県議会だより

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平成19年6月定例県議会一般質問(1)

1.知事の所信表明について (1)溝口県政の基本方針について

今議会の冒頭に溝口知事の所信表明となる施政方針が示されました。
島根県の置かれた状況は厳しいものです。過疎化・高齢化・少子化の三重苦に加え、経済活動が伸び悩み、豊かと言われる自然環境も荒廃に向かっています。

前任者の澄田知事は、「国土の均衡ある発展」という国の基本政策に呼応して、「県土の均衡ある発展」を掲げ、石見・出雲・隠岐の社会基盤と道路、港湾、鉄道など交通網の整備に力点をおいた県政を推進されました。
一部に、身の丈を超えた公共投資によって県債残高が増加し、財政難を招いたとの批判があります。しかし、現在の、財政窮乏の要因の大部分は、国の急激な制度変更によるものであり、島根県に瑕疵はありません。

従来、日本の国是は「国土の均衡ある発展」であり、政権与党である自民党の基本政策もこれに合致したものでありました。しかし、社会が「ピラミッド」から「ネットワーク」へ急激に変質するなかで、小泉首相は自由競争による経済の活性化を選択し、構造改革の名の下に「官から民へ」「保護から競争へ」と基本政策は劇的に変更され、大幅な規制緩和や民営化を基本とする法律改正が行われています。確かに、株価やGDPなど全国的な経済指標で見れば、日本経済は停滞から脱しました。しかし、競争になじまない分野や発展軸からはずれている地域の停滞は顕著で、これを自助努力で克服すべきとする国の方向は明らかに間違っています。

住民保護の役割を担う地方行政にも競争原理が持ち込まれ、全国の市町村は合併によって半減しました。しかし、住民保護を基本とする地方行政にまで競争を持ち込むこと自体が疑問で、競争のグランドが未整備で「三位一体改革」による税源委譲のメリットが及ばない地域を追いつめるような国の政策に対し従来政策(「国土の均衡ある発展」)の延長線上での行政運営となっている地方がミスマッチを起こすことは自明で、「格差顕在化」は当然です。これは、木造建築の基礎のまま、鉄骨の建物を建てるようなもので、まさにチントバントです。

こうした時期に、遅蒔きながら島根県での「政権交代」が行われたことは極めて自然で、島根県の基本政策を変更するチャンスで、この期を逸しては、時宜に叶う方向変換は不可でありましょう。
知事は「信頼される県政」を掲げられました。知事は私と違って、その風貌が非常に穏やかで、多分、初めて会った人のほとんどが好印象を持つでしょう。
ですから、奥様、ご家族を含めて、溝口さん個人に対する信頼は絶大なものがあることは容易に想像できます。昨日から、同僚議員の質問に対する知事のコメントを聞いておりますと、体じゅうから誠実さが伝わってきますが、内容は就任挨拶の範囲内で、少々、物足りなさを感じております。

政治家、知事の溝口として、信頼されるためには、「期待を裏切らない、期待に応える」という要素が必要です。
従来、「国の制度が」「法律が」という理由で住民要求が退けられる場面がたくさんあります。ただ、国と地方が同じ基本政策で一致していれば齟齬は少ないでしょうが、いま、大きく異なっており、国の制度からこぼれたり、全く反する事態も少なくありません。
いまは、「財政が」という理由で、たくさんの要求が退けられます。財政逼迫は等しく県民の知るところですが、「いつまで」という問いには答えがありません。私は、県民から信頼されると言うことは「県民を守る」という姿勢が必要だと思います。
まず、最初にお尋ねしますが、県民の信頼を得るためには、県民に対して、県政の方向性を分かり易いメッセージとして発することが不可欠だと思います。20年ぶりの新知事の一挙手、一投足を県民は固唾を呑んで見ております。初めて提案された6月補正予算は必ずしも溝口色が出たものではないように感じておりますが、改めて、知事の県政にかける所感をお尋ねいたします。

溝口知事答弁

県政運営の基本的方向について

県政の改革で早急に取り組むべき課題は県財政の健全化であります。
財政の健全化には、全ての事業に聖域を設け流ことなく、徹底した見直しを行う必要があります。これにより、県民の皆様にはさらに大きな負担をかけることになりますが、この作業なくしては県財政の未来はなく、島根に暮らす皆様の将来の生活基盤の維持も困難になると考えます。
現在、私は「改革推進会議」を設置したところであり、この会議での提言を踏まえた上で、さらなる施策の選択と集中を行ってまいります。聖域なき見直しを行う中でこれだけはどうしても力を注がねばならないのが産業振興であります。
財政基盤が弱く、歳出に占める県税の割合が1割強の本県に必要な一般財源を安定的、かつ継続的に確保し、本県が持続的に発展していくためには、産業の振興が不可欠であり、雇用を拡大し若者が県内に定着する環境をつくることが当面の最重要課題と考えております。
このため、県内企業の拡大や観光の振興、競争力のある企業の誘致に積極的に取り組んでいく必要があります。また、島根の風土を最大限に活かし、情報産業の育成や集積にも取り組んでまいります。これらの産業振興は、これまでの取り組みを的確に検証した上で民間の方々の知恵も取り入れながら、県の総力をあげて取り組んでいく必要があると考えております。

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