県議会だより

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平成15年6月議会一般質問(1)

知事の政治姿勢について

自民党議員連盟の園山繁であります。自動車の運転免許を取得いたしますと1年間は新米運転者を示す緑と黄色の双葉マークの表示が義務づけられます。私は胸に双葉マークのついた新米議員でありますので、言葉の稚拙なところや不十分な点はどうか寛容に、そして執行部の答弁は丁寧・親切にお願い申し上げる次第であります。
「民は賢にして愚なり、また愚にして賢なり」という。まさに言い得て妙であります。私は、現在の世相、とりわけ報道の有り様によって世論が大きく変わるなかで、政治に対する住民の皮膚感覚は極めて敏であり、鋭く真理をつくことを言い当てていると思います。 私は、この1月まで平田市議会に籍を置いておりました。個性的で独特の首長率いる執行部との議会でのやりとりは時に沸騰し、それなりに緊張感がありました。アメリカの大統領制よりもさらに強大な執行権が与えられている地方自治制度の下で、首長の政治手法は近年大幅に変質しています。直接選挙で選ばれる首長が敢えて議会での与党を求めず、事前の「根回し」を行わずに議会に臨むという姿がありこちで見られるようになりました。
インターネットに象徴されるように情報の伝達方法は飛躍的に高度化してきました。良い悪いは別にして、テレビのワイドショーでさえ一つの事象に対する賛否を視聴者に問いその答えをリアルタイムに流しています。ジャーナリストや評論家、文化人と言われるいわゆるオピニオンリーダーによる世論から住民の直接意志による世論へとその形成過程が著しく変化しました。しかも、そのスピードが極めて速く、必ずしも現在の政治が対応しきれないことに住民はいらだち、不信、無関心を招いています。
9割以上が高等教育を受け高い知識を有する、つまり、個々の住民が極めて高い自己判断能力を持っているなかで、交通手段に加えて通信手段の飛躍的な発達による世論形成過程の変化に対応する政治のありかたを私達は政党の役割や行政と議会の関係を含めてもう一度考えなければならないと思うのです。閉塞感が漂うなかで、従来の調整手法から政策の決定プロセスをオープンにする、首長の意向、提案に対する賛否に住民の意思を直接反映させるという手法に支持が集まるのは必然であります。時に大衆迎合(ポピュリズム)に、独善に陥る危険性は極めて大きいわけですが、だからこそ議会に高い見識と専門性が求められるわけで、議会と執行部の緊張関係、議会での審議、論戦の活性化なしに住民の政治への信頼回復はあり得ないと思います。行政や議会情報の開示の必要性が言われるのは当然であり、結果に対する説明責任、アカウンタビリティの徹底こそ今の政治に求められている大きな役割だと思うのであります。
厳しい財政事情下での県政運営には従来手法と違う発想や手続きも必要で、県政改革の達成には住民に忍耐や痛みを求めることもあるでしょう。改革を成し遂げるために必要な要素は一つには県民の理解であり、一つにはそれに直接携わるスタッフの使命感であります。知事は「まず一定の方向を指し示し、それに対する各方面からの議論を踏まえた上で最終判断する」と言明されました。一定の方向を示す相手方がスタッフならトップダウン、特定の政治家やブレインなら密室となり、県民の反発は必至です。75万人の県民と1、5万人の県職員に知事の思いを伝えるためには新聞やテレビといった従来メディアの役割も重要ですが、ITを活用した様々な手法は情報が双方向となることから極めて有効であります。メールマガジンの発行やチャットによる対話等を是非ご検討いただきたいと思います。
そこで、始めに県政改革に関して知事にお尋ねいたします。県は現在厳しい財政状況下にあるとして財政健全化指針を示すとともに例外なき歳出カットの意志を内外に示すものとして特別職の報酬および職員の給与カットを実施されました。これにより28億円の削減効果を見込むとされておりますが、意外とこれを評価する声は小さいのであります。知事スタッフの一員であるべき県職員で組織されているはずの職員組合はこれに反対してストライキを実施したことも大きなダメージです。県政改革に対する県行政の一体感が今ひとつのように感じられるわけですが、ご見解をお尋ねいたします。
補助、単独を問わず公共事業費の一律削減の方針は歳出の徹底的な見直しの一環と思います。これが一部で事業延伸の方便にされ、不況の要因にさえあげられています。こうした状況は県政への信頼を著しく低下させ県民にあやまった知事像を投影する事になりかねません。
先の選挙で示された圧倒的な勝利は知事に対する県民の強い信託の証であり改革に対する支持であります。しかし、行政に対する県民の満足度、信頼感、期待感は未だに低いのであります。つまり、知事に対する支持と県行政(政策)に対する評価に乖離があるのではないかと思うのでありますが、ご見解をお尋ねいたします。
今年度政策企画局を中心とした組織改革によって県庁内部の組織は改革され、事業の執行手法は大きく変わったと思います。しかし、宍道湖・中海や古代研・歴博の問題に象徴されるように、流れのなかで事業実施の方向を変化させていく方法は、堅実ではあっても「変わった」と県民に実感させるアピール度は極めて弱いのであります。結果として大きな政策転換でそれが世論の流れに沿ったものであるにもかかわらず評価として出てこないことは極めて残念であります。知事はもっと自らの見解を県民に語るべきであります。強い情報発信によって県民に直接アピールし、県民の改革に対する支持を強固なものにすることが県政改革の成否を左右すると思いますが、ご見解をお尋ねいたします。

