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まず、建築物の安全について土木部長にお尋ねします。建築物は、確認申請、完成検査のあと、定期的な検査が義務づけられております。民間の建物に義務づけられている、特殊建築物定期検査制度について説明して下さい。
次に、県立や市町村立など、公的施設の管理および定期点検の状況について説明して下さい。
公的施設の管理や検査に不十分な点はありませんか。病院や学校などに行くと、「検査やチェックがされているのかな」と思うことが多々あります。財政事情によって適切な検査が行われずに放置されている事例はありませんか。
島根県は、老人ホームや保育園が特建検査の対象になっていません。多くの都道府県は法令改正にあわせて、数年前から対象とされているようです。近年、特老やグループホーム、保育施設などの施設がたくさん整備されていますが、見直しの必要はありませんか。
次に、建築基準法の改正による影響について、お尋ねします。姉歯事件により、建築基準法が改正されましたが、その概要について説明して下さい。
県内でも建築確認に時間がかかり、大型建築物の着工件数が低下したと聞いておりますが、いかがですか。
検査にあたるマンパワーの充実などの対策が必要だと言われておりますが、法律改正の影響による対策はどのように図られていますか。きびしい経営環境下の建築業界ですので、大工さんなどへの影響を最小限にするような取り組みをお願いしたいと思います。
次に、県内の道路、橋梁等の現状についてお尋ねします。県内の、道路延長、橋梁数およびトンネル数とその管理状況はいかがですか。また、ダムや堰堤等の現状についてはいかがですか。 特に、県下は土砂災害危険地域が多いのですが、財政事情により、危険個所の指定を受けているところでも、防災工事に必要な予算措置がされずに、何年も順番待ちの状況が続いており、また、今後も続くと思います。災害は待ったなしですが、今後の新設、改良の考え方についてお尋ねします。
│掲載日:2008年03月11日│
土石流対策といたしましては、砂防堰堤を新設するということが大きな効果を発揮するわけでございますけども、限られた予算ということもありまして、人家の多い箇所、病院、福祉施設、避難所等がある重要性の高い箇所から整備していくということにしております。
なお、災害時に、昨年の隠岐でも災害がございましたけれども、県負担が実質的ない災害関連緊急砂防事業なども積極的に取り入れながら整備を進めていきたいというふうに考えております。
また、たくさんの新設要望にこたえられない中、既設の堰堤背後の堆積土砂を除去し、機能回復するリフレッシュ事業を併用することによりまして、当面の安全性を確保するというふうにしております。この事業は、過去の災害でも大きな効果があり、地元要望も大きく、平成20年度予算における安全な生活基盤の維持確保の重点分野におきましても配慮していただいておりまして、下流の保全対象や緊急性を考慮し、これからも効果的な実施に努めてまいりたいと思います。
島根県は県道の80%が急峻な山地ということで、全県が特殊土壌地帯に指定され、地形的地質的に土砂災害が起きやすく、土砂災害危険箇所が約2万2,000カ所を数え、その整備率はいまだ16%にとどまっているところでございます。
土石流対策としての砂防堰堤は、昭和10年から設置しとりますけれども、平成18年度末までに1,336基を設置しております。管理状況につきましては、砂防設備点検要領に基づく定期点検と、豪雨、地震などが発生した後に行う緊急点検を実施しております。定期点検につきましては、主として職員が行い、のり面など高所の作業が必要な箇所につきましては、専門の業者に委託しております。また、近年は砂防ボランティアの協力により、効率的な点検を行っております。この点検情報に基づき、緊急性、安全性など優先度の高い箇所から修繕を行うということにしております。
県が管理いたします道路延長は、国道が564キロ、県道が2,528キロ、合計3,092キロということでございまして、これは日本列島の長さに匹敵するという長さでございます。また、橋梁数は2,545橋、トンネルは162本ということでございます。
島根県の県道は面積が大きく、地形は急峻、地質は脆弱ということで、例えば人口当たりの道路延長は、中国5県の平均の1.8倍、道路延長に占める橋梁やトンネルの延長の割合は、同じく中国5県の平均の1.2倍に上りまして、道路の建設費や維持管理費のコストがどうしても高くならざるを得ないという状況でございます。
日常の道路パトロールは、4車線道路で週4回、交通量が500台以上またはバス路線につきましては週2回、その他の道路は週1回実施しております。
今後の維持修繕の大きな課題といたしましては、これまで建設した多数の橋梁の老朽化による更新が、今後集中することが予想されるということでございます。県内には、建設から30年以上たった橋梁が1,125橋、そのうち50年以上のものは226橋に上ります。将来、老朽橋のかけかえが集中しないよう、今年度より県下の橋梁の一斉点検を実施し、橋梁長寿命化修繕計画を策定し、予防保全対策を実施することにより、大体60年くらいと言われている橋梁の寿命を100年くらい延ばすことを計画しております。
また、阪神・淡路大震災の教訓に基づきまして、県内180路線1,670キロの道路を緊急輸送路に指定し、この道路にかかる橋梁119橋について耐震補強を実施しております。平成19年度末までに耐震補強が完了した橋梁は87橋、73%ということでございます。
また、大雨が降ったときのり面崩壊の危険などがある道路防災危険箇所は、県内2,136カ所に上っております。19年度末の防災対策の進捗は26%にとどまっている状況でございます。
道路の安全を確保するために、日常的な維持修繕、老朽橋のかけかえ、耐震補強、防災対策など、今後維持管理のための財源確保が重要になりますけれども、現在、国会に提出されております道路特定財源に関する予算関連法案におきましては、地方道路整備臨時交付金を国道の補修費にも充てられるようになること、また財政力の弱い都道府県については交付率を55%から70%に引き上げるなどの制度改正も盛り込まれておるとこでございます。
