県議会だより

Reports

平成18年11月定例議会一般質問

4.日豪経済連携協定EPAについて

昭和16年、食糧管理制度が始まったとき島根県の稲作作付け面積は実に51900㌶に及びました。戦後もほぼ48000-49000㌶で推移した作付け面積は昭和45年に43800㌶となり48年には39700㌶となり昭和62年に29500㌶そして平成17年は20600㌶にまで減少しました。そこには、「増産」「減産」「制限」「輸入」など国家行政によって干渉、規制されてきた稲作農業の歴史が浮かび上がります。
そして、いま政府は日豪経済連携協定EPAを進めようとしています。オーストラリア側は小麦や牛肉、乳製品などに関しても例外無き自由化を要求しており、国内農業者の悲鳴が上がっております。報道では、北海道の農業者が被る1年間の影響が軽く1兆円を超えるとの試算がされているようでありますが、本県への影響はどの程度と認識していますか。
私は、常々、本県の農林水産業は、産業政策の面から「業の振興」と地域政策の面から「ムラの振興」に区別して考えるべきだと言ってきました。いま、政府が進める一連の農政改革は、19年度から実施される品目横断的経営安定対策に象徴されるように、国家政策として、農業をあくまでも産業として自立させるためのプログラムであり、本県のような中山間地域を念頭においたものではありません。ですから、国際競争に打ち克つような一定規模以上の営農ブロックの創設が当然で、安易な基準緩和は政策意図に反するものです。
本来、制度設計に異議を唱えるのであれば、都道府県が地方の実情に応じて、2次的、3次的な対策が可能となるように、例えば中山間地対策など、主導的に施策が実施できるような財政措置を求めるべきであります。
しかし、現実は10年1日のごとく、採択基準の隅々まで国が基準、関与を定める農業政策が継続され、県は国に基準緩和の特例措置を求める図式が延々と続いているのが現状で、結果、農山漁村は疲弊し、農林水産業の衰退は目を覆うばかりですが、いかがでしょうか。

光吉農林水産部長答弁

日豪EPAについては、日本とオーストラリアの両国政府間で、昨年十一月から共同研究が開始され、現在、国において、共同研究報告書の整理が行われているところですが、その内容については、明らかとなっておりません。したがいまして、現時点で本県農業への影響について試算することは大変難しいところですが、仮に、関税撤廃を強いられた場合、現在、輸入額が多い重要分野として肉用牛、酪農、小麦、砂糖が議論になりますが、この内、平成十七年の県内の生産額は、肉用牛で七十二億円、乳用牛で六十六億円、小麦で二千万円となっており、これらに壊滅的な影響を与えるものと思っております。
また、米は、現状では、オーストラリアからの農林水産品の輸入額の一%に過ぎません。しかし、本県の米は、平成十七年で二百五十八億円の生産額となっており、将来的にどのような影響があるのか予測もつかないところであります。

過去の投稿

園山繁の活動日誌