県議会だより

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平成19年2月定例会一般質問(2)

県職員の給与、待遇について

県職員の待遇は県民一般が適正だと認識しているでしょうか。あまりにも優遇され過ぎていると思っているのではないでしょうか。
県内大手と言われる企業の給与月額は概ね年齢×1万円で、普通は50才で昇給停止となります。島根県は財政非常事態として特別職を含めて給与カットをしていますが、「カット」と言うことは「元に戻す」ことが前提です。「基金枯渇」「財政再建団体転落の可能性」という枕言葉は、民間なら経営危機で、給与の引き下げやボーナスカットは当たり前です。
歳出削減を続けている県財政が好転する見込みなど無いことは県職員なら誰でもわかっているのに虎の尾を踏むことをしない、職員組合との交渉もお互いのメンツを保つ、問題先送りの「阿吽」の状況です。
給与表を改訂する時期が来たと思います。人事委員長にお尋ねします。職員給与の水準は適正でしょうか。県民多数が現在の給与水準に対して適正だと認識しているでしょうか。給与、手当、退職金の県内企業との比較方法は正しいでしょうか。例えば一部上場企業、県内の大手企業、地場の製造業、地場の小売業についての水準はどの程度と認識しておられるのかをお示し下さい。
職員の生産性評価や勤務評価についてお尋ねいたしますが、県の枢機に関わる事務に従事する職務や教育、医療、福祉、土木、建築などの専門的知識や資格が必要な事務に携わる職員がある一方で、補助、補弼的な業務があります。民間では、職務の対価は生産性に加えて責任の度合、業務内容、専門性、資格などを加味して決定しますが、公務員の給与は、民間準拠と言いながら、職階だけで決められており、肝心要の生産性が比較されていないと思いますが、職員評価の基準、職務対価の決定基準についてお尋ねいたします。
ところで、現在規定されている県職員の給与表は職能給となっており、年齢加給されたものであると思っております。つまり部長職の給与表は部長級職員が受け取るべき給与月額であり、部長の職務対価であります。指導監督や超過勤務に対する手当として別に管理職手当が支給されていますが、給与表が職務・職階によって規定されているのですから、これは本給に組み入れるべきで、現在のような、査定のない一律額の手当支給は実質的な給与の上乗せ支給にあたり不合理だと思いますが、ご見解を伺います。
また、能力不足職員についての対応についてお尋ねいたします。勤務状況が著しく不良な職員や職責を十分に果たせない職員の対応や給与、待遇はどうなっているのか、あわせてお示し下さい。
私は、決して県の幹部職員の給与が高いとは思いませんし、懸命に仕事をしている職員の待遇はもっときちんとすべきだと思います。しかし、「悪貨は良貨を駆逐する」と言われますが、ただ、職場に出勤していれば、実績の有無にかかわらず、到達した職階の給与がずっと保障される現在のあり方に疑問を呈しているのです。給与費の抑制を、必ずしも、職員給与の一律カットや引き下げで対応するのではなく、非常事態だからこそ、厳しい目で、職場の規律や余剰・余分な部分を総括・整理する、いまが絶好のチャンスだと思いますがいかがでしょうか。

中村寿夫人事委員会委員長答弁

職員の給与水準について
人事委員会は毎年人事院と共同で県内企業の給与の実態調査を実施しています。比較の対象は、50人以上の企業規模で、公務員と同種、同等の事務・技術系職員、いわゆるデスクワークに従事している職員とし、製造業の製造現場や小売業の売場などの従業員は含まれていません。ちなみに、県の課長級職員の給与月額が521千円であるのに対し、県内トップ企業との比較では500人以上の企業では563千円、100人未満では355千円となっており、概ね適切な水準であると考えています。
退職金については、総務省において5-6年毎に民間企業の退職金の実態調査が実施され、退職金と企業年金を合わせた退職給付について支給水準の官民均衡を図るよう見直しがされるため、本県独自で県内企業の退職金の水準についての調査は行っていません。ただ、民間企業は退職金よりも企業年金のウェィトが高く、退職一時金の金額を単純比較することはできません。

管理職手当について
管理職の職務の困難性、責任の度合いについては給与表の格付けの中で考慮されることになりますが、それだけでは十分評価しきれない面が残ります。例えば、時間外勤務などについて、管理職に時間数に応じて手当を支給することは職務の特殊性からみて実態に合わないことから、管理職手当で調整することが合理的であると考えております。
また、平成17年度調査では県内96事業所中83事業所で役付手当制度があり、役職手当の査定が行われているのは37事業所に留まっています。なお、平成18年度の人事委員会勧告で、県職員の管理職手当について定率制から定額制に改めるよう付言いたしました。

加松正利総務部長答弁

給与表の改訂について
昨年10月の人事委員会勧告では民間給与の実態調査に基づき職員給与と民間給与を比較すると、給与カット前では職員給与が3.17%上回り、カット後では3.17%下回るとの状況が示されました。その上で、国や他の都道府県の動向などを総合的に勘案し、給与表は改訂しないとの勧告をうけました。

職務の評価基準と職務対価について
職員給与は職務と責任に応じる職務給の原則に従い、職種ごとにそれぞれ異なる給料表や初任給を定めるとともに、職務の内容と責任の度合いに応じた数段階の級を定め、個々の職員に適用しています。
ご指摘は、職員の専門的能力や業務の内容に応じて給与差を設けるべきとのご主旨ですが、行政が各般の分野で職務が多岐に亘ることや長期継続雇用制度の下での人事管理の円滑化などにより、厳密な給与査定は執られていません。ただ、今般の給与構造改革で、年功的な給与上昇が抑制され、段階的に職務・職責に応じた給与構造への転換が図られつつあります。

能力不足職員の対応について
職員がその能力を十分に発揮できるよう所属長は日々部下職員に指導監督を行っており、人事上特別な支援が必要な場合は、所属長と人事課が連携し、個別の支援計画を策定し、具体的な達成目標の設定や研修の受講機会を付与するなどの措置を講ずるほか、心身に故障のある場合は治療や休暇・休職後の職場復帰支援を行っています。

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