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私は、一昨日、旅伏山周辺の山林に区画法によるシカの生息頭数調査にはいりました。昨年は腰痛のため参加しておりませんでしたので2年ぶりとなりますが、林道のない標高280㍍程度の山へ山道やけものみちをよじ登ることは口から心臓が飛び出るのではないかと言うほど苦しく、辛い道行きでした。いまだに全身筋肉痛の状態です。しかし、山林の現状は、私が2年前に見たものとはまるで違う、惨憺たるものでした。
山の中にはほとんど草は生えていません。スギやヒノキと言った造林木は角こすりによる剥皮で全滅、タブノキやリョウブなどはほとんど食害で皮を剥がれていました。至るところで樹木が寝返りしており、斜面を歩くと山道が崩れてしまうのです。
「何でここまでの荒廃したか」と関係者に問うと「県の予算が減らされて予定した対策が実施できません。駆除予算も足りません。」と悲痛な顔で答えられていました。一昨年の質疑で知事は県の責任を認めた上で、所要の対策を関係住民と相談の上責任を持って実施すると答えられましたが、たった一年で反故にされたとすれば、残念でなりません。
島根県の財政は厳しく、例外なき歳出削減は致し方無いでしょう。しかし、どうしてもやっておかなければならない範囲の対策に必要な経費まで削減すれば、やらないのと同じです。島根半島のシカ、イノシシ等の生息は拡大の一途で、被害地域も拡大しています。せっかく、抜本的な対策の実施により、被害が縮小しかけたところを、財政状況を理由に対策が中折したため、何年かの努力が灰燼に帰してしまいました。
シカ被害の惨状を総務部長も政策企画局長も財政課長も実態を見られてはいかがでしょうか。このままでは、2-3年たったら島根半島の山裾地域の離村に拍車がかかり、渓流沿いの山間集落では地滑り、土石流で大惨事を引き起こすことは必定です。その時、後悔し責任追及しても遅いのです。早急に所用の対策を講ずる必要がありますが、今後の対策について聞きたいと思います。
│掲載日:2007年04月19日│
弥山山地のシカ対策につきましては、平成十七年度のオスジカ捕獲禁止区域の更新の際に、地元住民の意見も伺いながら今後五ヵ年のシカ対策事業計画を策定したところです。この計画に基づき、シカを百八十頭まで減らす捕獲対策、電気柵、防護ネット、造林木への剥皮害防止などの被害防止対策、シカの餌場の確保などの、生息環境整備対策の三つの柱で、シカ対策事業を進めることとしております。
また、その他地域のシカおよびイノシシ対策につきましては、特定鳥獣保護管理計画に基づき、関係市と連携を図りながら捕獲対策や被害防止対策を実施して参ります。弥山山地のシカ対策事業実施につきまして、平成十八年度予算は前年に比べ、約一千万円の減となっておりますが、これは作業道整備が終了したことによるものであります。厳しい財政事業の下で、予算を削減せざるを得ない状況の中で、十七年度と比べて作業道分以外の計画の実施に必要な予算、約三千万円を確保したところです。
もちろん予算編成全体の方針の中で、個別の予算を検討することとなるため、今後の各年度の予算額をいくらにすると、現時点で言うことはできませんが、シカ対策事業五ヵ年計画に基づく、事業実施が円滑に行くよう、地元住民の方の声をよく聞きながら、必要な予算確保に努めて参ります。