澄田知事答弁

職員給与のカットにつきましては県財政の急激な悪化に伴い、歳出全般を聖域なく見直さなければならない状況の中で、私をはじめ職員の人件費についても抑制を図る必要があると判断し、実施したものであります。県議会のご協力による議員報酬のカット、特別職および職員の給与等のカットにより単年度で28億円余の歳出削減が図られております。
県民の皆様はこうした財政再建に取り組む姿勢について基本的に評価いただいているものと認識しております。県の行政改革についても積極的な情報発信により県民の皆様の一層の理解と協力を得ながら、組織を挙げて行わなければなし得ないと考えております。そのため、私が先頭に立ち職員と改革に向けた思いを共有しながら組織一丸となって取り組んでまいります。
次に県民の県行政への評価と知事自らの県民へのアピールについてであります。私は、先の知事選挙において多くの県民の皆さんからご支持をいただき、5選を果たすことができました。選挙期間中は延べ5000キロにわたって県内を駆けめぐり支持を訴えてまいりました。その折、「トンネルや道路が良くなって便利になった」「JRの時間が短縮され東西の利便が向上した」など評価の声を聞き、県民生活を支える交通基盤整備に全力を尽くしてきた成果を私自身目の当たりにすることができました。選挙において皆さんから寄せられた熱い支持は県政に全力を尽くして取り組んでいる「澄田」個人への信頼であると同時に「十分に議論を尽くし、最終的には知事が責任を持って決断し、決めたことは確実に実行する」という手法で進めてきた着実な県行政に対する厚い信頼と評価でもあると確信しております。
また、4期16年の間、私はふるさと会議や現場視察などを通じて、直接県民の皆さんに私の考え方を伝えるとともに、様々な意見も伺い県政に反映してきました。
今年度は、ふるさと会議を拡充し、公募メンバーを拡充したり、地域で頑張っている企業や農家を訪問するなどより幅広い年齢の、多くの皆さんと現場で直接語り合い、意見をいただく場面を持つこととしております。私は派手なパフォーマンスではなく、現場主義を一層徹底し、県民の声を着実に県政へ反映していくことが重要であると考えております。今後ともあらゆる機会を通じ、私の考える将来の姿を具体的な数値等を用いながら、自らの言葉で県民の皆さんに直接語りかけ、県民との協動による県政を推進してまいります。

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