県議会だより

Reports

平成20年2月議会一問一答質問(1)

県産食品の安全確保について

「遠くをはかるものは富み、近きをはかるものは貧す」とは二宮尊徳の言葉ですが、眼前の利益や世論に流されずに、百年の大計をはかる知力を磨くことが肝要であります。現在の厳しい経済情勢の中で、企業がお客様の信頼を得て、生き残っていくための要素は、事務や間接経費を徹底的に削減して、安全管理や品質向上に必要な投資経費を確保する姿勢です。 私は、行政の役割は「住民を守る」ことにあると思っており、島根県で安心して暮らすためのいくつかの事項についてお尋ねしたいと思います。
はじめに、県産食品の安全確保についてお尋ねします。食品の安全・安心を所管する健康福祉部長、県産品は安全ですか。また、流通前のモニタリングなどの検査態勢はどうですか。
市場は、トレーサビリティや出荷前検査の徹底による安全宣言を求めていますが、いかがですか。私の目には、島根県は、依然として安全性の確保は生産者の責任とする従来の姿勢のままに見えるのです。宮崎県は東国原知事のパフォーマンスが目立ちますが、県産品の検査体制整備を確立させていると聞いております。そうした実態を把握されていますか。
知事にお尋ねします。県産品の安全安心宣言が必要だと思います。ブランド化とは、県産品のすべてが、豊かな自然のなかで育まれ、絶対に安心で安全な品物なのだと言うことを、県が保証できるような仕組みをつくって、初めて実現できると思います。そのためには、どんな要素が必要で、県としてどんな役割を果たせば良いでしょうか。ご見解をお尋ねいたします。

法正良一健康福祉部長答弁

県産品のモニタリング調査の検査体制について

おっしゃいましたように、食品、流通の前の段階と、それから流通後の段階、分けて考える必要があるだろうというように思います。
県では、先ほど申し上げました流通食品の検査を実施しております。平成19年度では1月末現在で加工食品の食品の添加物など512検体、それから農産物の農薬の検査32検体、あるいは畜産物や水産物の抗生物質の検査など54検体、合計で598検体の県内産食品の検査をしております。
それからもう一つ、出荷前、流通前の検査でございますけども、私どもがかかわっております、これは法に基づくものでありますけども、牛とかあるいは豚肉の、いわゆる流通前の屠畜検査、こういったものを流通前の検査ということになろうかと思いますが、これは法に基づいて行っております。また、一般的には、出荷前の検査、こういったことは生産者あるいはその製造者において、自社製品の安全確保やあるいは納入先からの求めに応じて実施されているものというふうに承知をしております。
農林水産部におきましては、農産物に関してはエコロジー農産物、減農薬減化学肥料だったと思いますけれども、農産物の認証制度の信頼性確保のための残留農薬の検査が行われてると。また、水産物では、イワガキのノロウイルスあるいは大腸菌検査、イタヤガイなどの解毒検査、こういったことについて、生産団体と共同して実施されているというふうに承知をしております。
今、お話ありましたように、宮崎県では県とそれから生産者が一体となって農産物あるいは畜産物、こういったことを中心に、安心あるいは安全、これを確保していくという観点から、ブランド化の取り組みを行われているというふうに伺っております。特にその特徴は、先ほどお話がありましたように、従来非常に時間のかかってた検査について、農産物の残留農薬の一斉分析が2時間程度でこれを可能とすると、こういったシステムも開発されたようであります。そういったことを使って、生産者が自主的あるいは定期的に出荷前に検査をする。そして、その安全性を確認して出荷すると。これはお話ありましたように、全国でも先駆的な取り組みであるというふうに理解しているところであります。

