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自民党がなぜ負けたか。それは、「政権交代がいいか悪いか」というフレーズに対抗するものがなかったからです。民主党は4年前に、「郵政民営化はいいか悪いか」に対抗するフレーズを持ちませんでした。民主党には学習効果がありました。2年前の参議院選挙で、「国民の生活が第一」という、あの小沢党首のテレビ宣伝、民間のリサーチでは好感度は8割を超えておりました。今回の「政権交代は是か非か」というフレーズ。最初から負けは決まっていたようなものです。
自民党は、良い悪いは別にして、小泉総理大臣が新しい成長戦略を明示し、それに国民の支持が集まり、きちんと実行してきました。いろんなひずみが出てきたから、本来、ひずみをきちんと是正をするという政策をとるべきだったものを、目前の選挙が怖くて、批判され、狼狽してしまって、改革自体を止めてしまった。これも負けの原因です。
私は、50兆円の税収で80兆円の予算を組んでいるという状態が10年も続いておれば、政権を持っている側が批判をされるのは当たり前で、政府は打ち出の小づちを持っているわけではなく、実状を国民にきちんと説明し、改革しなければ、倒れるのは当たり前です。
民主党も大したことありません。今のままなら、崩壊は早いんじゃないかと思います。しかし、彼らが自民党の惨敗から学び、成長戦略を描ければ、案外続くかなあというようにも思います。
後期高齢者の問題を例にすると、現状は政府の総支出の3分の1ぐらいが高齢者で、子どもにはその10分の1だと、政治家が丁寧に説明さえしておれば、混乱はなかったと思います。ただ、衆議院選挙は2回続けて、「白か黒か」で、政治家の役割は大きく変質したように思います。右の言い分と左の言い分を良く聞いて、どちらの顔も立つように調整しろを考えるということは無くなってしまいました。
民主党の天下になって、財政、あるいは富の分配の方法とかが大きく変わると予想されます。私は、今の制度がある間に、島根県は新たな成長戦略をつくって、島根県の中できちんとした起承転結といいますか自立ができなければ、道州制に代表される地方の制度改革の波に島根県は埋没してしまうような気がしてなりません。
私は、ずっと、島根県の成長戦略というものを考えてきました。6年前に県会議員になった時には、「持続」だと。成長が持続する、あるいは生存が持続する、地域が持続する、こういうことが多分キーワードになるんじゃないかと思い、知事や執行部に話をしてきました。しかし、持続ではダメだ。「循環だ。」いま、そう思っています。
島根県の成長戦略をつくるというのは、そう、容易いことではありません。しかし、公共事業の発注や、ごみの処理の一つを、徹底的にリサイクルすれば、ごみは宝の山になり、次なる産業の材料になります。
島根県はかつて、全国有数の木炭の生産県で、エネルギーの大供給産地だった。それが石炭や石油などの化石に変わって、島根県の山は、宝の山から邪魔な山になりました。これをもう一度、先端技術をもって宝の山に変えることを真剣に考えるべきです。
下水道の汚泥は、いまは何億円もかけて燃やすだけですが、堆肥化し、ケナフやトウキビなどの生産によって、紙やバイオエタノールに展開すれば、一つの産業になるはずです。発想の転換によって、いまは47都道府県の中で四十五、六番目ぐらいですが、真ん中から上に行けると思います。
教育水準だって、私は悲観していません。島根県民のほとんどが東京での年越し派遣村を見て、違和感があったという事実です。ごうぎんの古瀬頭取はテレビで派遣村を見て、「社宅を全部開放しろ」と山陰各地の支店に指示されたそうですが、リクエストはゼロだったそうです。家庭や地域社会に相互扶助や連帯といった「見えざるインフラ」が備わっているのです。人間の生存も「命の循環」です。核家族も良いでしょうが、家庭の浪費を抑え、3世代が助け合い、例えひとりの稼ぎが月12,3万円でも、夫婦で25万円、おじいさん、おばあさんの年金合わせれば40万円、住宅ローンはなし。心豊かに暮らせるではありませんか。
知事、「循環」ということをテーマにして県の成長戦略をつくるという考えについてどうお考えになりますか。
商工労働部長、産業政策を循環という視点から考えられないでしょうか。
本来、農林水産業というのは、本来、循環産業ですが、必ずしもそうではなく、一方通行になっている部分もあると思いますが、どんな視点と投資が必要でしょうか、農林水産部長にお尋ねします。
また、リサイクルというと、すぐ廃棄物を思い出すのですが、廃棄物の循環利用を進めていくという観点からは、行政にはどんな課題があるでしょうか、環境生活部長にお尋ねします。
