県議会だより

Reports

平成21年2月定例議会一般質問(1)

島根県物産観光館について

島根県は昨年の2月定例議会で、観光立県宣言をしました。知事は、条例制定の目的、目指すところは何だと思っていらっしゃいますか。

島根県の豊かな自然、食材などの産品を活用して、これを産業化しようとするものだったはずです。では、地域産品の掘り起こしには、試作、展示・販売、マーケティングなど、初期投資の段階での行政支援が不可欠です。 島根県は松江に島根県観光物産館、東京ににほんばし島根館を設置して、生産地と消費地で、これらの役割を果たす施設を有していますが、これらの施設を活かすソフトが確立されていないのではないかと思うのです。一般の土産品店とどこが違いますか。

それでは、今日は、島根県物産観光館についてお尋ねします。施設の状況と運営形態、販売額、利益など経営状況および今後の見通しについて説明して下さい。

物産観光館は県の分庁舎を物産の展示販売施設として供しているわけですが、仄聞するところでは、これを普通財産にして、物産協会に貸与し、家賃を取ろうとしているようですが、それは事実ですか。

松江城大手前駐車場や物産観光館駐車場は道路の拡幅に伴って半減すると聞いています。一般に、物販施設は駐車場が半減すれば売り上げは1/4になると言われます。観光施設も本県の観光入りこみ客の80%がバスや自家用など自動車を利用していることを考えれば、行政計画によって立地条件が悪化し、物産観光館は県の物産展示販売施設としての政策目的が低下するばかりではなく、観光立県宣言どころか県のブランド戦略そのものを否定しかねない所作で、関係者のモチベーションも上がらない、看過できない問題だと思います。家賃の問題や駐車場の問題は、職員が目先のことにとらわれて、島根県をどうするのか、投資を活かすには何が必要かと言う県勢振興の基本的な視点を欠いている証左で、知事のガバナビリティに関わる大問題で、放置されては、県の利益を大きく損なうと思いますが、知事のご見解をお尋ねします。

溝口善兵衛知事答弁

観光立県と物産観光館について

観光立県条例の目的、目指すところでありますが、観光を島根の主要産業と位置づけ、島根の各地にありますさまざまな魅力のある地域資源を活用することにより、観光地としての魅力を高め、多くの方々に島根に来ていただいて、島根のよさを満喫していただくということが目的であります。そのための取り組みとして、行政と民間がそれぞれの役割に基づきまして、総力を挙げて推進をしていくと。その中で行政もそうした目的が達せるよう、必要な措置をとっていくということであるかというふうに私は理解をしております。
物産観光館については、私も承知をしております。それから、そういうことでどうやってこの状況を改善したらいいかというのはずっと検討指示をしてきております。それから、私自身が委託をしています協会の方々と話をしております。お話もして意見交換もやっております。
物産館は、建物は県の所有なんです。それを館を委託をして、そこで協会に事業をやってもらっているということなんです。だから、そういう中で考えますと、商業用施設であると同時に県の物産を人々に知ってもらうというような公益的な役割があって、単に営利だけで、じゃあ売れるものだけを置くというのはなかなかできないということをお聞きをしたり、そうすると売れないものがかなりの面積を占めるとか、あるいはそういうものはじゃあ置かないようにすることができるのかというと、これはまた例えばいろんなものが島根の各地のものが置いてありまして、そこで人々に見てもらうという効果もある、そういう兼ね合いをどう考えたらいいのか。
それから、やっぱり問題は私がいろいろ考えていますのは、やはりこういうものは民間的な経営が必要なところなんです。しかし、そうなるとそういうことをやってくださる人がいないとなかなかできない、そういうことも感じておるわけでございます。そういう人が本当にいるのかなあと、やっぱり経営者が要るわけです、頭脳のある人が。それは行政だけじゃ私はできない。むしろ行政ではできないというぐらいに思っていたほうがいいぐらいの、行政はいろんな支援をしなきゃいかんけども、経営をやるのは経営者でなきゃいかん、そういうことをずっとやっておりますが、そういう中で当面の課題としては、人々がたくさん来てもらうようにしなきゃいかんわけですから、例えば改造して、あそこには食堂がありませんから、今の計画では2階に食堂をつくると。食堂に行くために中を見て回られると、そこでいろんなものを見てお買いになっていただくと。これも実は民間の方々からの御意見を聞いて、そういうことに今始めておるわけでございます。いろんな努力をしていますが、なかなか明快な結論が出ないというのが私の正直なところで、感想でございます。
それから、引き続きまして、この問題は私自身も商工労働部あるいは関連の部にもよく指揮をしていきたいと考えているところであります。
それから、駐車場の問題、あそこが拡幅されますと確かに駐車場は減るんです。一部は職員が使ったりしていますから、その部分とかいろんな工夫をすることによって、実際に減る台数は6台ぐらいだと聞いています。したがって、その6台分はとりあえず近辺に駐車場もありますから、そういう駐車場を活用できるようにするということで、不便がないように今対策を講じようとしているところであります。
それから、そういうあの近辺は駐車場が少ないところでありますから、そういうどこに行けば駐車がありますといういろんな表示が出ていますけども、そういう工夫もさらにしなければならないと思いますし、それから22年秋には松江市の歴史資料館がその先にオープンをされるわけであります。そこも駐車場がないわけでありまして、県民会館の周辺に駐車場がいろいろありますから、そういうものの活用をどうするかというのが検討の課題になっておりまして、これも土木部なども関与して今やっているところでございます。
御趣旨はよくわかります。私も非常に強い問題意識を持ってこの問題を考えているところであります。

