県議会だより

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平成20年6月議会一般質問(1)

1 燃油・飼料対策について 

ついにガソリンが1㍑180円を突破しました。現状では、原油価格が1バーレル(159㍑)140ドルを超えており、ヨーロッパ各国では既に1㍑250円を超える水準にあります。ですから、農業用、漁業用燃油の価格やビニール、発泡スチロールなどの生産・流通資材などのコストは大きく上昇しており、軒並み採算割れになっています。極めて深刻な事態となっているのは畜産と漁船漁業で、生産コストの価格転嫁ができなければ、破綻は必至です。
国内の農林水産業は「内外価格差の解消」という政府方針の下で、コメに象徴されるように据え置かれ、下落し今日を迎えました。魅力がなくなった産業から就労者が離散することは自明で、農産漁村の疲弊は深刻です。
しかし、価格決定権、支配権を持たないのは製造業においても同じです。とりわけ、中小零細の加工、下請けは急速に経営収支が悪化しつつあります。私はセリで価格が決まる現在の1次産業産物や相対取引であっても圧倒的な力の差がある元請けと下請けなどの取引については、燃油や電気など容易に代替のきかない分野での不可抗力のコストアップに対して救済的な付加価格(サーチャージ)を認める法整備が必要だと思いますがいかがでしょうか。特に、救済を求めているほとんどの業種で、生産価格を5~10%引き上げれば解決するのです。
仄聞するところでは、政府は、燃油対策に関し、農業や漁業用の燃油価格の補助について難色を示しているようであります。ひとつに補助すれば、次から次に対象が拡大して際限がなくなるというのがその理由のようですが、国際協調も後手、新エネルギーの開発も後手、風力発電や燃料電池の技術開発も後手と、全ての取り組みが後手、後手で、そのツケが全て弱い立場の分野に寄せてきています。
島根県内でも出雲市で水素燃料で駆動するシジミ漁船の開発のニュースがありました。県の人たちにはほとんど関心が無いようですが、東部工業団地のバイオマス研究や木質ペレットなどの開発にもっと関心をはらうべきでしょう。
昨日の東京市場で、島根産のデラウェアはキロ当たり800円から950円で、大阪産は850円から1000円、山梨産は1200円から1500円でした。高く売れれば燃油高騰に対しても伍していけるのですが、低価格ではどうにもならないのです。
また、島根県産品については、高く売れる取り組み、有利販売についての取り組みを深化、強化すべきと考えますが、いかがお考えになりますでしょうか。

2 企業のコンプライアンスについて
東横インの硫化水素噴出については企業の法令遵守姿勢いわゆるコンプライアンスが問われる事象です。ミートホープ社や船場吉兆を見るまでもなく、偽装などの反社会的行為は一度発覚すれば企業活動の継続が困難になるなどその代償は甚大です。
実は、東横インの廃棄物の違法埋設による硫化水素の噴出をうけて、特殊建築物の定期検査を受け付ける特定行政庁から(島根県では県と松江、出雲の2市)建築物の所有者に対して配管ピットの有無と点検状況について照会がありました。
建築物の安全を所管する当局として、建築物の所有者に適切な管理を求めることは当然としても、何故、建築物の違法改造が指摘された法人が犯した再度の不法行為、しかも今回は奇跡的に死者が出ていませんが、地域イメージの低下はもちろん、近隣商店街の迷惑は多大です。
県としては、当該法人の立ち入り検査や営業許可の留保などがされていません。告発などの法的手段を含めて、当該法人に対する県の毅然たる姿勢を求めます。また、不法行為によって県はいったいどれほどの行政経費を要したのかお尋ねします。当然、そのコストの全てを原因者に請求すべきですが、いかがでしょうか。