下水道の汚泥処理など、先ほど、例を挙げましたけれども、土木部は近ごろ新しい取り組みをどうも始められるようです。いわゆる社会基盤の整備ということに対して、循環視点からは新しい発想や産業創出とリンクさせる必要があると思いますが、その方法について土木部長にお尋ねします。
そして、人間の営みというのは生命の循環です。当然、物を大事にするとか、あるいは、お父さんやお母さん、あるいはおじいさんやおばあさんが居てこそ自分だという、考え方。毎日、神仏に感謝するという自然の仕草など、3世代同居ということで育むことができるように思いますが、教育長の所感をお尋ねいたします。
│掲載日:2009年09月18日│
循環社会に対する考えであります。
循環という言葉、説明を聞きながら、だんだんイメージがはっきりしてきたわけでありますけども、自然のものがある、それを加工する、販売する、消費をする、しかしそれはさらに循環して価値を持って生まれ変わることができる、そういう状況によって経済を効果的、効率的に回していく。島根においては、豊かな自然がある、山林がある、それから海、川もある、そこでそういうものを循環というコンセプトの中で活用していけば、島根の発展という新しい発展の仕方があるんじゃないか。あるいは、島根には豊かな地域社会、人間関係が残っておる、こういうことはほかの都市にないもんであるということでございます。
そういうものをやはり活用することによって違った発展の仕方があると、そういう成長戦略を打ち立ててはどうかということでございますが、私も循環という言葉は使っておりませんけども、私がしょっちゅう申し上げてるのは、やはり島根には豊かな自然が、発展がおくれたがために、むしろよく残っておる、それから古きよき文化伝統も各地に残っておる、それからそういう中で地域社会、温かい人間関係というのが残っておりますから、そういう島根の強みを活用して産業の振興を行おうということでありますが、議員の循環社会がさらにそれを循環として考えたらどうかということではないかと解釈をしたわけでございますが、まさにそういう方向を目指す必要があると思います。
それをどう進めるかということでございますけども、個人の生活のスタイルとして既にそういうことをやろうとしておられる方もおりますし、やってる人もおるわけでございます。いわば日本で、世界で進んでおります大量消費の社会から外れたとこで、自然に近いところで、循環を一つのコンセプトにしたようなライフスタイルをしておられる方もおられるわけでございます。それは個人ベースの話でありますけども、地域でそういう人がふえるということも大事なわけでございます。地域にそういう人たちがどの程度おられるかということもあると思います。
しかし、さらに地域全体がそういう発展をできるかとなると、これは個々人いろんな考えがありますから、全部がなるということはなかなか難しいことでありますけども、しかし世の中の大勢を見ると、そういうことを先行する人たちがこの日本でもふえてきてるというのは私は事実だろうと思いますね。だから、そういう都市にもそういう人がふえておる、あるいはかえって都市のほうがそういう生活を望む人がふえてるかもしれませんね。
それから、かつては若い人たちは大都市に出て、進んだ文化あるいは流行等に触れる、あるいはチャンスを生かすということで、地方から都市に出る人たちもいましたけども、そうでない人も逆にふえてる実態があるわけでございます。そういう意味におきまして、島根の強みを生かす、それも循環というプロセスで成長の仕方を生み出していく、どういう形でそういうものが構成できるのか、これからよく考えてみないといけないと思いますが、方向としては私もそういうことを島根の発展を考える際には考えております。
また、お聞きしながら感じたことでありますけども、実は、例に出されました汚泥をほかの製品に変える、あるいは家庭から出るごみをほかに変える、あるいは産業廃棄物のようなものでも利用できるものは利用する、これは進める必要がありますし、可能なものはどんどんやっていかなければならないと思います。ただ、問題は、やはりそういうことに係るコストと、ほかの手段との比較という問題が経済においてはあるわけでございますから、経済全体、社会全体がそうなるためには、もっと違う方法で考えていかないと、なかなか実現は難しい。しかし、一部においてはそういうことが可能だろうと思います。
いうようなことが感想でありますけども、いずれにしましても島根の豊かな自然、そういうのを求めて観光に来られる方もおられます。あるいは自然の中から、将来、エネルギー価格なんかが変わってまいりますと、木材といったものがかつてのような大きな役割を果たすということも考えられるわけであります。それから、食物につきましても、自然の中からとれる食物、島根にはたくさんあるわけでございますから、それをさらに開発進める。後ほど出てまいりますけども、漁業などについてそういう工夫をするということが大事でございます。それから、やはり若者を元気に健全に育てるということからしますと、地域社会の中で子どもたちをみんなで育てていく、そういうことをさらに進めるべきだろうと思います。議員おっしゃるように、スムーズな循環の輪が今描けるわけではありませんけども、方向としてはそういう方向で島根の発展成長を考えていきたいと、私も考えておるところであります。
