県議会だより

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平成19年9月議会一般質問(1)

島根県の再生のために必要な視点について

9月20日国土交通省は平成19年7月1日現在の基準地価を発表しました。それによると全国的には住宅地の基準地価は依然として下落しているもののその下げ幅は0.7%と鈍化しており、3大都市圏では4%の上昇となりました。商業地ではこの傾向が一層顕著で、全国では1%、3大都市圏では10.4%の上昇で、とりわけ、東京では商業地の地価上昇が17.2%、大阪で10.2%と傑出しています。
一方、島根県では依然として地価の下落に歯止めがかからず、住宅地で1.1%、商業地で2.7%の下落となっており、東京を100とした住宅地の都道府県別価格指数は7.6と15分の1で、松江市内の商業地ではわずか1.48です。
東京の基準地価は1990年をピークに下落し、2004年で底を打ったのに対し、松江では1995年がピークで依然として下落は続いています。統計の取り方によって多少異なりますが、1990年を100とする商業地の東京の基準地価は51.1に対し松江は30.6であり、1995年を100とするそれは138.5、29.8と景気低迷の状況がよく分かります。松江の基準地価は1980年水準まで下落しており、大都市部の住宅投資や設備投資が一段落すると見られる来年以降、地方への投資マネーをいかに受け入れできるかが回復のカギとあると思います。
そのためには、島根県の発展の基盤となる高速幹線、いわゆる動線確保が不可欠の要素であると思います。批判はありましたが、出雲、石見、隠岐の3空港と鳥取県の米子、鳥取両空港の整備、JRの高速化によって首都圏、関西圏からの人の流れは定着しつつありますが、経済発展の基盤となる高速道路網の整備は大きく遅れており、関東、中部、関西、山陽、九州と製造業を中心として順調な経済拡大が見られるのに対し山陰地方は大きく立ち後れているのが現状で、尾道松江線と山陰道の整備が何をさしおいても急務であると思います。
しかし、毎年のように高速道の建設促進についての会合が重ねられておりますが、予算の一律カットと整備そのものを国に頼るスタンスでは誠に残念ですが、見通しは暗いと言わざるを得ません。
私の友人で大手電機メーカーの下請け工場の事業者は、「山陽や近畿からの受注は可能だ。輸送コストは経営努力で吸収できても、時間のコストはどうにもならない。一日も早く高速道の連結を図ってほしい」と言い、また、取引先の観光エージェントは「観光客が滞在時間に拠点となるホテルや空港、JRの駅、高速道のインターなどから観光地までの移動時間が計算できないと、どんなに素材が良くても山陰観光の面的な開発は進まない」と言っているのです。
今朝の新聞には皆生温泉の老舗旅館である東光園が外資の手に渡ったとの記事があり、クラシック島根カントリークラブや三朝温泉の斎木別館、皆生温泉のひさご家などもタダ同然で投資ファンドの手に渡りました。玉造温泉の旅館や県内ゴルフ場のいくつかの実質的な経営権も同じような状況です。このままでは、県内全てに亘って事業の主体性が失われかねない状況となることは必至です。
財政危機の「いま」だからこそ全ての事業をゼロベースで見直しし、必要な事柄に徹底した傾斜配分による事業費を投入していく事業手法を取るべきだと思います。いま、検討されている「発展計画」では、とても島根県が発展しないことは明白で、その上、全ての事業の進捗が遅れるだけで、結果として「溝口知事は財布の紐を締めただけ」という評価になってしまいます。私は、投資の呼び込める、投資が促進できる土壌さえ整備すれば、県勢振興の可能性は十分にあると思います。
知事はコメントの中で高速道路網の整備を財政再建、産業の振興と並べて自らが掲げる課題のひとつに挙げておられますが、国に対してもっと強力に整備をアピールすべきだとも思いますし、整備の目標年次をしっかりと明示した取り組みが必要だと考えますがご見解をお尋ねいたします。

溝口善兵衛知事答弁

地域再生の視点について

園山議員からは産業の振興、観光、農業、漁業等々具体におきまして具体的な御提言、アイデアを提案され、さらに私ども県のこれまでのやり方などについて注文、御苦言もいただいたわけでございます。いただいたことをさらによく検討、研究をしてまいりたいと思います。まずこれを最初に申し上げまして、個々の御質問に対しましてお答えいたします。
1つは、高速道路の整備であります。
整備の目標年次を明示して取り組むようにする必要があるという御主張でございます。
私どももそういう方向に向けて努力をいたしたいと思いますが、山陰道、尾道松江線の早期整備につきましては、国に対する重点要望や、あるいは山陰道沿線の3県知事によります要望など、あらゆる機会を通じまして早期の整備を国に対して訴えております。
8月には3県知事で尾身財務大臣あるいは冬柴国土交通大臣等関係省の幹部等に、あるいは中国地方選出の与党国会議員の方あるいは多くの関係者に早期の整備を訴えてきておるところでございます。
整備目標につきましては、尾道松江線は平成20年代後半の供用予定ということで、既に公表がなっておるわけでございます。これに向けまして努力をしていきたいと思います。
現状では、用地の取得、工事とも順調に進捗をしておりまして、今年度末には工期が五、六年かかると聞いております県境部の長大トンネル、5キロメートルぐらいあると聞いておりますけども、発注予定であります。開通まで一層の期間短縮を要望して、引き続きやっていきたいと思っております。
山陰道につきましては、3県知事での要望書に2020年を目途に山陰道全線を完成することを明記して、未事業化区間の早期事業化を強く要望をしとります。完成まで長くかかり過ぎるんではないかという御意見もあろうかと思いますが、引き続きこの工期の短縮について努力をしてまいりたいと思います。

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