溝口善兵衛知事答弁

石油高騰対策について

今の石油価格高騰に伴います対応策の一つとして、農産物等に対しましてサーチャージをかける仕組みを考えてはどうかという御質問でございます。
多分、サーチャージは付加金のようなものをかけて、それを徴収するといいますか、かけるということになるわけでございますから、どなたかが徴収して、それを売った人に払うと申しますか、価格そのものが上げても消費者が買われるということが、そういう仕組みを考えてはどうかということだろうと思います。
今、私どもも燃油価格の高騰に伴いまして、農林水産業におきまして大きな影響を受けて、私どもも対応を考えていかなければならないということでやっとりますが、1つは国が農林水産業の方々に対して、燃油価格の高騰に伴うコストの上昇について直接的な補助をするっていう仕組みが言われとるわけです。それから、過去におきましては省エネ等を進めることによるコストを補助すると、間接的な補助でございます。それから、今園山議員がおっしゃったのは、サーチャージ価格を設定する、法律によって設定するということでございます。これも一つのアイデアだろうと思います。
ただ、現実にそういう仕組みが適用できるかどうかっていうのは、市場の条件によると思います。それはこれからよく研究すればいいことでありますが、農産物は過去におきましては米などに食糧管理制度で公定価格っていうものが生産から流通、消費に至る過程をシェアへコントロールしとったわけでございますけども、だんだん競争的になっておりまして、今やいろんなものの値段の中では最も競争的な分野になっておるわけでございますから、そういう市場においてサーチャージの仕組みがうまく適用できるかどうかというのはよく勉強しなきゃいかん課題だというふうに考えておりますが、いずれにしても今の深刻な状況に対しまして、国民に対して安心・安全、大事な食糧を提供しております農業等に対しまして、国として対応をすべきでありますし、私ども県としてもしっかり対応していきたいというふうに考えておるところであります。
それから、県産品に関連いたしまして、高く売れる、あるいは高く買っていただける商品を開発する、それを市場に持ち込む、それが大事だということでございますが、全くそのとおりでございます。
そういう問題の中で何を重点、何に着目して対応すべきかという御質問だったと思いますが、末端の市場におきまして何が起こってるか、消費者は何を好むようになってるか、そういうマーケットの状況をきちっと把握をするということが大事でありまして、そのマーケットの状況に対応して、あるいは消費者の選考に対応して生産の仕方を変える、産品を変える、つくり方を変える、出荷の時期を変える、そういう対応をするっていうことが基本であろうと思うわけでございまして、さらにそういうマーケットの状況に応じまして、ブランド化を行うとか、包装をどうするかとか、陳列をどうする、あるいは取り扱ってくださるスーパーの方々、あるいは間に立つ方々との間の信頼関係をどう構築していくか、さまざまな問題があると思います。
そうした中で、大事なことは産物そのものの品質がいいっていう実質的な面があると思います。おいしい、甘みが多い、そういう実質もあります。しかし、近年はそういう実質に加えてイメージでありますとか、人々が持つイメージ、そういうものが大事になっておるわけでございまして、そういう面につきましてもこれまで以上の努力を重ねなければいけないと、イメージを形成するためには実質というものがなければいけませんけども、宣伝ということも必要でありますし、それから我々自身も積極的にPRを消費地に出かけていってやるということも大事でございまして、いろんな努力をすべきだと考えておるところであります。

錦織厚雄環境生活部長答弁

東横インにおける硫化水素事件について

まず、県の姿勢についてでございますが、今回の硫化水素事故は、直接的には株式会社東横インのグループ会社であります株式会社東横システム電建が建築廃材を地下ピットに投棄したことによるもので、一つ間違えば大惨事となった極めて遺憾な事件であります。
事件発生後、廃棄物処理法の立入検査を連日にわたり行っており、廃棄物の投棄行為者に対して措置命令を2回出し、廃棄物の処理を命令したところでございます。
また、警察とは事件発生時点から、既に共同して対応に当たっておりまして、今回の事件が不法投棄に係る刑事事件であることから、今後警察においては適切に処理されると考えております。
さらには、本件に関しましては、建築基準法や旅館業法など、関係する法律に基づき立入検査等を行ってきたところであり、現時点で必要な措置は行ってきております。今後、ビル管理者であります、またホテル経営者であります東横インに対して関係法令に基づき、必要な立入調査や指導を行うことにしております。
また、県が要した費用負担をどうするかについてでございます。
ホテル東横インの地下に投棄された廃棄物については、県として廃棄物処理法に基づく措置命令を出しておりまして、原状回復は事業者側の負担で行われます。
県が直接負担した経費は、人件費では行政職員の試算でございますが、1,023時間の時間外勤務に366万円、人件費以外では外部有識者の招聘旅費を支出した経費や初期対応時の薬品類等で約16万円でございますが、県民の安全確保の観点から、行政対応として県が負担せざるを得ないと考えております。
いずれにいたしましても、今回の事件は周辺住民の皆様はもとより、県民の皆さんに大変大きな不安を与えたものでありますし、事件発生以来、消防、警察、松江市、県の職員等が多数長時間にわたって携わってきた、まことに前代未聞の事件でございます。東横イングループには、企業の社会的責任を強く認識していただきたいと、かように思っております。

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