平成19年度で申し上げますと、まず農業系の産業廃棄物のリサイクル率、これは家畜ふん尿については99%、農業用シートなど廃プラスチックが82%になっておりまして、島根循環型社会推進計画という計画に掲げる目標値をおおむね達成しております。
一方、農業系以外のリサイクル率は53%でございまして、目標値の達成には至っておりません。
産業廃棄物についてのリサイクル製品の開発については、これまで事業者において大変な努力がなされておりまして、県としても支援をしてきたところでございますが、現在、製品の販路拡大が大きな課題だというふうに認識しております。そのためには、公共事業への利用を促進したり、また何よりも需要に応じた新たな製品の開発が必要であると考えております。このため、異業種間の交流や大学との連携などをさらに進めてまいりたいと考えております。
次に、一般廃棄物のリサイクル率は22%と低い状況です。しかしながら、市町村による分別収集の推進やリサイクルなどの施設整備により、総じて上昇傾向にございます。今後さらに分別収集の一層の推進と、地域におけるきめ細やかな対応を進め、市町村やNPOなどと連携した取り組みに努めてまいります。
それから、議員が申されました、もう少し広い意味での物の活用につきましては、例えば島根県では、私の知ってる限り、農家で段ボールを非常に大切にして、いろんなことに使われたり、あるいは子どもさんに譲り合ったりする、そういったNPO活動も承知してるところでございます。県としても、こうした住民の皆様方のNPO的な活動について、引き続き支援をしてまいりたいと、かように考えております。
農林水産業は、生命、土、空気、水といった自然の環境と共存しておるものであります。この自然環境を構成している生命や空気や水と、こういったものの循環を最大限に活用している産業が農林水産業であると、かように考えております。
このように、農林水産業は元来、自然環境と密接に影響し合っているものでありますけれども、今日におきまして、石油などの化石エネルギーの使用によります環境への大きな負荷、あるいは生活スタイルの変化、例えば食生活の偏向、洋風へのシフト、あるいは都市部への集中や過密といったようなことによりまして、森林の荒廃、耕作放棄地の増大、あるいは水産資源の減少といったように、こうした自然の循環の輪がうまくつながらない、途切れた、いわばほころんだ状態が引き起こされているのではないかと考えておるところでございます。
こうしたほころんだ途切れた循環の再生を図ることは、今日におきまして大変重要な課題であると考えております。その解決に向けては、自然環境に対する負荷を可能な限り抑制すること、そして環境と調和、共存を図っていくこと、こういった価値観に支えられた農林水産業を展開していくことが必要であろうかと考えております。
そのためには、例えば農林水産業の生産過程で生じます未利用の、あるいは低利用、余り利用がされていない資源の有効活用であるとか、環境に優しい農業への取り組み、いわゆる耕畜連携などと言われておりますけれども、こういったもののより一層の普及を促進してまいるとともに、新たな技術の開発でありますとか、商業や工業といった他産業との連携なども進めることによりまして、先ほど申しましたような価値観に支えられた農林水産業の展開をしていく農林水産業が経済的にも成り立っていくような循環産業としていくことが必要であろうと考えております。
加えまして、先ほど知事のほうからも、地域における人と人とのつながりといったような答弁がございましたけれども、あるいは清流でありますとか地域の特産物でありますとか、そういった地域に固有の資源を活用した取り組みを展開してまいることによりまして、これを農山漁村の活性化に結びつけるとともに、市町村であるとか集落であるとか、こういったさまざまな人々の活動単位の空間があるわけでございますが、そういった中で最適と考えられるような資源の有効利用、循環、こういったものが得られるような空間を形成していくということも重要であろうと考えております。
いずれにいたしましても、島根県としてはそうした循環産業としての農林水産業の展開に当たりまして、資源の面などにおきまして大変優位な地位を占めているものと認識をしておるところでございます。その優位性を生かすためにも、県はもちろんでありますけれども、関係者とも一体となりまして、県民の皆さんのコンセンサスを得ながら、短期と中長期両方の複眼的な視点を持ちまして施策に取り組んでまいりたいと、かように考える次第でございます。
