民ニーズに合わなければ資金は集まらないわけで、一挙両得とも考えられますが、ご見解をお尋ねいたします。

県(行政)が土俵(フレーム)を用意して、民間(事業者・住民)がそれを利用するという構図を徹底するべきだと思います。知事は「産業振興が政策課題の第1順位で何でもあり」と表明され、企業の事業活動とりわけ企業団地への立地には驚くほどの支援メニューが用意されていますが進出の意欲は依然低い状況にあります。私はもっと行政と民間(事業者)の役割を明確にすべきだと思います。
また、戦略的な産業政策と数値目標を実現させるために必要な具体的なプログラムを示してほしいのです。従来、行政が示す数値は全て努力目標で達成されなくても責任は問われませんでした。今回、知事は雇用創出に関しては新規雇用2万人という数値目標を掲げられました。これはいわば知事公約ともなるものであり、単なる努力目標ではないととらえております。投資土壌の整備に必要な事項を再検討するとともに固定資産税や不動産取得税の減免に対する範囲の拡大や対象事業の再検討など税制面からの設備投資喚起や県が直接起業に関わったり、産学(研究機関)連携の資金提供によるパイロットプラント誘致など従来の視点を変え、時代を先取りするような大胆な取り組みを期待し、これに対するご見解をお尋ねして、質問を終わります。

山下商工労働部長答弁

本県におきましては、企業の投資意欲を引き出し活力ある産業の振興を図るため、昨年度策定した「島根県産業振興プログラム」を基本におきながら、現在の厳しい経営環境の中で、まず金融対策等の企業体質の強化やしまね産業振興財団や商工団体を中心とする支援体制の整備など、経営基盤の強化につながる施策を講じているところです。
また、新商品開発や新分野進出などに、自ら意欲を持って取り組む企業に対しては、各種の助成事業をはじめ支援機関が連携して、技術開発や市場開拓を支援するなどの施策を展開しているところです。
企業誘致につきましては、ご指摘の通りインフラ整備など立地環境の整備は不可欠であり、関係部局や市町村と連携をとりながら整備を進めるとともに引き続き全力を挙げて誘致活動に取り組んでまいります。
一方、国際競争の激化や技術革新の急速な進展の中ではこれまでの延長線上にはない、内外競争力を備えた新しい産業を県が牽引役となって興していくことも必要だと考え、このほど新産業創出戦略会議を設置し、3つのプロジェクトに取り組むこととしたところです。こうした施策を総合的に展開することで、意欲と創造性をもった企業が自ら行う挑戦を支援して、企業の投資意欲を喚起し地域経済の活性化に繋げていきたいと考えております。
同時に、企業が必要とするニーズを的確に掴んでいくため、今後積極的に現場に出向くとともに第一線で活躍しておられる方々の意見も十分聞きながら、今後より効果的な施策の構築と展開に努めてまいります。

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