県議会だより

Reports

平成15年6月議会一般質問(2)

防災対策について

一つの事例を申し上げます。平田市に西郷土手と呼ばれるところがあります。一般県道鰐淵寺線と十六島直江停車場線の共用部分で国道431号から河下港に至る平田市西郷町地内でありますが、ここの平田船川は30年間に73回も冠水により通行止になっています。また、湯谷川の河口部は滞水被害も深刻です。20年も前にポンプ場の用地が買収されながら依然手つかずで、総合パイロット事業の完成により圃場整備され優良な農業生産の場が用意されたにもかかわらず、十分活用できない状況が続いていす。  確かに、水害常襲地帯であった平田市の治水は国、県の肝いりにより大きく改善されました。しかし、事業着手から30年の歳月は対象地域の住民に「もう少したったら」の期待を「いつになったら」のいらだちへ、そして「どうせ自分の存命中は無理」との落胆、諦めに変えています。とりわけ、財政事情による公共事業費の削減方針がこれに追い打ちをかけています。私は治山、治水のような防災事業と各種の建設事業は事業執行に対する取り組み方は根本的に異なり、応急対策、暫定対策、抜本対策というように実情に応じて様々なメニューを組み合わせて実施するものと考えますがご見解をお尋ねいたします。
二つ目の事例を申し上げます。平田市の海岸部に釜浦町があります。報告によれば、過去、日本海南西沖地震などにより津波による被害を被っておりますが、対策は事業費の受益者負担等の様々な問題により実施されておらず、危険は解消されていないとのことであります。
また、主要地方道斐川一畑大社線の相代‐塩津区間で映画白い船の舞台となった塩津地内には一輪車しか通行することができない未整備区間が残っています。平成10年の市道災害がきっかけとなり塩津は中学校の校区を変更されました。今回の知事所信に「安全」と言う文言はありませんでした。県民が安全に暮らせる環境を行政が保証することなどあまりに当たり前で改めて言及する必要などないということと思いますが、財政状況の極めて厳しい市町村では国、県の補助事業や単独事業の財源確保の問題から必要性は認めながらも事業着手や申請を留保している地域が多数残存しています。こうした事柄に光をあて対処することが私は政治の大きな役割と思っています。とりわけ、市町村をとりまく環境の変化により財源確保がいっそう困難になり、加えて市町村合併の議論により新規の単独事業や僻地、辺地対策の実施は極めて低下傾向にあることは残念であります。
声が小さな寒村の生活の安全が十分に図られていないのは財源の問題ばかりではなく、投資効果を数値評価する社会情勢にも大きな要因があると思います。政治から「一人は万人のため、万人は一人のため」との鷹揚さをなくしてはならず、大規模プロジェクトの事業効果や事業費捻出のあおりとならないよう市町村の実情に応じた適切な県の支援が不可欠と考えますがご見解をお尋ねいたします。

菅原土木部長答弁

県民生活の安全の確保についてお答えいたします。県民の安全の確保は行政の責務であります。これまでも様々な県政課題を抱える中で道路改良事業や河川改善事業など県民生活の安全性向上に努めてきたところであります。しかしながら、今日、本県財政は非常に厳しい状況にあることから事業を進めるにあたっては、緊急性の高いところから優先的に推進することが必要であり、たとえば治水事業において市街地における浸水常襲地帯や地域防災計画にある危険箇所の解消に取り組むほか、暫定的な施工を実施する事業効果の早期発現に向け積極的に取り組んでまいります。
また、今後の社会資本整備については新たに策定される総合計画の中で進むべき方向を明確にし、その実現に向けた「あれかこれか」の選択と重点化に取り組むとともに、公共事業予算についても新しい予算システムにより政策企画会議の中で検討してまいります。
尚、事業実施にあたっては、コスト縮減に努めるなど限られた財源を最大限有効に活用するとともに、地域の実情に十分配慮した視点も取り入れた公共事業事前評価システムを本格的に導入し、その決定過程の透明性の確保に努め、決して声の小さな地域の事業が大型プロジェクトの事業費確保のあおりとならないよう配慮してまいります。

過去の投稿

園山繁の活動日誌