資源の枯渇が進む中で、循環型社会が展開しつつあり、個人だけでなく企業においても循環の視点が必要だと考えております。廃棄物や未利用資源を活用する技術の開発が進むことによりまして、新たな製品やサービスが生まれる、新たな価値が生まれると、したがいましてビジネスチャンスが広がることになります。また、例えば廃棄物利用等、この行為によりましてエネルギー効率が改善される、そのことによって企業のコスト削減が図られるといったようなことも期待されます。一方、循環型の製品に対する消費者側の意識の変化、評価が高まると、そのことによりまして市場が拡大していくということも想定されます。
こうしたことから、今後、県内企業においても、その発展を図る上で、循環を意識した事業活動をしていくことが重要だと考えます。既に県内企業でも、食品残渣などを堆肥化する技術や、水質を悪化させる燐を除去、回収しまして資源として活用できる技術の開発、事業化例がございます。これらはいずれも県内にある資源を活用してるということが特徴でございます。県としては、こうした取り組みに対しまして、産業技術センターと島根大学などが連携いたしまして技術支援を行うほか、産業技術センターでは未利用資源の活用研究なども実施しております。このほか、企業の研究開発への助成や環境展などの全国規模の展示会出展への支援も実施しております。特に、県内に存在する廃棄された資源ですとか未利用資源の活用など、循環の視点に基づく事業者の取り組みを積極的に支援していきたいと考えます。以上でございます。
社会基盤整備やその維持管理に伴い発生する副産物については、従来から抑制やリサイクルに取り組んでいます。建設発生土につきましては、切り土と盛り土のバランスを考慮するとともに、他の工事との調整を行って、残土や不足土が少なくなるよう努めております。建設廃棄物であるコンクリートやアスファルト舗装の取り壊しがらは再生ダストなどに、派生木材についてはチップ化し、堆肥などに循環利用しているところです。
また、下水道汚泥につきましても資源であると認識しており、その活用を図っています。宍道湖流域下水道東部浄化センターでは、まず燐を資源として回収し、業者に売却しており、その後の汚泥につきましては、昨年度まではセメントの原材料、コンポスト化及び焼却処分を実施していました。しかしながら、コンポスト化はコスト面と施設の老朽化、また焼却は環境への負荷の問題によりまして、本年度から稼働をとめ、県内にセメント会社がないため、全量を県外の会社にセメントの原材料として搬出し、再資源化を図っております。
処理単価については、1トン当たり、コンポスト化が約4万円であり、セメント原材料は輸送費込みで約1万5,000円であります。一層のコストの縮減と下水道利用者の費用負担軽減の観点から、堆肥化など多面的な利用を図っていきたいと考え、現在、実証実験を公募中であります。
なお、建設関連産業の発生のために、島根発建設ブランド事業により、廃がわらなどの建設廃棄物を利用した新たな土木資材の開発を支援しております。
議員の御意見にあったこうした心を発達段階に応じてきちんと教えるということについては、私も大いに賛同するところであります。私はかねてから、自然の生命と、それをはぐくみ加工するところの生産、その恵みをいただくところの生活の3つの生がバランスよく循環、共生するというところに本来的な人間の生活があるべきだというふうに考えております。このことは、私ども地方や中山間地域、漁村がよって立つべき理念であり、食育基本法でも第3条に、国民の食生活が自然の恩恵の上に成り立っており、また食にかかわる人々のさまざまな活動に支えられていることについて、感謝の念や理解が深まるよう配慮されなければならないと、同様の趣旨がうたわれております。
教育にありましても、生きるということは他の命をいただいている、生産するという行為によって食をすることができるということなどをしっかり教えるべきであり、同時に、自然への畏敬の念や、自然から恵みをいただくことへの感謝の念を教える必要があると考えております。
もう一つ、生命のリレーということで、お父さんお母さんからの生命をいただくというお話でございました。そのさらに前には祖父母があり、またその祖先には仏壇とかそれを祭る場所があるというのが私どもが育った環境でありましたが、最近そういう環境が希薄になってきておるということも事実であります。子どものときから大人の社会というものを経験させるということも必要だろうというふうに思っております。
現在、県内の学校では、ふるさと学習とか食育あるいは環境教育など、地域の人々との触れ合いや体験を通した学習を進めております。今後もこうした教育について、教員、生徒、保護者、地域住民に対して強調するとともに、より実践が進むように図ってまいりたいと考えております。