県議会だより

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平成19年9月議会一般質問(2)

島根発の情報発信について

全国の都道府県の認知度は北海道や沖縄、青森など地形的にわかりやすい地域や東京、大阪、京都などメディアに取り上げられやすい地域が上位で、島根県のような地域の認知度が低いことは容易に想像できます。現在は、地域のイメージや認知度がその地域で生産する農林水産物の価格にまでおよぶ時代となっていることから、戦略的な地域のイメージアップやブランドづくりの取り組みが非常に大切であります。
6月に石見銀山が世界遺産に登録された折に、山陰中央新報では一面トップの大見出しで報道されましたが、全国紙での扱いがどの程度であったかを考えて下さい。確かに今年の夏以降、銀山には多くの観光客が押し寄せていますが、多くが観光エージェントが企画した主催旅行によるもので、底堅いリピーターとなる県外からの個人観光客は驚くほど少ないのです。県外で、石見銀山の世界遺産登録や宍道湖・中海のラムサール条約登録などはほとんど知られていません。何故なら、島根県自体の認知度がおそろしいほど低いからであります。
私は、島根県の認知度を上げるためには、ナショナルブランドをいくつ持てるか、いくつ育て上げることができるかだと言ってきました。
一例を挙げれば、先日、邑南町の古民家が国の登録文化財に登録されたとの報道がありましたが、平成8年10月1日に施行された文化財保護法の一部を改正する法律によって、保存及び活用についての措置が特に必要とされる文化財建造物を、文部科学大臣が文化財登録原簿に登録する「文化財登録制度」が導入されました。
この登録制度は、近年の国土開発や都市計画の進展、生活様式の変化等により、社会的評価を受けるまもなく消滅の危機に晒されている多種多様かつ大量の近代等の文化財建造物を後世に幅広く継承していくために作られたものです。これは届出制と指導・助言・勧告を基本とする緩やかな保護措置を講じる制度であり、従来の指定制度(重要なものを厳選し、許可制等の強い規制と手厚い保護を行うもの)を補完するものであり、これによって先年、美保関灯台が登録されました。しかし、何故、日御碕灯台を登録しないのか、同じ登録するのであれば、2つの同時登録によってニュースバリューを上げ、関心を高めることで保存・活用の目的が高まると思います。
出雲市でフィルムコミッションをつくりたいと言っているグループがあります。彼らは、2002年に公開された錦織良成監督の「白い船」の制作にボランティアとして関わった人が中心です。錦織監督の作品は島根県雲南市で神話をモチーフにした『うん、何?やまたのおろち伝説』がまもなく劇場公開されます。昨年夏のしまねロケには、現地の一般ボランティアスタッフや監督自ら塾長を務める『しまね映画塾』のスタッフが多く携わり、エキストラをホームページの掲示板で募るなど、多方面からの参加もあったと聞いております。
錦織監督は現在、来年の公開をめざして島根3部作の3作品目となる一畑電車を題材にした『BATADEN』の制作を進められていますが、「地元のみなさんの熱い思いに負けないくらいの作品に仕上げたい」と語っておられますが、同時に、島根には映像で全国に紹介したい風景はヤマとあるけれども、島根県をアピールするには、一過性のものではなく、映画やテレビドラマのロケ地、舞台としてどんどん取り上げられるようになってほしいと言っておられます。
NHKの朝の連続小説や大河ドラマのロケ地として選定されるには、地域の持っている風情に加えて、ロケに必要な環境が整っているかどうかだと言われており、フィルムコミッションはその役割を担うものですが、私は、県にその主導的な役割を果たしてほしいと思います。また、同時に県の広報担当はもっと県民の一挙手一投足について情報収集し、積極的に発信してもらいたいと思います。
県の広報に聞けば島根県に関わりのあることはリアルタイムでわかるくらいの取り組みが必要だと思います。そのためには、県内市町村はもとより各種団体との情報交換が不可欠ですが、携帯電話からのメール発信など近年の情報・通信の方法は飛躍的に変化しており、旧態依然とした島根県の広報・情報発信について再考する必要があると思います。県の広報課は県の行政情報の発信ばかりではなく、島根県民のスポークスマンであるくらいの姿勢がほしいと思いますがいかがでしょうか。島根発の情報発信についての視点についてのご見解をお尋ねいたします。

溝口善兵衛知事答弁

島根発の情報発信について

島根発の情報発信、島根のイメージをどうやって全国に伝えていくかっていう御質問でございます。
これについてはいろんな手段があるわけでございます。伝統的な手段としましては、広報紙といった媒体を通じて行うとか、あるいは島根の出身者あるいは島根と縁の深い方を通じて島根の魅力等を伝えていくっていうこと、あるいは東京日本橋にありますが、アンテナショップといった島根の物産を展示した展示場を設けることによって大都市の人々に知っていただく、あるいは各地におきまして物産展を行うと、こういったことも引き続きやっていく必要があります。
本日の議論の中でも出ましたが、遣島使といった仕組みも十分これからも活用していく必要があると思いますが、やはり近年の大きな変化はメディアを通ずる情報の発信っていうのが大変重要になっておりますし、特にそういう中では映像の力の大きさがますます大きくなっておるわけでございます。
私どもとしましてはメディアを通ずる映像、1つは例えばホームページの改善もそうでございます。先ほどの御質問の中でもお答えしましたが、ホームページを通ずる、あるいはインターネットを通ずる情報の流通っていうのが大変な規模になっとりますから、そこを文字情報ではない映像による情報、実践的な情報を流すことをさらに改善をしていく必要があると考えます。
映像ということでは、最近島根を舞台にした映画が随分出ておりまして、全国的にも話題を引いておるわけでございます。私どもはテレビや映画のロケ地として島根が選定されるようにいろんなルートを通じて働きかけていきたいと思いますし、さらにロケなどが行われる場合には、民間によりますフィルムコミッションというような組織が大きな役割を占めてるわけでございます。ロケーションのために大勢のスタッフなどが来られて行う場合に民間の方々のボランタリーな活動によりまして、そういう映像を撮るところの確保でありますとか、宿泊でありますとか、いろんな便宜を供与するということがありまして、そういうものがこの島根での映画づくりなどにも役立っておるわけでございまして、島根には今松江と浜田にそういう団体がございますけども、さらにそういう活動を私どもとしても支援をしていきたいと思うところであります。
いずれにしましても、県庁はもとより島根県民一体となりまして、いわば島根のPRマンあるいは営業マンとして全国の方々に働きかけるような体制づくりに県としても支援をし、県自身もやっていきたいと思っておるところであります。

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