また、バイパスの建設などにより不要となりました道路用地を払い下げる場合でございますけども、旧道建設当時、かなり以前のことになりますけれども、登記があいまいだったり地籍が混乱している場合など、時間がかかり、皆さんに御迷惑をおかけするケースもございますけれども、できるだけ早急に手続が進むよう、努力してまいりたいと思っております。
建築基準法の改正の概要でございますけども、御承知のように、平成17年の構造計算書偽装事件の再発を防止するために建築確認の審査及び検査の厳格化を大きな柱とするものでございまして、昨年6月20日に施行されました。
具体的に申し上げますと、高さ20メーターを超える鉄筋コンクリートづくりの建築物などは、これまでの建築主事などの検査に加え、県が指定する構造計算適合性判定機関の構造審査を義務づけ、構造計算の二重チェックを行うこととなりました。また、これに伴いまして、建築確認の法定審査期間がこれまでの21日から最大70日まで延長されたということであります。さらに、軽微な不備を除き、法令に適合しない箇所や不整合な箇所がある場合には、書類の差しかえを認めず、再申請を求めることなど、審査手続の厳格が図られたということでございます。
建築確認の改正後の状況でございますけれども、建築申請件数及び交付件数は全国、県内とも法改正直後の7月には対前年比でマイナス40%と大きく落ち込みました。その原因は、具体的な手続を定めた政令、省令の交付が、法律の施行日直前となり、周知期間が十分とれなかったことということもございますけれども、これまで、先ほども述べましたように、申請書を提出した後でも差しかえや変更が認められていたものが、改正によりまして、差しかえする場合は最申請が必要になったことから、申請前に十分チェックする必要が生じ、時間を要するようになったことも大きな要因ではないかと考えております。
その後は、法改正の周知が図られまして、また申請者もある程度制度になれてきたこともあり、申請件数、確認件数とも回復してきております。本年1月のデータによりますと、全国、県内とも対前年度非でマイナス10%程度まで回復いたしました。中でも、島根県内の大規模な建築物の建築確認、交付件数は対前年比マイナス3%程度まで回復してきております。
構造計算適合性判定機関につきましては、島根県は大阪市にあります財団法人日本建築総合試験所を指定判定機関としております。この試験所の判定員は、当初127名でしたけれども、現在253名の判定員を確保し、体制整備を図っているところでございます。加えて、本年2月22日法改正後最初の構造計算プログラムが大臣認定を受け、これを利用して構造計算した場合につきましては、判定機関の審査を一部省略できることから、より一層の短縮が図られるものと思っております。次に、建築業界の対策についてでございますけれども、県内の審査機関による事前相談、事前審査の実施、講習会の開催、構造計算のサポートセンターの設置など、なるべく影響を小さくするような対策をとってきております。また、国におきましても、中小企業への資金繰り対策として、セーフティーネット貸し付け等を拡充するなどの対策を講じております。今後につきましても、より一層建築関係団体と相談をしながら、改正建築法の円滑な施行に努めてまいりた
議員御指摘のとおり、公立の施設でありましても、検査の結果、改善が必要な施設もございます。そして、その中には多額な予算が必要なものもございまして、直ちに改良できないという場合もございます。建築行政部局といたしましては、改善の必要な施設につきまして速やかに改善が図られるよう、今後は施設の管理部局へ要請してまいりたいと考えております。
対象となる特殊建築物は、公共的な建築物でかつ3階建てあるいはそれに相当する大規模な建築物というふうになっておりまして、これまでは老人ホームや保育園には大規模な建築物はないだろうということで対象から外していたのではないかと思われます。しかし、議員の御指摘を踏まえまして、今後は老人ホーム等、高齢者福祉施設及び保育園等も対象に含めるべく早急に検討してまいりたいと思います。
特殊建築物定期検査制度についてでございますけれども、ここで言う特殊建築物とは、学校、病院、ホテルなど、公共性の高い建築物または不特定多数の人々が利用する建築物で、かつ一定規模以上のものを言い、各県ごとに具体的に指定しております。このような特殊建築物について、2年に1回定期的に検査し、その結果を特定行政庁に報告していただくことにより、利用者の安全を確保しようとする制度でございまして、建築基準法に基づいて実施しているものでございます。
特定行政庁とは、島根県の場合は、県及び松江市、出雲市の3つの自治体でございまして、松江市内にある特殊建築物は松江市、出雲市内にある特殊建築物は出雲市に、その他の市町村にある場合は県に報告することになっております。また、国及び特定行政庁自身が所有する建築物はこの制度の対象外となっております。
島根県内には約680の報告対象建築物がございますけれども、報告率は90%でございまして、全国平均の60%に比較してかなり高くなっております。報告が出てこない所有者の方に督促を行ったり、老朽化により危険になってる箇所がある場合や、火災の際の避難通路に支障となるものを置いてる場合などについて立入検査を実施し、改善指導などをしております。
これまで、国あるいは特定行政庁自身が所有する建築物につきましては、定期的な点検、報告義務はございませんでしたけれども、平成17年以降は、これらの建築物につきましても、3年に1回定期的に点検することが義務づけられました。ちなみに県有施設につきましては、総務部営繕課が計画的に点検を実施しております。
また、公的施設の耐震診断につきましても、平成17年度までに民間66%に対して65%と同程度になっております。
しかし、県では、平成19年に策定した島根県建築物耐震改修促進計画におきまして、公共施設の耐震化を民間に率先して取り組むこととしておりまして、平成27年度末の目標95%に向けて、今後は関係部局への指導を徹底してまいりたいと考えております。