県議会だより

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平成20年6月議会一般質問(4)

5 宍道湖・中海の水質浄化について

宍道湖沿岸首長会議が行った水質検査では、宍道湖は遊泳して差し支えないとのことであります。しかし、誰もそのようなことを信じていないのか、渚に水遊びをする姿はほとんどなく、平田船川や湯谷川の川べりで子どもが遊ぶ姿もありません。
私は市議時代に霞ヶ浦や印旛沼などの水質浄化の取り組みを視察したことがあります。霞ヶ浦周辺にはたくさんのビオトープがあり、農業排水の窒素、リンなどの除去が図られ、また一般家庭には食器の残さをこすり落とすゴムへらが配布され、家庭からの負荷を減らそうとする取り組みがされておりました。
宍道湖周辺の下水道整備は逐年進んでいますが、水質検査の結果だけを見ますとほとんど変化は見られません。近年、シジミの漁獲は激減しており、宍道湖漁協では資源保護のため、従来150㌔であった一日当たりの収穫限度を120㌔、さらには75㌔に制限しています。
ただ、シジミの斃死が一過性のものなのか、原因は解明されていません。年間30億円を超える日本一のヤマトシジミの漁獲を誇る産地でありながら、県の水質やシジミの生態研究に対する関心は余りにも低いのではないでしょうか。
数年前から、宍道湖の流入河川沿川の小・中学校で水質検査や生態の調査が行われています。これは、児童生徒に、河川環境の調査をしてもらうことで、河川環境への意識啓発を図り、河川環境の向上に繋げていこうという目的で始まったものですが、残念ながら、未だ環境向上の動きにつながっていません。
私は、過去に何度も宍道湖周辺の環境浄化への取り組みを申し上げましたが、残念ながら県の積極姿勢は見えません。ラムサール条約への登録前と後で何が変わったのでしょうか。是非とも、もう一度、流入負荷の減少や合成洗剤や塩素系洗剤の制限への取り組みを図るために県の主導的な取り組みを求めたいと思います。

6 農業従事者の確保について
島根県の農林漁業を支えているのは60歳以上のみなさんです。しかし、現在の農業者年金の制度のうち「特例付加年金」は、「経営移譲」が条件であり、主体的に農業生産(畜産を含む)を行い、農業所得がある人には年金資格が付与されません。これは著しく不合理で、後継者がなければ離農する以外に年金をもらうことができないのです。
山間農地や農業水利を守ることは地域を守ることであります。厚生年金はいったん退職し、受給年齢に到達すれば、一定の所得があっても支給されますが、農業者年金は一部しか受給できません。
島根県農業の実情からすれば、こうした年金のあり方は百害あって一利なしで、高齢者の農業従事を阻害する以外の何ものでもないと思います。私は、県として、国に制度改正を具申すべきであると思います。高齢化の進む島根県であればこそ、制度の抱える問題点が指摘できると思いますが、いかがでしょうか。

溝口善兵衛知事答弁

農業者年金の受給要件について

農業者年金は、農業者老齢年金と特例付加年金の2種類があります。農業者老齢年金は納付した年金保険料の額と期間とに応じて満65歳になると全員が受給できるという仕組みでございます。
一方、特例付加年金は老齢期まで長期にわたり、担い手として効率的、安定的な農業経営を行ってきた農業者がその蓄積した農業技術等を後継者に継承することとした場合に支給をするものであります。
この制度は、後継者の確保に特に着目をした国の制度でありまして、その財源は全額国費で賄われているものであります。
しかしながら、議員御指摘のとおり、高齢者になっても農業経営を継続しながら年金を受給することが認められてないことや特例付加年金を選んだ場合には、一定の額しか受給できないことなど、農業者にとって魅力的でないことから、制度の充実を望む声が聞かれているところであります。
本県の農業が高齢者に支えられている現状を踏まえ、また農業者年金が若い人にとって農業の魅力の一つと感じられるよう制度のあり方について国と議論をしていきたいというのが私どもの立場でございます。

小林淳一農林水産部長答弁

宍道湖シジミの研究について

宍道湖のシジミの漁獲量は、平成18年に6,400トン余りであったものが昨年――平成19年には5,000トンを切るような状況になっております。
この原因は、平成18年7月の豪雨によりまして、河川から大量に水が流れてきたと、そういうことによりまして稚貝なり親貝が影響を受けたものであると推測し、ただ一方で過去にもそうした例がございました。そうした過去の例からすれば、19年――昨年の秋には一定程度の回復をするものではないかと考えておりました。しかしながら、その予測が当たらずに回復状況は思わしくございません。
県としては、従来からシジミの資源量なり生息状況は調査してまいりましたが、これに加えまして、島根大学の協力も得ながら、シジミの低酸素の環境における耐性調査とかといったようなものを含めて研究を始めるように検討してまいりたいと思っております。

錦織厚雄環境生活部長答弁

宍道湖・中海の水質について

宍道湖・中海の水質は、長年にわたり横ばいの傾向でございます。水質改善が進まない原因の一つとして、山林や農地、市街地など非特定汚染源と言われるところから降雨などに伴って流出する全窒素や全燐などの汚濁物質の湖内への流出が考えられます。宍道湖・中海では、この非特定汚染源による汚濁が約8割にも及ぶことから、手法を工夫しながら、今後は非特定汚染源の対策に力を入れて取り組み、流入負荷を減らしたいと考えております。
また、洗剤の適正な使用を呼びかけることも必要でありますし、その処理に有効な下水道等の普及に引き続き努める必要がございます。
平成17年のラムサール条約への登録を契機に、鳥取県と島根県が連携をいたしまして、毎年6月に宍道湖や中海の護岸で行政や住民の皆さんに一斉清掃を行っていただいております。非常に多くの方々の参加があり、地域における環境保全に対する意欲が登録前より一層盛り上がっておりますので、生活系の汚濁負荷の軽減にぜひつなげていきたいと考えております。

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