法正良一健康福祉部長答弁

県産食品の安全確保について

食品は生産者の段階における生産から、これが加工あるいは生産市場等の手を経て、さらに流通に乗って、そして最後に消費者の手にわたるということだろうと、そういう流れだろうと思います。そういった中で、それぞれの部分部分において安全の確保のための手だてがとられている、そういったことが信頼を得ているということになろうかと思っております。
県では、流通食品の検査を実施するほか、製造施設や、あるいは販売施設、これも該当する施設が県内で約2万8,000件ございますけれども、すべて入ってるわけではありませんが、そういった検査でありますとか、あるいはそういった施設への定期的な立ち入りとか、あるいは衛生的な措置に関する助言指導、こういったことを行っております。それからまた、1次産業の分野において、生産段階において、消費者に安心を持っていただくような安全な食づくりといいますか、農産物づくり、こういったことに取り組まれてるというふうに承知をしております。
近年、食品の加熱不足などによりまして、調理とか、あるいは取り扱いの不備によって食中毒の発生、こういったものは幾らか見られておりますけれども、県産食品そのものによる健康被害、こういったことは発生をしておりません。また、ここ数年の流通食品の検査結果におきましても、食品衛生法違反と、こういったことは認められておりません。
こういったことから、食品衛生法が求めております安全性の基準、こういったものをクリアしているというふうに思っております。そういった面で、私といたしましては、県産食品は安全であろうというふうに思っております。

溝口善兵衛知事答弁

県産品の安全・安心宣言について

お話をお伺いしながら、よくわかるわけであります。安全・安心といいますから、2つのものは同じようなもんだと思いがちなんですけども、安全というのはやはりつくる人が安全につくると、物理的、科学的に見て安全な食品になってるということがまずなきゃこれは安心できないわけです。だから、それはやはり生産者が、あるいは農産物であれば農家の方、あるいは食品加工する場合ですと食品の加工する方々が、安全で衛生なプロセスで物をつくらないといけません。
次に、今度は安心というのは消費者の方の話になるわけです。消費者はどういうプロセスでできたか、どういうものが含まれているか、これわからないわけで、したがいまして、第三者のような人が入って、認証したり検査をしてこれは大丈夫なんですよという保証をしなきゃいかんわけです。保証すると安心ができるとこういうふうになって、安全・安心という2つの要素が満たされるわけです。そこで、何がないかというと、生産者は安全をつくってるわけです。消費者にわたる過程で、認証でありますとか検査でありますとか、そういうものが不足しているというのは議員の御指摘だろうと思います。私もそうだろうと思います。
したがいまして、私はそういう問題、近年非常にこの問題に対していろんな問題が起こってるわけでありますから、県としても対応しなきゃいかんだろうと思っております。そういう意味におきまして、来年度早急に、専門家でありますとか、あるいは消費者の代表、生産者などをメンバーとしまして、どういうふうにしたら県が認証したり検査を有効にし得るかという仕組みを検討していただいて、その過程で、御指摘になったような宮崎県などの進んだとこの事例なんかも研究しまして、県としたら何をすべきかということを早急に検討して、必要な制度を立ち上げるようにしたいと、努力したいと思います。
ただその際、産品の数が多いわけでありますから、それから生産方法もいろいろ違います。農家の場合もありますし、それから加工する場合もありますし、それはいろいろありますから、個々の産品についてどういうやり方でどうする、それからいつできるかっちゅうのは、そういう検討を踏まえながらやっていきますけども、そういう方向で早急に対応しようと思っておりまして、農林水産部、関係部局にも指示を既にしてるとこであります。
それから、もう一つ大事な問題は、生産者が安全につくったと言っても、生産者の努力の外からいろんなものが入ってくるわけです、生産のプロセスに。それをやっぱり防ぐということも大事な課題です。そういう意味におきまして、島根県全体で減農薬とかあるいは有機農業を推進するというのも一つの必要な方法かもしれません。自分のところは余り使わないけれどもほかで使えば入りますし、あるいは水を通じて入るわけであります。それから、そういうものとあわせまして、下水道の整備でありますとか、生活排水、あるいは工業排水の監視あるいは指導を徹底していかなきゃいけません。それから、そういう意味で県下全体で環境への負荷をやっぱり小さくするようなことを県の政策として考え、推進していかなければならないと思っております。やはり自然の豊かな風土で生まれる県産品だということが消費者の方々に知られるようにしなきゃいかんわけです。そういうことによって、島根の食品は、産品は、安全であると同時においしいというブランドが確立されるわけでありますから、おっしゃるような仕組みづくりは一つのコアであるというふうに考えておりまして、そういう方向で全力挙げて対応していきたいと思っておるところでございます。

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