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「食」と言う字は「人に良い」と書きます。ところが、近ごろ、人に良いどころか、人に害になるものが、製造・流通・販売されていることが、次から次へと明らかになっています。
1兆円企業の雪印の例を見るまでもなく、1たん市場の信頼を失うと営業の継続が困難となりますが、それでも、「バレなければ良い」とばかり、次から次に企業の良心と言うか姿勢が問われる事象続くと、日本人の「恥」という精神文化はどこに行ってしまったのかと思うのであります。
とりわけ、政府が放出したミニマムアクセス米とされる事故米の流通は食糧行政に対する信頼を根本から揺るがすものであり、「流通させてはならないもの」を容易に見逃してきた農林水産省の責任は極めて重大だと思います。
ところで、社会の価値観がすべてアメリカナイズされるなかで、行政は、もう一度日本の精神文化の良いところを取り戻すための施策を考える必要があるのではないかと思います。法令違反に法令改正と取り締まりの強化で対応しても世の中は良くならないと思うのです。
私は、何度か劉邦の法三章や松下幸之助の徳政国家論について紹介させていただいておりますが、日本人のモラル低下は相次ぐ偽装に極まれりと感じておりますが、ものごとや人に対する信頼という観点から、知事の「食」に対する所感をお尋ねします。
日本は弱肉強食社会ではなく、共同生産社会という価値観・社会観が社会風土となってきたように思います。過度の競争原理の導入が結果として社会に受け入れられない理由はここにあると思います。日本人の精神文化は、すぐに結果がでる狩猟ではなく、ある程度の時間がかかる農耕が価値観の原点にあるように思えてなりません。そこで、県内の学校に実習圃場をつくって積極的に農業体験を奨励することで、物事の成就には「土地を耕し、種をまき、育て、花を咲かせて、実を結ばせる」という、手間暇かけるという大事な道理を教わることができます。また、遊休、荒廃農地を行政が積極的に借り上げて一般市民に市民農園として貸し付けすれば、市民の農や食に対する理解度を深めることができると思います。私は、日本人の精神文化の根本である農に対する理解を深める施策の充実を図る必要があるように思いますが、いかがでしょうか。
日本人の活字離れは著しく、乳、幼児期の読書習慣は従来の1/3以下まで低下しているとの指摘があります。童話や民話は子供の情操発展に不可欠であると言われており、もっと乳幼児期の読書啓発をしなければならないと思いますがいかがでしょうか。小、中学校の読書、学校図書館の充実の必要は言うにおよばず、中、高校生の時事問題に対する関心低下は「新聞を読む」という習慣が全くない家庭の増加と無関係ではないと思います。激動する国際情勢や現代社会の有様を知る上で新聞は極めて大きな役割を担っているものであり、学校教育にもっと積極的に取り入れるべきだと思いますが、新聞の活用に対するご見解をお尋ねいたします。
│掲載日:2008年09月25日│
今、食に絡みましていろんな不祥事、いろんなことが起こっておって、それに対する所感を問うということでございます。
議員が御指摘のように、これはだれもが今起こってることに対して怒りを感じ、行政に対する不信を拡大をしてるわけでございます。また、その背景には、日本全体あるいは日本人全体の道徳意識でありますとか倫理の低下といったものがあるんだろうと思います。やはり次の質問にも続くわけでありますけども、人にわからなければよいといった考えが近年少し広がっておるといいますか、そういう気がするわけであります。やはりそういうものは幼少のころから親に教えてもらったり、あるいは近所の人に教えてもらったり、そういうことによって基礎的な倫理観、道徳というものが形成されるわけでありますけども、そういうことをさらに重視していく必要があるんじゃないかというふうに思います。
それから、農に対する理解を深める必要があるがどうかということでございます。
確かに我々は、食物はスーパーマーケットなどに行けば容易に手に入るわけでありまして、その背後につくった人がどのような思いでどのような苦労をしてつくってるかというようなことを知る機会が少ないわけでございます。知りますと、それによっていろんなことが起こり得るんだろうと思います。そのためには、やはり子供たち、子供のころから農に親しむ、自然に親しむといったことが大事じゃないかと思います。自分でやってみてなかなか簡単にはいい作物というのはできないんだなあとかということがわかりますと、食物を大事にする心が生まれてくるでしょうし、そういう意味におきまして都市に住む人々と農村との交流の拡大をしていく、あるいは学校の生徒などが農業体験をする、大事なことでございます。島根県の教育委員会もそういうことに力を注いでおると思いますけども、さらにそういう活動を強化すべきであるというふうに感じております。
それから、読書についての質問がありました。
童話や民話は子供の情操発展に不可欠であると、もっと読書啓発をしなければならないということでございますが、私も全く同感であります。やはりうそをついてはいけないとか人をだましてはいけないとか、あるいは誠実でなければいけない、そういった基礎的なものの考え方というのは幼少期に体得するわけであります。それを逃すと、なかなかそういうことを実感として知るというのは難しいわけでございます。そういう意味におきまして、童話でありますとか民話でありますとか、そういうものはそういうものを取り扱っておるわけでございます。そういうものをもっと大事にしていく、教育の場あるいは家庭でそういうものを活用していく、大事な課題だと思っております。