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いま、県内製造業の職場は人手不足が常態化しており、外国人研修労働者の受け入れや派遣社員、期間社員で辛うじて凌いでいると言われております。このままでは、都市部への輸送費に加えて季節的な需要の増減に対応するロマンパワー不足により操業環境が確保できないとの声もあがっており、外国人労働者の受け入れの前提となる労働ビザ発給の必要性を感じるところであります。
また、本県は全国に冠たる高齢者県であり、元気な高齢者、年金受給者は溢れており、リタイア世代の活用は本県の活性化に不可欠な要素であります。一定の年金収入がある高齢者の労働市場への参入は、労働単価を引き下げ、競争力の強化につながるばかりでなく、余禄となる収入はほとんど消費に回ることから購買力の増による消費支出の増加につながる可能性があります。
こうした視点から、本県ではシルバー人材センターの拡充を図る必要があり、中・高年労働情報センター(シルバーカフェ)設置について検討すべきであります。
企業は将来の戦力となる若年労働者を求める一方で、即戦力となる労働力を求めており、割高となってコストアップの要因となってきた派遣労働者から高齢者雇用にシフトしつつあることから、積極的な取り組みを求めるものであります。
さらに、担い手確保が課題となっている農業、林業、漁業の就労についても一定期間、高齢者の参入を促進すべきであります。天気の日に県内各地のゲートボール場では溢れるばかりの高齢者の姿があります。ゲートボール場に屋根を付ければ、天気の日に畑や田に出てもらって生産に加わってもらい、雨の日にゲートボールしてもらうことができますが、要は発想の転換で、高齢者を隔離するような施設づくりから元気な高齢者の社会参入をどんどん促進して生産活動に参入できるような取り組みが不可欠だと思います。県内の年金受給者は約25万人で総額6000億円だそうですが、元気印の高齢者が1人あたり1月50,000円ぐらいの収入を得れば年間1500億円となり、これが消費に廻れば県の一年分の公共事業費に匹敵するのであり、大きな潜在力でしょう。
この際、引退を決意された知事の、ご自身も含めた、元気印高齢者の社会参加に対するご所見とご認識を承って質問を終わります。
│掲載日:2007年05月04日│
高年齢者の社会参画について
私の本会議場における最後の答弁となりました。
全国に先駆けて少子高齢化が進展している本県において将来に向け、持続可能な豊かで活力ある社会を
築くためには若者から高齢者まで、あらゆる世代がそれぞれの役割を分担しながら、積極的に社会参加していくことが大切です。
このことは、本県の高齢者対策の基本理念である「おしゃれで凛とした生涯現役社会」にも通じる考え方であり、夢ファクトリー事業やくにびき学園など高齢者の生きがいづくりや社会参画に先進的に取り組んでまいりました。県内企業においてはキャリアを積んだ高年齢者への期待感などから定年制を廃止した企業もあり、こうした動きを加速させることが必要であると考えております。
自らは、知事を辞した後について、「浜までは 簑着る海女の 時雨かな」という句に自らの生き方を思い描いています。
県内企業の要員確保について
平成18年12月の県内の有効求人倍率を雇用形態別に見ると、正社員は0.54倍で、パートタイムや派遣・臨時等の非正規雇用は1.48倍となっており、県内企業において非正規社員が充足されていない実態が伺えます。
外国人労働者の受け入れについて解禁の議論があることは承知しておりますが、労働の需給ギャップをどうするのかという観点や治安、定住等総合的に検討されるべき事柄であると考えます。
中高年齢者労働情報センターについて
平成19年度から県内8カ所のハローワークに「島根県就職支援相談員」を配置し、高年齢者に対する職業相談を強化しますが、従来の産業人材無料職業紹介事業や定住財団が実施しているUIターン促進事業、シルバー人材センターによる人材派遣事業などの取り組みの評価を踏まえて検討したいと思います。