県議会だより

Reports

平成20年11月定例県議会一般質問(1)

危機管理について

危機管理がうまくいくかどうかは正確な情報の収集と的確な指揮、命令系統が確立しているかということに尽きると思います。不祥事と言われる事象はほとんどが情報の隠匿にその因があります。「小人閑居して不善をなす」と言われる所以です。
地方自治は首長と議会の二元代表制ですから、執行者たる首長と立法を通じてチェックを行う議会が住民に対して等分の責任を負っているわけですが、執行者側に比較して議会側の情報量が著しく少ないように思います。
議会が行政の執行に対して的確な指摘ができるかどうかは正確な行政情報がきちんと伝達される体制が確立されることが前提です。

平成20年10月8日に他船舶と衝突、沈没した隠岐水産高校の練習船「わかしまね」の事故は、平成13年2月10日(日本時間)、ハワイ州オアフ島沖で愛媛県宇和島水産高等学校の練習船「えひめ丸」(35名乗船)が、緊急浮上した米原子力潜水艦「クリーンビル」に衝突され沈没、乗員35名中9名(内高校生4名)が行方不明となった事故を想起させました。幸い、人命被害はなかったものの、県議会議員のほとんどのはテレビニュースで事故を知ったのではないかと思います。
仄聞するところでは、12月5日に「わかしまね」は一般競争入札で売却されるとのことだが、今もって、事故の経緯、原因などに対する詳細な報告はなく、教育委員会からは、船体の損傷が大きく、船の修理は断念するとの軽微なコメントを受けただけです。
また、報道では、本年9月に文化庁から島根県に対して、石見銀山と佐渡金山の世界遺産統合が打診された際には、教育委員会から「戸惑い」の教育長コメント表明されていますが、議会にこの事実がもたらされたのは1ヶ月後になってからであり、改めて「受け入れがたい」とのコメントが発せられました。
たぶん、教育長は委員会の情報については、詳細にわたってインターネットのホームページに掲載しており、情報の隠匿は全くない、との意見を返されるでしょう。しかし、教育委員会などの行政委員会は執行機関であり、協議機関ではありません。あくまで意見具申やそのチェックは議会の役割です。
知事部局と議会との情報の共有はかなり図られていますが、行政委員会と議会との情報の共有はほとんど図られていないのが現状です。
9月議会では、県職員や教員、警察官などの採用試験にあたって、議会の議員に対して合否結果の事前通報があったことを不適切として議長が「襟を正す」とコメントしました。ただ、「羮に懲りて膾をふく」ようでは議会の責任は果たせず、知事部局のみならず行政委員会の情報についても議会と共有できるようにしなければならないと思います。
そこでお尋ねしますが、危機管理に際しては、情報の共有が何よりも肝要だと思いますが、知事はどのようにこれを図るおつもりでしょうか。また、行政委員会の議事録や主要事項などについては、議会図書館に送付するだけでなく、議員に定期的にデータ送信するかようにされてはいかがかと思います。FAXで紙の量が膨大になりますから、メールが良いのではないかと思います。
また、教育長には、改めて、水産練習船「わかしまね」の事故に対する一連の詳細な報告と処置についてお尋ねします。

溝口善兵衛知事答弁

危機管理伴う情報の共有について

危機管理に際して、議会との情報の共有が大事なことだけどもどう考えているかという質問であります。
おっしゃるとおりでありまして、危機管理事案に係る情報を議会に迅速にお伝えするというのは大事なことであります。そういうことに心がけておりますけども、さらにどういうやり方がいいのか、もっと効率的なやり方がないのか、Eメールを使うという案もあります。ただEメールを希望されない方もおられるかもしれませんし、いろんなやり方があるでしょうから、よく議会と相談してまいります。
それから、行政委員会につきましても同じ御質問でございます。あるいは、その中でも議事録などもちゃんと送るようにしてもらいたいということもありました。どういうような形で送るのがいいのか、あるいはいろんなやり方があると思いますんで、迅速性を要するもの、そうでないもの、閲覧が可能なもの、いろいろあると思いますんで、少しそういう具体策につきましてよく御相談をしたいというふうに思います。

藤原義光教育長答弁

水産練習船「わかしまね」の事故について

水産練習船わかしまねの事故についてであります。
わかしまねは、10月8日の18時45分ごろ、実習を終え、境港港に入港の途上、中型まき網漁船第22事代丸が衝突し、同19時30分ごろ沈没いたしました。私は邑南町にいましたが、直ちに連絡を受けました。また、その日のうちに帰庁したところであります。同船には、隠岐水産高校の海洋システム科の生徒13名、指導教員、乗組員12名、計25名が乗船しておりました。2名が軽い打撲傷を負ったものの、幸い、相手船に全員が無事救助をされました。事故の第一報を受けまして、関係職員を非常招集し、情報収集に当たるとともに、担当者を現地に急行させまして、生徒等への必要な対応に当たらせたところであります。
事故原因については、海上保安部とで現在一元的に調査が継続されておりまして、県のほうにはまだ情報の連絡がありませんが、明らかになり次第、再発防止に向けた取り組みに万全を期してまいりたいと思っております。
わかしまね船体の引き上げについては、航路上の場所に沈没しておるということがございまして、船舶の安全航行の観点から早急に引き上げするようにと要請がございました。速やかに引き上げの対応をとったところであります。引き上げ後は船体などの劣化が急速に進むことから、処理方針を直ちに決定する必要がありました。専門家の評価によりますと、修理費用が約5億円あるいはそれ以上かかるかもしれんということでございました。また、修理したとしても、船体のひずみとか、あるいはさびを完全に防止できないというふうな点から、将来ふぐあいの生ずるおそれがあるというふうなことでございまして、総合的に判断いたしまして、やむを得ず廃船と決定いたしたところであります。
今後の水産高校の実習につきましては、今年度は、県が所有しております神海丸を活用いたしまして、とりあえず対応いたしたいと思っております。来年度については、鳥取県からの申し出もありますので、それを含めました他県からの用船を行いまして、生徒の単位や資格取得に影響が出ないよう万全を期してまいりたいと思っています。
今後、このわかしまねの代船建造を含めまして、水産練習どうするかという点につきましては、有識者などによります検討の組織を設けまして、水産の実習の適切な実施、あるいは今後どういった水産教育が今後必要かというふうな点も含めまして検討を行いまして、早急に結論を出してまいりたいというふうに思っております。
なお、これに関連いたしまして、行政委員会の情報の連絡について御意見ございました。先ほど、知事のほうから答弁がありましたように、私ども行政委員会といたしましても、事務局を通じまして、どういうふうな形で情報の連絡をすべきかというふうなことについて、また御相談を申し上げたいというふうに思っておるとこでございます。

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