山根泉商工労働部長答弁

物産観光館と島根県物産協会の経営状況について

お話がありましたように物産観光館、にほんばし島根館とも販売面というか、県産品の販売というところを見ますと、一般の土産品店と同じであると言わざるを得ません。
御指摘がありましたように、両施設とも県産品のアンテナショップとして島根県をPRする、いわば島根の文化を売る施設であるというふうに思っております。そういう観点からいきまして、両施設ともマーケティングなり、いわゆるPRするといったところの機能が極めて不十分であるというふうに考えております。
物産観光館でございますが、現在の物産観光館は、平成4年1月に協同組合松江名産センターとの合築建築物として建設をいたしました。延べ床面積は1,499平方メートルで、うち1,200平方メートルを県が区分所有をしております。1階が展示即売場、2階が伝統工芸品展示コーナーやイベントコーナー、観光情報コーナーとして活用をいたしております。
物産観光館は、実はこれは県の行政組織に基づく地方機関の扱いになっておりまして、県産品の展示あっせん、商況及び商品の調査研究、観光情報の提供を行うことを目的としておりまして、その運営につきましては社団法人島根県物産協会に委託をしております。
物産協会に委託をしておりますのは、いわば物産協会が行っています公益部門が中心でございまして、そこの中には伝統工芸の維持発展もございますし、物産の展示あっせん業務について委託をしております。
販売額でございますが、これは物産協会が取り扱っている商品の販売額ということでございますけれども、平成4年度には5億1,000万円ございました。その後平成9年度5億1,000万円、この間大体5億円ぐらいで推移をしております。その後、平成11年度ぐらいから5億円を割っておりまして、漸次低下傾向でございます。平成19年度に至りましては3億6,000万円ということになっております。
一方、来館者につきましても平成4年度では年間17万9,000人でございます。それから、5年後の平成9年度では18万3,000人でございます。11年度あたりから低下になってきておりまして、現在平成19年度では13万1,000人ということになっております。
販売額について先ほど申し上げましたけれども、うち島根県物産協会の収入として上がってくるのは、手数料として上がってきておりまして、平成14年度までは25%、平成15年度から18年度までが27%、平成19年度以降は28%の手数料を取っております。
利益については、これは実は物産協会のほうで物産館あるいはにほんばし島根館、以前は空港等に販売店がございましたが、区分経理がされておりません。したがって、物産観光館のみの数値については把握はできておりませんが、物産協会全体の収支状況で申し上げますと、平成4年度の販売手数料、県委託収入など収入額合計では2億8,800万円でございます。一方、人件費等の支出が2億7,900万円でありまして、平成4年度の段階では差し引き900万円の利益が出ております。
その後、平成9年度では赤字になっておりまして、600万円の収支不足、平成14年度では700万円の赤字、平成19年度では300万円の収支不足となっております。
なお、累積の収支不足でございますけれども、平成19年度末で約9,500万円でございます。
また、平成5年度に実は物産協会の経営基盤の強化ということで基金をつくっておりまして、これが5億1,500万円基金をつくっておりますが、その残額は現在3億1,300万円となっております。この基金の取り崩しにつきましては、平成12年度から順次収支不足に充てられてきております。
物産協会は、今申し上げたような累積赤字を抱えて、近年では単年度赤字が出てきておりまして、そういうことから、物産協会は平成19年3月に財務改善計画を策定をいたしております。平成17年度実績をベースといたしまして、平成22年度までに5,300万円の収支改善を行うこととしております。
具体的には、商品販売の拡大による販売手数料の増加、手数料率の見直し、経費削減を進めて、平成20年度中にはこのうち4,600万円の収支改善をする計画でございます。現在、この計画に基づきまして施設の内装等の改修にも取り組んでおり、売り場の拡大やレイアウトの変更による集客力の向上、効率的な運営によります販売額を約1億円増加させて4億6,000万円にする計画でございます。
この販売額の増加によりまして、先ほど申し上げましたような手数料の率28%でございますが、約2,800万円の収入の増加を見込んでいるところでございます。
なお、公益法人改革が全体的にございますけれども、この公益法人の関係の改革に伴いまして、組織の見直しも迫られているところでございます。今後の組織のあり方についても、法律改正をにらみながら検討がされているというふうに聞いておるところでございます。

加松正利総務部長答弁

物産観光館の施設貸与について

御指摘のとおり、物産観光館は県産品の展示あっせん、観光情報の提供等を行う県の行政機関として設置しているわけですが、より効果的、効率的に運営していくことができないかという観点から、そのあり方を検討しているところでございます。
物産観光館の施設を普通財産とするかどうかという点につきましては、今申し上げましたこの施設のあり方と関連して検討する必要がありまして、現時点で普通財産化の方向を決めているというわけではありません。

過去の投稿

園山繁の活動日誌