県議会だより

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平成19年6月定例議会一般質問(2)

1.知事の所信表明について (2)島根県の振興施策について

私は、過去の議会で「島根県の不況は官製支出の急激な減少による経済収縮が主なる要因であり、これを克服するために新たな投資を誘発すべき」として投資土壌を整備すべきだとの意見を申し上げました。
島根県が地理的条件を克服し、都会に伍していくためには、まず発展方向へ向かう可能性のある分野への重点投資によって「成功事例」をつくること、私は、ソフトビジネスやグリーンツーリズムなどのフレッシュビジネスに活路を見いだすべきだと思いますが、行政支出であっても「投資」と位置づけ、「支出することによって生産される効果」をきちんと検証することが大切だと思います。
投資的歳出の圧縮だけでは島根県の財政難は克服できません。むしろ、地方交付税の総額確保がきちんと担保されるような法制化を政府、国会に強く求めるべきだと思います。私は、行政支出を医療、保険・福祉、警察、防災、教育などの「社会支出」と道路や産業振興などの「生産投資」に分離して考え、前者は国の責任で、後者は地方が主体的にというようにして、歳入総額の確保にもう少し力点をおくことが大切だと思うのであります。

そこで、お尋ねするのですが、知事は島根県において「伸びる分野」言い換えれば「投資に値する分野」と言っても良いかも知れませんが、どの分野にどのような投資が有効でしょうか。また、行政投資の地域への波及効果はどのぐらいと見込まれるのかご見解を求めます。

ところで、国の制度変更に伴って、県が独自の観点から何らかの補助・補正を必要とするものはたくさんありますが、新しいものでは信用保証制度があります。 島根県内には経営基盤の弱い中小零細企業が多いことはご高承の通りですが、金融機関の自己査定の厳格化や信用保障制度への責任共有制の導入に伴って、建設業や弱電、縫製といった構造不況業種にある企業の資金調達は困難を極めています。利益を得ている優良企業は金融機関から安い金利の呈示を受けた上に、准公的機関である信用保証協会の保証料も定率であるのに対し、一番資金が必要な企業には、リスクがあるとして金利は高く設定され、保証料率もきわめて高くなります。
都市銀行と地方銀行、信用金庫などの中小金融機関の貸出金利には1%から2%の差がありますから、もともと、地方と都市には資金調達のコストに違いがあります。県内金融機関でも、保証協会保証付プロパー融資では1.9%から6.5%の金利差が生まれ、制度資金にも保証料率の差違があります。
私は、再建の見通しがある企業への金融支援をもっと積極的に行う仕組みが必要だと感じており、商工会議所に置かれている中小企業経営相談所や商工会の経営相談員の役割を強化し、積極的に企業の経営計画の策定に関与させるなかで、企業の資金調達が有利に、容易にできる仕組みをつくる必要があると思います。新しい制度資金を用意するよりも、むしろ、現況の資金を活用しやすくするためにはどうすれば良いのか、低利の資金が必要なところにどうすれば上手く支援できる仕組みとなるのかを当事者の立場に立って考えてみる必要があると思います。

島根県では、設備投資などの資金は金融機関からの融資に頼るしかなく、建設業に象徴されるように、企業の業種・業態転換やベンチャー分野への進出の可否は、金融機関からの融資如何にかかっていると言っても過言ではありません。

島根の産業振興は、事業資金の調達が容易にできるか否かにかかっており、また、そうした支援施策こそ県に求められる産業振興施策の柱となるものと思いますが、知事のご見解をお尋ねいたします。

産業の振興を果たし、活力を維持するためには、マンパワーの確保が何よりも必要です。若年世代の定着がいちばんですが、過疎化、高齢化、少子化の島根県だけに、60歳以上の高齢者が目につきます。すでに農山村や漁村の中核はこうした年代ですが、団塊世代の退職が始まるこれからは、1年に1万人もの人たちが第一線を退いていくことが予想され、新卒の県内就職が2~3000人であることを考えれば大幅な人手不足が予想されます。
島根県の振興は、団塊世代の人たちを「いかに生産活動に引き込めるか」で、それは、高齢者の皆さんの健康をいかに持続させるかです。医師の養成を担う島根大学、中核医療機関としての中央病院と各地の公的医療機関の連携強化と役割分担によって「健康の持続」を図る施策が求められると思います。
昨年は、隠岐病院の産科医師問題に見られるように、医師確保が喫緊の課題として取り上げられました。しかし、医師や看護婦の確保だけでなく、地域医療のあり方が大きく変質しており、せっかく島根大学医学部や島根県立大学看護学部など、自前の医師や看護婦の養成機関を持ちながら、人材が都会地の医療機関に流出する状況をくい止める必要があり、政府、国会に対しては、速やかに法律や制度改正を求めるべきであると考えます。

私は、島根の振興のカギは、高齢者が健康でどんどん社会参加できるように、地域の健康チェック体制を整備・充実することが不可欠であると考えますが、知事のご見解はいかがでしょうか。

溝口知事答弁

有効な行政投資分野などについて

財源や人員などの行政分野が限られている中で、活力ある島根を実現していくためには、投入した行政資源とそこから得られる成果、特に地域経済の波及効果を考えた上で、より効率的な分野に投資資源を戦略的に投入することが必要であると考えています。
例えば、製造業の出荷額が1000億円増加した場合の波及効果は1400億円と試算されますが、常にこうした観点を持ちながら、行政資源を投入する分野を考えていく必要があると考えています。
このように考えますと、新産業の創出や県内企業のさらなる振興、また、競争力のある企業の誘致や観光などの産業振興は、行政資源を集中的に投資すべき分野と言えます。
こうした分野へ行政資源を投入することにより、県民生活の向上、雇用の場の創出、定住の促進、税源の涵養を通じた県財政への寄与など多方面に波及し、この結果、さらに地域経済が活性化する好循環を創り出していくよう取り組んでいかなければならないと考えています。

ご指摘の通り、金融対策は産業振興を図る上で基本的で不可欠な柱のひとつであります。今後、信用保障制度の見直しにより、これまで保証協会が100%負担していたリスクのうち20%を金融機関が負担することになります。このため、金融機関の審査が厳しくなり資金調達が難しくなるのではとの懸念につきましては、県内金融機関からは、従来と変わらず資金供給を行っていくと聞いており、こうした懸念はないものと考えております。
県といたしましては、中小企業金融の円滑化に一層努力するよう金融機関に対して、改めて要請してまいります。また、信用保証協会と各商工団体等が連携し、新たに経営支援チームを編成して、経営計画の作成を支援するなど、資金を必要とする企業が適切に調達できるよう取り組んでまいります。

議員ご指摘の通り、高齢者やこれから高齢期を迎えようとしている団塊世代の方々が、いつまでも健康を維持しながら地域の担い手として活躍していただくことが極めて重要であります。
このため、食生活の改善や運動の習慣づくりなど、若いときからの健康づくりや高齢者の生きがい対策を総合的に推進する県民運動である「健康長寿しまね」に取り組んでいるところであります。
また、病気の早期発見や早期治療のため各種健康診断や人間ドックによる健康チェックの呼びかけをしています。
来年4月から、医療制度改革の一環として医療保険者に糖尿病など生活習慣病予防に着目した特定健診および保健指導が義務づけられ、一層強化されることになりました。これに向け、医療機関や医師会等と連携し、しっかりとした体制整備を図ってまいります。

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